調教回顧録(7) 加奈子様との関係
あの微睡みの朝はなんだったのだろうか。
告白が失敗に終わり、振られた筈だけども。
思いがけず悶々と過ごす毎日を加奈子様に与えられました。
告白から一か月ほど過ぎた頃でしょうか。
事件が起こりました。
M先輩が突然会社に来なくなり失踪したとの噂が耳に入りました。
M先輩の奥様も行方が掴めずにいる様子でした。
私はこれまで交流を深めて仲の良かった加奈子様、T先輩と一緒になって、
思いつく限り、M先輩の立ち寄りそうな居酒屋、お店、パチンコ屋さんなどを捜索してみたのですが、一向に見つかりませんでした。
会社の休憩室でも、M先輩は何処に消えたのか、この話題ばかりでした。
「はぁー。。。」
加奈子様の溜息が静かな休憩室に溶け込んでいきます。
「先輩。元気出してください。絶対生きてますし、調子のいいM先輩ですから気分が変わってまた帰ってきますよ。」
「そうかもね。」
「先輩はM先輩とお付き合いされているのですか?」
突然の切り出しに、少しの間、微妙な空気が流れましたが、直ぐに、
「そう。不倫ってやつかな。でも貴方に伝えた好きな人は別の人。」
驚きました。M先輩の事と思っていましたが、予想に反した回答でした。
「でも、居なくなると辛いですね。」
こんな慰めしか出来ない自分が無さけないと思いながらも、
加奈子様に元気を出して欲しい気持ちをさり気無く伝えたつもりでした。
加奈子様にはM先輩の他に、K先輩という彼氏がいました。
K先輩は本人は認めませんが、寝取られ好きなのか、加奈子様がM先輩と付き合っている事も認めながらも、
まるでお姫様を扱うよう丁寧に加奈子様をエスコートし、毎日送迎などをされていました。
K先輩はM先輩の失踪後も、どこか元気のない加奈子様を近くて遠い距離間でフォローし続けておりました。
ある時、私は加奈子様からお電話を頂きました。
「今、あのスナックにいるけど、貴方どこにいるの。今すぐ来なさい。これは命令よ。」
酔っ払っていらっしゃるのか、いつもと違う命令口調の加奈子様に戸惑いながらも、
2次会でよく行くスナックに飛んで行きました。
スナックに着くと、加奈子様とT先輩、K先輩がソファーで談笑しています。
「来たね。」
「着替えて来ましたので、遅くなりました。すみません。」
「そう。ここに座れば。」
と加奈子様の隣の席を案内され、失礼しますと着席します。
「T先輩とK先輩の組み合わせって珍しいですね。」
そう告げると、
「貴方に少し話したい事があるの。」
加奈子様はK先輩の方に手をやり、K先輩はお姫様をエスコートするような格好で、その手をもたげます。
一連の流れで加奈子様はすっと立ち上がり、私を見下ろしながら、そう仰りました。
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