選挙と経済と株価
石破茂首相は衆議院を解散し10月27日に総選挙となりました。
経済政策についてそれほど大きな議論になっていないのは、石破政権が基本的に岸田政権の経済政策を引き継いだとみられるからです。これまで同様、日銀の政策に強い意見をいわないし、大幅な増減税を行わないでしょう。
ただし、石破政権が現状の議席数を維持する程度の大勝利となれば、石破首相の発言権が強まるのではないかと市場が気を揉むことになるでしょう。
石破首相は、岸田首相就任時と似た「石破ショック」を市場に発生させたように見えました。これは、石破首相が自民党総裁選の時に企業増税や富裕層の金融所得課税に言及していたからです。
確かにごく一時的には増税は市場心理を悪化させます。しかし、実は増税が問題なのではありません。その税収の使い道が問題なのです。
増税分だけ消費者に補助金を出せば、消費拡大で国内企業の売上が上昇する可能性もあります。野党のいくつかが消費税減税を唱えていますが、減税した分でどこか政府支出を減らせば、企業や個人がその分貯金せずお金を使ってくれないと経済が成長しません。つまり、増税や減税は、その結果お金をどこに持っていって、誰がどう使うかが問題なのです。
総選挙の後、与党の勝ちっぷりと石破政権の追加的な経済政策には注目が集まるでしょう。しかし増税か減税かだけで市場を見ることは、短期的・心理的な見方です。長期的には、税制変更の効果や政府への信頼を含めて、幅広く考える必要があります。