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佐渡島庸平 『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.』のレビュー

『君たちはどう生きるか』や『宇宙兄弟』といったメガヒット作の編集を手掛けた佐渡島さんという方が書いた本。

現在は講談社から独立して、作家や漫画家をサポートする企業を経営しているそうです。

で、本書は、コミュニティってなんなんだ?ということを柔らかい語り口で書いた内容で、あとがきで著者自身も言っているように、ブログのようなライトな読み心地です。

作家や漫画家を支えていくのにコミュニティが重要、という認識からこうした本を書いたのだろうと思います。

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時代の要請としてコミュニティが必要

「時代の要請としてコミュニティが必要だ」ということをいろんな切り口で説明しています。

ちょっと前までは、職場とか学歴とか、そういうアイデンティティともいえるコミュニティが分かりやすいかたちで存在していた。それが今は崩れていて、マジョリティが孤独を感じている、このことがコミュニティをより強く求めているといいます。

なんとなく分かりますよね、この感覚。分かりやすい居場所がない感覚、現代人なら一度は感じたことがあるのではないでしょうか。

それから、多様な価値観を許容する環境が整ってきたことも、コミュニティが要請されていることと関係があるといいます。

経済的な理由でもコミュニティが必要

クリエイティブに携わっている人に関していえば、経済的な理由でもコミュニティが重要になってきているそうです。

一度に100万部売れるよりも、作家や漫画家さんにとっては10万部×10年のほうがありがたい。「大ヒットしないように気をつけている」という有名編集者のことばも紹介されているのが印象的でした。

ファンコミュニティを作ってそこでECをする、というのが現代ではクリエーターの生き残る唯一の道じゃないか、と著者は感じているそうです。

以前レビューした『爆発的ヒットは”想い”から生まれる』でも、やっぱりファンコミュニティの存在が浮き上がっていました。どんなに大きなメガヒットにも、必ずその裏には、熱烈なファンを擁したコミュニティの存在があると分析されていました。

世界的にもコミュニティが求められている?

”コミュニティづくりを応援し、人と人がより身近になる世界を実現する”

Facebookの企業ミッションは、2017年に創業以来初めて、上記のように変更されたそうです。どうやら世界的にも、コミュニティが重要性が高まっている。

その背景とか周辺状況みたいのをざっくりと、そしてときに寄り道しながらラフな語り口で柔らかく説明してくれている、そんなところが本書の印象でした。おすすめです。





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