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#17 『かずちゃん』

 

物心がついた時から私は母方の祖母のことを
「かずちゃん」と呼んでいた。

先日、かずちゃんは天国に旅立った。

それはそれはとても綺麗な寝顔で、
触れた肌は艶やかだった。


思い返せば
のほほんとした心地の良い記憶ばかり、、

私が住む場所、寝る場所を失った時
助けてくれたのはかずちゃんだった。
「話し相手ができてボケなくて済む」
なんて気を遣わせないようにだと思うが
その優しさに救われた。

病気になるまで煙草を吸っていて
「たいちゃん、一服しよ」って
愛おしい誘いを今でも覚えている。

病院のご飯が不味いって
声に出しちゃうような
ストレートなとこもお茶目だった。

最後の三か月は自宅で過ごしていた。

亡くなったと聞いて、
かずちゃんの家に行ったら
誕生日にあげた一輪の花が
いまだに飾ってあって嬉しかった。
もっと豪華な花をプレゼント
してあげたかったけど、

「一輪ぐらいが部屋に飾れて良い」
とか言ってくれちゃうんだろう。

まあ、かずちゃんは私の祖母である前に
じじの女だから、これくらいがいい。

 

物心がついた時から私は母方の祖父のことを
「じじ」と呼んでいる。

じじは確かかずちゃんより年下で
私と40歳くらいしか変わらないおじいちゃん。
とても若くてカッコ良くて優しくて
何よりかずちゃんが好きってのが伝わる
そんな私の憧れる人柄である。

働きながらかずちゃんの病院に毎日通って
自宅での看病も最後まで一人でやり遂げた。

最期の三ヶ月の日記には
食べたもの、トイレの時間、発作の様子
などが書かれており、
夜中は毎日30分おきに起きて付き添っていた。

最期のページには
 `THE END`
と記されていた。

安堵、寂しさ、けじめ、慈愛。
私には計り知れない愛の大きさ。

葬儀の帰り道
かずちゃんの遺骨を抱いて
「大志、俺の女いなくなっちゃったよ」

って、じじが言った。

 

寂しくなるね。 


かずちゃんとじじの孫でよかったよ。

 


[Today's 神山大志の気分の一曲]

 玉置浩二『メロディー』

 

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