【本の話】妊娠して読んだ、「妊娠」がテーマの本とコンテンツ

こんにちは。いま育休中の雑誌編集者です。8カ月の息子がいます。

このブログでは、妊娠・育休期間中に読んだ本の話や、子育ての話、編集のスキルや考え方についての話なども書いていこうと思います。

「もし今飲みに行けたら、こんなことをとめどなくおしゃべりしたいなあ」と思うことを書くつもりなので、あまり役立つものにはならない予感がしますが・・・。

本やコンテンツの話が中心になると思います。ご興味のある方は、お付き合いいただければ幸いです。

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初回は「妊娠」がテーマの本やコンテンツです。3つ紹介します。まずは、妊娠・出産していなくても面白く読める本から。

『胎児のはなし』(ミシマ社)

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妊娠中、書店をふらふらしていたらこの表紙が目に留まり、面白そうな空気を発していて手に取りました。
胎児研究に並々ならぬ熱意で邁進してきた産婦人科の増崎英明先生(現在は長崎大学名誉教授)に、敏腕ライターの最相葉月さんがインタビューした作りの本です。

この本、何といっても一番いいのは、「妊婦向けの本」ではないことです。
というのも、妊婦向けの情報は世の中に山ほどありますが、どれもマニュアル的に近しいことが書いてあります。この時期は胎児はこのくらいの大きさでこんな状態です。母体にはこういう症状が出るので○○に気をつけて過ごしましょう、と。つまりお腹の中で何が起こっているかという情報は、妊婦さんにどう過ごしてほしいかを説明するのに必要な程度に留められていて、当たり前ですが、妊婦の好奇心を満たすためのものではありません。

でも、この本は、「胎児がどうなっているのか知りたい!お腹の中を俺は覗いてみたい!」という先生の純粋な探究心と、それに呼応する最相さんの好奇心が出発点になっています。そのグイグイ行く感じが気持ちよく、引き込まれます。前書きにも「楽しくてためになる、役に立たない本にしましょう!」と話して作ったと書いてあります。まさに、そんな感じ。

古来より、人間が胎児をどのように観察してきたのかに始まって、出生前診断の是非、胎児治療の最前線に至るまで縦横に展開され、深い満足が得られた一冊でした。

余談ですが、この本を買った直後に下北沢で本のトークショーがありました。夫と行ったのですが、増崎先生が長崎大学病院でちょうど現役の時に、夫はそこで生まれたことが判明。増崎先生に取り上げてもらったわけではなかったのですが、不思議なご縁を感じることになりました。

続けて、2つ目は異色の妊娠マンガを。万人受けするものではないかもしれませんが、私は好きです。

「子宮の中の人たち」

著者のEMIさんが妊娠中にリアルタイムでSNS上で発表していたもので、書籍化もされています。お腹の中の胎児の成長を斬新な世界観で描いているのですが、例えば・・・

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引用元:https://twitter.com/e3_noguchi/status/673432983114678272/photo/1

これが「着床」の回です。生理や妊娠をこんな風に表現するのが、目からウロコ。

この小さい人たちが胎児をお腹の中で成長させ、体外に無事送り届けるまでをドキュメント形式(?)で描きます。妊娠中、ネット上でこのマンガを少しずつ読み進めるのがひそかな楽しみでした(笑)。

ゆるく見えますが、おそらくすごく勉強されて書いたはずで、妊娠中にこういうアウトプットができたこと、素直にリスペクトです。

「生理ちゃん」も話題になってますが、妊娠や生理のような外からわかりづらい人間の生理現象を、こうやって人に伝わる形にしてしまうって、すごいですね。

ちなみに再度余談ですが、この妊娠マンガを書き終えたあと、著者は別のマンガも書いていて、こちらもおすすめ。自分のうつ抜け体験を書いた「パラダイムシフト」は、前作(妊娠マンガ)より絵も構成も緻密で完成度が高まっています。自分の体験を人に伝えたい、きちんと作品として世に送り出したいという気持ちが伝わってきます。

長くなりましたが、3つめ。こちらは、妊婦さんやその家族におすすめのコンテンツです。

『はじめての妊娠・出産安心マタニティブック―お腹の赤ちゃんの成長が毎日わかる! 』(永岡書店)

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自分の妊娠がわかった翌日、やや混乱した頭で書店の妊娠・出産コーナーに行きました。そしてこの本を買いました。

「お腹の赤ちゃんの成長が毎日わかる」というキャッチの通り、妊娠○日目の今日、いま胎児はどんな状態で、母体にどんな変化が起きるかを毎日解説してくれます。

例えば、妊娠29日目の説明は、こんなふうです。

”赤ちゃんはいま5〜7mm。小さめのコーヒー豆くらいのサイズです。(中略)足になる突起は今日には現れるでしょう”

妊娠初期にこの本があってよかったと思います。はじめは身体に見た目の変化はありませんし、胎児の存在を自分で感じることもできません(つわりで存在を感じるくらい)。いま胎児がどんな姿でいるのか、この本を読みながら、見えないなりに思いを馳せながら過ごすことができました。

著者はアメリカの方で(この本はアメリカで出版された『The Pregnancy Journal』の日本版)、前書きによると、著者自身が妊娠中にまさに知りたかった内容を、これからの妊婦のために本にしたそうです。知識があることでより安心して妊娠期間を過ごせるから、と。

人に例えるなら、妊娠期間ずっと横にいて、優しく励ましたりアドバイスをくれるベテランの助産師さんのような。暖かな温もりを感じます。ここがこの本の素晴らしいところです。妊婦用のアプリでも実は似た企画(お腹の中の赤ちゃんの成長が毎日わかる)はあります。でも、そういうアプリからは「ユーザーに毎日アクセスしてもらおう」「広告価値高めよう」みたいな思惑を先に感じてしまうんですよね・・・(すみません、見方がうがっていて)。

同じようなコンテンツならば、その動機に共感できるものに、お金を払って利用したいという気持ちで、私はこの本をそばに置いていました。

初回から書き過ぎてしまいました!すみません。次回からはもう少しライトな分量を目指します。

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