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【アニソン楽曲分析①】~3つのコード進行編~ ヴァージンストーリー/Fire Bomber【マクロス7】


 こんにちは!─=≡Σ((( つ•̀ω•́)つ

今回は、自分の好きなFireBomberの「ヴァージンストーリー」の楽曲を、独断と偏見で分析していきたいと思います。興味がある方は是非、お暇な時にでもご拝読いただいたらとても嬉しいです!

※注意:以下の分析は、個人的な意見・解釈になります。これが絶対正解、正しいといったものではありません。その点はご了承くださいませ。

ヴァージンストーリー / Fire Bomber

作曲/編曲:COZZi 作詞:K.Inojo

 この楽曲はアニメ「マクロス7」に登場する主人公・熱気バサラ達が組んでいるバンド「Fire Bomber」の楽曲で、劇場版「マクロスFB7 オレノウタヲキケ!」の主題歌です!
 非常にシンプルな構成でありながら、とてもカッコ良く、個性的な楽曲になっております。実はこの楽曲には「3つの定番進行」が使わています。

主な楽曲の注目ポイント
▶ 定番でシンプルなコード進行
  ┗今回はここを解説します。
▶ リフレイン
▶ 歌メロディーの音域
コード進行はこちらのサイトをご参照ください。
https://ja.chordwiki.org/wiki/ヴァージンストーリー


▶ 定番でシンプルなコード進行

 まずは楽曲の構成から見ていきましょう

【イントロ】→【Aメロ】→【A´メロ】→【Bメロ】→【サビ】→【間奏】→
【A2メロ】→【A2´メロ】→【B2メロ】→【サビ2】→【ギターソロ】→
【落ちサビ】→【大サビ】→【アウトロ】

 非常にオーソドックスな構成となっていますね。
今回はイントロ~間奏までのワンコーラスを見てまいります!

 ▶ イントロ:王道進行

 では、イントロのコード進行から見ていきましょう。出だしの「Yeah~」は、ノンコード(コード進行がない)のため、9小節目から見ていきます。

【イントロ】
IV - V  IIIm - VIm V
IV - V 
 I I/VII - I/VI I/V

 いわゆる王道進行ですね。このコード進行は、多くのJ-POP・アニソンで使われており、切ない雰囲気を出せるのが特徴的です。
 亀田誠治さん曰く「小悪魔コード進行」らしいです。(動画参照)

 1小節目から4小節までは、この王道進行が使用されており、7小節目以降から少し変化があります。

IV - V - IIIm - VIm V
IV - V - I I/VII - I/VI I/V

 王道進行の特徴として、上記の亀田さんの動画解説にもあるように、本来なら V → I へと行きたいところを、IIImへと行くために、非常に切なさや浮遊感を醸し出しています。
 しかしながら、7小節目(太字の部分)から、「 IIIm 」が使われていたのが、「 I 」に変化しております。そのため、王道進行の特徴でもある「 IIIm」が、主和音「 I 」になることで、明るいコード進行となり、切ない王道進行の中にも、Fire Bomberが持つ「熱さ」「パワフルさ」「元気さ」といったイメージを予感させる出だしイントロとなっております。

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 ▶ Aメロ:Let It Be進行

 続いてAメロを見ていきましょう。

【Aメロ】
I - V/VII  VIm - IV V
I - V/VII  VIm - IV III

 Aメロも定番のコード進行になりますね。こちらは「Let It Be進行」になります。こちらのコード進行の由来はビートルズの「Let It Be」で使用されているコード進行[I -V-VIm-IV]から来ています。

 使用例としては、

YUI 「feel my soul」 使用箇所:サビ

 聴いていただいた通り、先ほどの王道進行と違った切なさや、爽やかで透き通った雰囲気を醸し出すコード進行です。

 今回の楽曲は、切なさだけでなく、熱さも出したいところですが、「王道進行」を使用したイントロの「切なく明るい雰囲気」から一気に明るいコード進行に変化させると、繋がり的に違和感が出てしまいます。そこで登場するのが、この「Let It Be進行」です。より明るく、そして少し切ないコード進行のため、イントロの雰囲気を上手く引き継くことができ、バサラの持つ熱さも加えることができます。

 2小節目の「V」が、V/VIIに変化した発展形を使用しております。こちらはベースが「I→VII→VI」と1度づつ下降していく非常にスムーズな動きとなっており、基本形に比べて少し落ち着いた雰囲気を出しています。

