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シチュボ:「閉店時間」

【前書き】

皆様、お疲れ様です。
カナモノさんです。

今回はおとぼけ姉さんの企画「ヴァンパイアパーティー」で書き下ろさせて頂いたヴァンパイアシチュボをお届けいたします。

※ヴァンパイアパーティーに関してはおとぼけ姉さんのこちらの記事をご覧ください。

楽しんで頂けると幸いです。


【閉店時間】

作:カナモノユウキ


〔登場人物〕
男:コーヒー好きのヴァンパイア
・女:コーヒーショップの店長


寂れた町のコーヒーショップ、店長の女が暇そうにカウンターに頬杖をついている。そこに男がやって来る。


「いらっしゃいませ。」
「どうも、またこんな時間にごめんね。」
「ごめんねって、いつも決まって来るのは閉店間際じゃないですか。」
「仕方ないだろ、僕は夜行性なんだ。」
「フフ、知っていますよ。数少ないうちのお得意様ですから。今コーヒー淹れますね。」
「ありがとう。君の淹れる一杯を飲まないと夜が始まらなくてね。」
「ヴァンパイアなのに、コーヒーが好きだなんて…何か変。」
「血しか飲めないのは迷信だよ。食事もできるし、こうしてコーヒーを楽しみに来ることも出来る。」
「そのお陰で、私は貴方に会えるんですね。」
「そう言う事。」
「…でも、もう難しいかも。」
「何かあったの?」
「このお店、閉めようと思って。」
「どうして急に。」
「…おじいちゃんから引き継いだこのお店も、私ひとりじゃ切り盛りが難しくて…。」
「ずっと一人でやってきたんだもんね。」
「うん。お客さんも、ヴァンパイアさんぐらいしか正直居ないし。潮時かなって。」
「そんな…。」
「いつも、ありがとう。」
「…困るな。僕の唯一の楽しみを失うのは。」
「そう言われても…。」
「ねぇ…僕と一緒に生きてくれないか。」
「それってどういう…。」
「ごめん。急に変なこと言うんだけど…君を僕の妻として…噛ませてくれないか。」
「え、えぇ!?」
「僕の孤独をほどいてくれたんだ、ここのコーヒーの味と君の笑顔が。…それを、失いたくない。」
「急に言われても…。」
「ごめん、でも…正直に打ち明けたいんだ。ヴァンパイアの僕を、受け入れてくれた君には。」
「そうだったんだ…。」
「君が好きだ。」
「私で、いいの?」
「君じゃないと、駄目なんだ。」
「…はぁ…緊張するんですけど…本当は…私も、ずっと好きでした。」
「それは、つまり…。」
「宜しく…お願いします。」
「…嬉しいよ、凄く。」
「ヴァンパイアの妻になるってことは…私を噛むって、さっき言ってましたよね?」
「あぁ…噛んでも、良いのかい?」
「少し怖いけど、貴方になら…。」
「ありがとう…。…じゃあ、行くよ。」

女の首筋へ牙を立てるりと、女は目をつむりそれを受け入れる。

「くっ…うぅ…。」
「…ふう。」
「これで、私も…。」
「あぁ、君は僕の伴侶だ。これから、よろしくね。」
「じゃあ、お祝いに入れたてのコーヒーを飲も。ゆっくりと、二人で。」

~おしまい~


【あとがき】

最後まで読んでくださった方々、
誠にありがとうございます。

実は、僕「恋愛もの」が苦手で。
この話を書くときいつもより自信が無かったんですが、大好きな読み手さん二人にこの素敵な企画に参加してほしい!!って熱意だけで書いてみました。

設定とか穴だらけですが、シチュエーションを妄想して楽しんで頂けたら良いなぁ~。

では次の作品も楽しんで頂けることを、祈ります。
お疲れ様でした。

カナモノユウキ


【おまけ】

横書きが正直苦手な方、僕もです。
宜しければ縦書きのデータご用意したので、そちらもどうぞ。


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