中東紛争拡大でも石油価格上昇は限定的
イスラエルがガザ地区でのハマス攻撃に加え、隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに対する攻撃も開始し、中東での紛争は拡大傾向に見えます。しかし、原油価格は紛争拡大につれて上昇しているとは言えません。
原油市場は、心理的には中東の紛争拡大を気にしているのですが、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)など産油国が産油施設に被害を受けたり輸出ルートを止められたりしない限り、石油価格の大幅な上昇で先進主要国の経済が悪影響を受ける可能性は低そうです。
原油価格はこのところ、中国の景気悪化の継続懸念やアメリカでの掘削技術革新などの影響で今年7月ごろから下落しています。中東での紛争拡大で一時的に上昇することもありますが、それ自体が具体的に原油産出や積出、輸送に影響を与えるようには見えません。
ハマスやヒズボラを支援しているとされるイランはイスラエルとの紛争激化の影響を直接受ける可能性がありますが、イランは主要国の経済制裁を受けており、イランの原油が輸入できなくなって困る西側主要国はほとんどありません。
また、サウジやUAEなど主要産油国は一時イランと不仲で、サウジはイランが支援するイエメンの武装組織フーシ派から攻撃を受けていましたが、イスラエルが共同の敵となることや、イランの新政権が融和的と期待されることで、産油国が紛争に巻き込まれ原油生産や輸出に悪影響が出る可能性が低下しています。
中東の紛争は産油国が巻き込まれるかが最大の注目点で、今のところその兆しは見えません。
〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕
■KAMIYAMA Reports https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-reports
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