米国の金利とインフレと消費
アメリカはかなり政策金利を上げていましたが、米国の消費はその間も強く、最近まで大きく悪化していません。
その理由として、まず、リーマンショックのころと違って、消費者が大きな負債を背負っていないことがあります。借金で消費してきたのではないので、金利の上昇が大幅な負担となることが少ないとみられます。
また、住宅ローンの負担が増えるケースもあったかもしれませんが、コロナ禍対応の財政出動もあって雇用が伸びたので、一家の中で働く人の数が増えるなどの効果があり、金利上昇を乗り越えたようです。
さらに、株価上昇が続き、資産が増えることで消費が増える効果もあったとされます。ミーム株(はやりの株)の流行などもあり、資産効果は富裕層だけでなく幅広くみられるようです。
さて、これから政策金利の引き下げが予想されます。金利低下で住宅ローンが借りやすくなり、住宅の新規着工が伸びることが期待されます。これは新しい家具や電化製品の売上げを後押しするでしょう。
一方で、金利低下は、賃金上昇率の低下によるインフレの落ち着きを背景にしています。雇用増の一巡や賃金上昇率の落ち着きは、消費の伸びを抑える可能性があります。
これからのアメリカの経済は、消費も含めてソフトランディングになると期待されます。これまでほどの成長は見込めないが、マイナス成長になるほど悪くはない、つまり、景気は減速するが後退しないという予想です。アメリカの消費水準が維持されれば、日本などの輸出水準も安定し、世界経済のソフトランディングも期待できます。
〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕
■KAMIYAMA Reports https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-reports
■KAMIYAMA Seconds! ~90秒でマーケットニュースをズバリ解説 https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-seconds
■「投資ってなんだ!?」 https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-investment
■神山解説 https://www.nikkoam.com/products/etf/we-love-etf/#1:category:113