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女性セラピストの妊娠・出産と働き方 〜復職をスムーズにするために〜

先日、リアル臨床というイベントの中で
ちょっとだけキャリアアップについて
私の経験をお話しさせていただきました。

女性が働き続けるために
産休や育休の制度を使う方は多いけど
妊娠・出産を経て、復職すると
なぜゼロからのスタートになってしまうのか?


そこがわからないと
みんな対応の仕様がないですよね。

私が2人の子を出産しながら働いている中で
経験したことから

●妊娠したセラピストの働き方
●復職をスムーズにする育休中の過ごし方

が見えてくるな〜と感じるので
ちょっとこちらで書いて行こうかと思います。


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■妊娠してからの働き方

PTの仕事っていうのは
妊婦にとってはかなり体に負担ですよね。

厚生労働省委託 母性健康管理サイトでも
妊娠してる女性労働者に対しての作業の制限として

1. 重量物を取り扱う作業
  ●継続作業6~8㎏以上
  ●断続作業10㎏以上
2. 外勤等連続的歩行を強制される作業
3. 常時、全身の運動を伴う作業
4. 頻繁に階段の昇降を伴う作業
5. 腹部を圧迫するなど不自然な姿勢を強制される作業
6. 全身の振動を伴う作業 等

っていうのが出されているんですが
PTの仕事ってほぼ当てはまると言いますか...


私は長男の妊娠当時、正社員として
病院で理学療法をしていたのですが
こういう基準があるってこと全く知りませんでした。

でも知らなくても
妊婦としては赤ちゃん大丈夫かな?って心配になりますし
普通に歩いているだけでもお腹があることもあったので
業務は大きく変更してもらっていました。

●介助量負担の大きい患者さんは交代してもらう
●別のPTの患者さんで自立度の高くなってきた方を担当
●単位数を少なめに
●座って休む時間をこまめに取る
●1人終わったらトイレ行けるように
●パソコン作業など

割と動ける妊婦でしたが
職場で何かあったら同僚もいい気分ではないでしょうし
色々とみんなに配慮してもらっていました。

でも、これができたのは
4人しかいないリハ職のうち
すでに2人が子持ちだったことが大きいと思います。
(私以外は全員男性)


「女性が妊娠しながら働くことはリスクがある」
という目で見てもらえたから
割とすんなり変更などもしてもらえたんでしょうね。

業務をなかなか変えてもらえない時は
母性健康管理指導事項連絡カード
っていうのを医師に書いていただく事もできます。

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お腹の赤ちゃんは
みんなで守っていけるといいですよね...


■復職したらゼロからのスタート

ここもみなさんが懸念する所だと思います。
私は、長男の産後、
1年も休み!ということに気分がおおらかになり
休みを謳歌しすぎた面がありました...(どうしようもない)


思いっきり休むぞーーー!

っていう感じです。
何せ女性の先輩が私にはいなかったから
思いっきり休んだ結果
どういうことになるか?なんて知らないわけです。

育休中に事務関係の用で職場に行く以外は
特に同僚たちと接点を持つ事もなく
(男性ばっかだからそんなに連絡取らない)
完全に仕事とは無縁の
ゆる〜っとした育休ライフを楽しみました。


この頃、ウィメンズヘルスに興味を持ったので
興味のある分野は勉強していましたが
それ以外はもう全く...!


その結果!
復職してみたら、解剖学まで忘れてるレベル。
学生さんの方がよっぽど知ってるんじゃない?
っていうところまで完全に抜けていました。

忘れてたりわからなくなってるのは、
解剖学などの知識だけじゃなくて

●仕事の流れ(朝はこれをして、この書類が必要で...とか)
●物の位置
●エレベーターの場所(嘘みたいだけど本当)
●診療報酬の変更

とにかくわからない。

体で覚えている部分は残っているものの
ほぼ新人と同じ状態からの再スタートでした。

よく、それまですごいバリバリやってた先輩が
職場復帰したらゼロからのスタートになってる
と聞くことがありますが
それはまさにこういうことだと思います。

人間は、1年も仕事に関わらなかったら
全て忘れるものなんです。


ちなみに、私が産休を取ったのは
PTになってから8年目くらい。
つまり、しっかり経験を重ねていても忘れます。


3年目でようやく仕事覚えた頃に離れたから
そりゃ忘れるよね〜

っていうことじゃないんです。
経験年数とか、関係なく、
何もせずにただ休んでしまうと、
それまでの積み上げはほぼ無くなるものと
思ってください。涙

となると、育休中の過ごし方も
結構大事なのかな?
ということが見えてくるのではないかと思います。


■育休はどう過ごすといいのか?

