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レトロ感あふれる木造聖堂。吹き板の窓ガラスに、ささやかなルルドの庭/カトリック熱海教会 vol.02

急階段の先にあるレトロな聖堂

伊豆山の斜面にペタッとくっつくように寄り添い、
坂道を乗り越えた先の急階段の上にこちら。

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1960(昭和35)年3月21日、同じくカトリック三島教会の姉妹教会として独立し、献堂されました。信徒さんのお話によると、初代の主任司祭ベルト・プレス神父による設計だそう。

建築好きならちょっと目がいく入口

木造の平屋。内部はカトリック教会としてはシンプルな印象です。

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入口からとてもレトロで味わい深い。
落ち着いた赤色の引き戸に十字架が掲げられている。ただ、それだけなのですが、そのさじ加減が私には「何が大切か、何が美しいか」ということを教えてくれるように感じました。

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扉を開けて「!」と思ったのがその床。
教会の床で、このようなタイル貼りのものは、記憶にある限りはじめて見たような…。私は銭湯を思い出してしまいました。このギャップもレトロ感あふれ、かわいらしい。

シンプルで素朴な印象の聖堂

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美しくカトリック教会でよく見かけるステンドグラスはありません。

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シンプルな聖堂だけに、「十字架の道行」が印象的です。
窓はサッシではなく、昔ながらのパテでガラスを埋めているものだそうです。

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でも当時の吹き板ガラスがはめられていて、レトロで柔らかい温かさがあります。そして、窓の奥には相模湾も見えて…。
窓ガラスに温かさを感じ、海を見つけて清々しい気分になる。
ステンドグラスの美しさとは異なる心に訴えかける「借景」のように感じました。

視線を山側に向けると…そこにはルルドの庭がありました。

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敷地を有効活用したルルドの庭

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入口のすぐ脇には、ルルドの庭へ通じるささやかな道がありました。
正直、山にへばりつくような聖堂です。そんな限られた敷地にちゃんとルルドの庭がある。そんな敷地構成が見事。

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ちょっとした憩いの場となっていました。

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陶器製であろうマリア様も柔らかなお顔です。

有名温泉地の駅前から一線を画す、山側の一角。
坂道と階段はなかなかハードですが、その疲労感が吹き飛ぶような出合い。
帰り道、なんだか足取りが軽かったのは下り坂だから、ということだけではなかったように感じました。

date: NOV 15, 2020 

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