【編集の話vol.1】編集者って何をする人?

今日から何回かに分けて編集の話を書きます。

最初に私のキャリアを簡単に紹介すると、2003年に新卒で出版社に入社し、以来15年間月刊誌の編集を続けています。たまに書籍やムックも企画して作ってきました。主にビジネス領域のテーマで活動しています。

さて、今回のテーマは「編集者は何をする人なのか」です。

今だと「コンテンツのプロモートまでしてこそ編集者だ」「世の中のあらゆるクリエイションは編集なのだ」など様々なご意見があると思いますが(どちらもごもっともと思いつつ)、ここではもう少しオーソドックスな、出版社の編集者がOB訪問で学生さんに聞かれて答えるくらいのスタンスのお話をします。

私がまだ駆け出しの編集者だった頃、周りの友人や後輩からよく聞かれた質問があります。

「取材に行ったりするんですか?原稿も自分で書いてるんですか?」

また、今でも全く違う業種の人と話していると「ライターさんでしたっけ、編集でしたっけ。ライターと編集者って違うんでしたっけ」と言われることもあります。

確かに、編集者という肩書きだけからは、仕事の中身は想像しづらいですよね。

私がまだ1、2年目くらいの頃、同期の編集者がこんな話をしていたことがあります。

「この間取材した人が、その人の会社のパーティに招待してくれたんだよ。そのパーティに行ったら、記事にしたことをすごく感謝されてさ。
でもその記事、原稿はライターさんが書いたし、写真はカメラマンさんが撮ったんだよ。
オレはほとんど作ってないのに、パーティに呼ばれるのはオレで、取材先に感謝されるのもオレでいいのかなって・・・」

現場の編集者でも、こんな風に思っちゃうことがあるんですね。

今ならこの疑問に答えられますが、当時私も彼の話に共感したくらいだから、よくわかっていませんでした。


編集者の仕事は「そのコンテンツを世の中に存在させること」

先ほどの「編集者って、取材するんですか?原稿書いてるんですか?」という質問。

私はこう答えています。

「取材もしますし、原稿も自分で書いてますよ!」

ここで皆ちょっと安心した顔をします(そうなんだあ、書いてるんだ!って感じで)。でも、本題はその後です。

「でも、編集者の一番の役割は、その記事なりページなりを”世の中に存在させること”なんです。
企画を立案して、取材先を決めたり、カメラマンさんやデザイナーさん、ライターさんなど作るのに必要な人を集めて、フィニッシュ(校了)まで持っていくのが編集者の仕事です。
取材をしたり、記事を書いたり、写真を撮ることはその過程で必要な作業なので、それは自分でやってもいいし、人にやってもらってもいいんです」

やや抽象的な言い方になりますが、編集者は、企画やコンテンツを、ぽーんと世の中に狙って投げ込んで、反応を起こしていくことを生業にしている人だと思っています。そのベストな切り口やタイミングを考えて、そのために必要な判断や決定を行って、手配して実現するのが、編集者の仕事なんです。

そのために必要な要素(記事・写真etc)は全部自分で作ってもいいし、逆に、世の中には編プロ(編集プロダクション)という方々がいますから、極端な話、彼らにお願いして自分は実作業ゼロで作ることもできます。

私の場合は割と"自分で作る"寄りだと思います。取材もしますし、原稿は自分で書く場合とライターさんに頼む場合が半々くらいです。入稿作業や校正作業も自分でします。
それは、予算の都合や会社の体制もありますが、私自身が取材や書くことが好きだからでもあります。
(これは並々ならぬ思い入れのある企画/取材だから、自分で書く!みたいな)

ここから、外注の割合をだんだん増やしていくと、
・取材で質問をするのはライターさんで、その場で静かに同席しているだけの編集者
・そもそも現場には一度も現れない編集者
みたいなことになっていくわけで、世の中の皆さんが「あの編集者だという人は一体何してんだろ?」と思うのは、こういうシーンを見聞きしてのことではないかと想像します。

それぞれの編集者の置かれた状況や志向性によって、そのスタイルは十人十色だと思います。どれがいい悪いという話ではないと思いますが、現場に出てきて直接話を聞いてくれる編集者の方が、取材先としては安心感があるでしょうし、ネットワークもできるので、私はそうしています。

(ただ、育休復帰後は圧倒的に時間がなくなるので、このあたりのやり方と考え方を変えないといけないでしょうね!)


追記:ライター・記者と編集者の違いについて

編集者とよく混同される「ライター」は、「(取材し)記事を書くこと」を専業にしている方たち。編集者から依頼を受け、編集者の企画を形にしていくことが多いです。企画力のあるライターさんなら、自分の企画を編集者に売り込んで実現していく、ということもできます。

「記者」と「編集者」も混同されがちなのですが(ざっくりメディアの人、というくらいの意識で取材先に使われていると思う)、記者は新聞などの報道メディアで、ニュースを追いかけて活字化していくことを専業にしています。

新聞社は役割が細分化しています。記者がニュースを見つけ取材して記事を書きデスクに上げて、デスクは採用かどうかを決めてタイトルをつけて…とシステマティックに紙面が作られていきます。記者はまず現場(ニュース)ありき。編集者はまず企画ありき。現場で取材する様子は同じかもしれませんが、記者と編集者の仕事は、カバーする制作領域や進めていく順番が異なります。


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月刊誌の編集をしています。2019年4月に出産し、2020年6月に復職しました。このnoteでは、結婚や妊娠・出産に関わる本の話、子育ての話、編集についての話などを書いていきます。

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