第二子の時は
復職に何の障壁もなくスムーズに行けたので
その経験から思うことを書こうと思います。

第二子の時はすでにフリーランスだった事もあって
産前は37週までクライアントさんの
対応に当たっていました。
(それ以降は急に産気づいたりしたらご迷惑おかけするし...)


仕事を納めて今日から産休!
という感じ...かと思いきや...

ちょうどその日から
私はなぜか地域の起業仲間たちと
この地域で子育てをしている方を応援する
市民活動団体を立ち上げるメンバーになります。


結果的にはこれがよかった。


産まれる数日前にも打ち合わせ(ZOOM)してたけど
産まれてからも結構忙しく動いていました。

産後約1ヶ月は
夫が育休を取ってくれていたので
家事や育児はほぼ任せて
私はちゃんと寝て休みながらも
頭は割と忙しく働いていた
んですよね。


もちろんそれだけじゃなくて
すでにフリーランスとして活動していたし

産前産後のお仕事でもあったので
自分の出産そのものが
勉強でしかない
んですよね。

産後のリアルな状況や体の変化などを
実験しながらメモをしながら
記録に残す作業をずっとしていたりして


頭はあんまり休むことがなかったんですよね。

つまり、
私の場合は産前産後のお仕事だから
仕事についてずっと考えていた
っていうことになるんですが

これがやっぱり大事だったんだと思います。


■ここが大事!スムーズな復職のためにできること

正社員だったときに置き換えて考えると

私はもっと職場と
繋がりを持っておくべきだったと反省しています。

完全に忘れてしまうほど
仕事を自分から遠ざけてしまったことが
結果的に自分の復職に障壁を作ってしまいました。

第二子の時のことを考えると
仕事と繋がりを持っていたことで
復職時はむしろパワーアップしていた
んですよね。


この機会をチャンスにしようと
子連れでもいける勉強会には出席をしていました。
(4ヶ月の乳児連れて新幹線で大阪にも行きました)


そこまでしないとダメと言っているのではなくて
自分でできる範囲で
職場に提案をしてみてもいいんじゃないかと思うんです。

職場の勉強会を
●子連れでもいける形に考えてもらったり
●資料だけでももらえるようにしたり
●オンラインで繋いでもらったり

そういう提案をしてみる事で
育休中に少しでもつながっておけることは
その後、復職したときのことを考えると
すごく意義のあるものなのではないかなと思うんですよね。


他にもできることは色々。

●職場に時々顔を出して「母」としての姿を見てもらう
●オンデマンドなどの配信されてる勉強ツールを使う
●オンラインの勉強会に参加する
●身の回りの人の歩行分析・動作分析をする
●赤ちゃんの発達を観察する

大事なのは、頭から仕事を完全に切り離さないこと!
その視点があれば
身近な人の動作分析でもいい勉強になりますw


ただ、産後は、
・自分のメンタルが落ち込む時期もあります。
・縛られたくない!と思う事もあると思います。
・勉強会への意欲が沸かない時もあると思います。

そういう時に無理をすると
自分が辛くなってしまうので
「できる範囲で」がすごく大事です。


自分の気持ちや感覚に正直に。
というスキルが必要ですよね。

頑張りすぎちゃう女性が多いから
こういうバランスって難しいけど、
これは産後の自分と向き合うしかないんですよね。


職場の方には、その余白を残しておいて貰いたいなって
個人的には思っています。


参加してもいいよ。
参加しなくてもいいよ。資料だけ送るね。

この「選択ができる」という余白に
きっとママたちは救われると思います。

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