 また、4小節目最後に「V」を使用することにより「 V→I 」の形ができ、こうすることにより、5小節目の「 I 」が、より明るくトニック感のある響きになります。このように神秘的なコード進行の中に、単純な響きを足していることも、切なくさせ過ぎないための雰囲気作りを担っています。

 Aメロ最後の小節で、「 III 」が登場します。この「 III 」は、マイナースケールからのコードになります。基本的に「III→VIm」となるのが定石です。ここの場合は次のBメロ[VIm]へとスムーズに繋がっていきます。

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 ▶ Bメロ:小室進行

 続いて、Bメロとなります。

【Bメロ】
VIm - IV  V - I V/VII
VIm - IV  V - V

 こちらは「小室進行」になります。小室進行とは、その名の通り、作曲家小室哲哉が多くの楽曲で使用してきたコード進行になります。

 使用例としては、

TM NETWORK  「Get Wild」 使用箇所:イントロ・サビ

 こちらは今までのコード進行とはガラッと雰囲気が変わり、マイナー感とメジャー感が混在した、カッコよさが前面に出たコード進行になります。

 Bメロの役割として、今までの一面とは違う一面を見せることにより、飽きさせず、かつ前後の展開を際立たせます。この「ヴァージンストーリー」においても、今までの顔とは違う、新たな姿をここでは見せつけています。

 Aメロの明るさから一転、非常にカッコイイ曲調に変化しておりますね。

 Bメロで注目したい点は、サビに入る前の「 V 」です。ここでは4小節かけて同じ「V」コードが奏でられております。4小節も同じコードを使用しているため、下手したら、今まで盛り上げてきたものが、サビに入る前に失速してしまいますが、ここは非常に上手いアレンジで、サビへの疾走感、盛り上がりを演出しています。

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 ▶ サビ

 いよいよサビになります。

【サビ】
IV - V - IIIm - VIm
IV - V - I I/VII - I/VI I/V
IV - V - IIIm - VIm
IV - IV - V - V 

 皆さんは、このコード進行に見覚えがあると思います。これは、イントロで使用されたコード進行です。ポップスを作るうえで一番重要となる要素はリフレインです。キャッチーであるというのは印象に残り、覚えやすいということです。
 コード進行においても、イントロで使用したコード進行をサビで使用することは、いわば、イントロで伏線を張り、それをサビでそれを回収する。楽曲全体のまとまりや一貫性、統一性を強め、そして繰り返すことで印象に残りやすくしています。

 コード進行に関しては、既にイントロで解説した通りですので、そちらの方をご参照いただけらと思います!

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 ▶ 間奏

 そして最後は、間奏を見ていきます。

【間奏】
I - V/VII - VIm - IV
I - V/VII - VIm - IV V

 このコード進行は、Aメロで使用された「Let It Be進行」ですね。「Let It Be進行」に関しては、Aメロで既に解説しましたので、そちらの方をご参照くださいませ!

▶ 定番でシンプルなコード進行 まとめ

 さて、イントロから間奏までのワンコーラスを見ていきましたが、使用されているコード進行をまとめたいと思います。

使用されたコード進行
▶ 「王道進行(小悪魔進行)」:イントロ・サビ
▶ Let It Be進行」:Aメロ・間奏
▶ 「小室進行」:Bメロ

 この楽曲は、これだけの定番コード進行を使用しているにも関わらず、他の楽曲にはない個性的な楽曲となっています。これには、コード進行の組み合わせ、メロディ、アレンジ、歌手など、多くの要素で成り立っています。菅野よう子さんのような難解なコード進行も、また魅力的ですが、シンプルなコード進行で挑戦していくことも、魅力的なことはこの楽曲が証明しています。

 それぞれのコードの持つ力を知ることは楽曲制作においてとても大切です。自分が表現したいこと、その想いを曲として昇華するためには、何をすればいいのか、それを実現させるためには、それぞれのコード進行の響きや色を、自分の耳で聴いた感性をもとに理解して、分析楽曲や、自身の楽曲制作で試行錯誤していくことが非常に重要になっていきます。

 ですので、ジレンマではありますが、今回解説したことも、あなたなりの感性と照らし合わせて、自分は逆にこう感じたんだけどなぁ、と思ったのならば、それは、一つの正解であります。人それぞれ、感じ方の違いが個性となり、楽曲に反映されますので、その感性を大切にしてください!

次回は、引き続き、この楽曲を題材に、
メロディを見ていきますので、お楽しみに!

☆⌒(*^-゚)v Thanks!!

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