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神様に愛される参拝マナーとは?知っておきたい参拝順序のポイント

「神社のお詣りに、正しい順序ってあるんですか?」
――神社で巫女のご奉仕をしておりますと、ご参拝の方にこのようなご質問をいただくことがあります。

その度に、私は「皆様、神様に失礼がないように、丁寧に考えてくださっているんだなぁ」と、なんだかうれしくなります。

それと同時に、気づかぬうちに何か失礼なことをしてしまってはいないか……と、心のどこかでドキドキしながらお詣りをされている方も、ひょっとするといるのかもしれないと思ったのです。

ですから、今回は皆様が安心して神様と向き合い、気持ちよくお詣りを楽しむことができますよう願いを込めて――。
神主や巫女がぜひお伝えしたい、神様に愛される神社参拝の「順序」について、押さえておくべき基本をまとめます。


境内を巡る順序に迷っていませんか?

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皆様が「順序」について気にされているのは、恐らく境内にいくつも摂社・末社(御本殿とは別に点在するお社)がある場合が多いのではないでしょうか?

それぞれの場所に神様がいらっしゃるわけですから、境内にあるお社は大小問わず、できる限りご挨拶しておきたいですよね。
そんな折、「一体どのお社から、ご挨拶をすればいいのかな……」と戸惑ってしまうお気持ちも、よく分かります。

特に神社の側から指定がない場合は、まず「御本殿(=その神社の主たる御祭神がお祀りされているお社)」にご挨拶をするという点以外、明確な決まりはございません。

(神社によっては推奨している参拝順路がある場合もこざいますので、その際には、もちろんそれに従ってお詣りをしていただくのが一番です)

そして実のところ、さらに大切なのは御本殿に参拝をするまでの「準備」――私たちが御神前に立つ前の、心身のお浄めです。

神様に愛される参拝マナーは「ここがポイント!」と言っても、過言ではありません。


御本殿を参拝する前に

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神社好きな皆様に、ぜひとも覚えておいていただきたいのは、すべての神様は、何においても「清浄」を好まれるということ。
ですから、神様に歓迎していただけるようにするには、御神前に立つまでの間に、必ず自分の心身を祓い清めておくことが重要なのです。

人間の世界に置き換えるのであれば、大切な目上の方のお宅に訪問する際をイメージしていただければ、きっと分かりやすいかと思います。
間違っても、汚れていたりだらしなかったりする格好のまま、家に上がり込むようなことはしませんよね。

お相手が、たとえ目に見えない存在である神様でも、当然同じことが言えます。


鳥居をくぐる意味

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まずは、神域の始まりを示すとともに、その中に悪いものが入り込まぬよう結界の役割も持っている「鳥居」をくぐることで、心身についた悪いものを祓っていただきましょう。

どのような形の鳥居であっても、それは「そこからが神様の領域(神域・聖域)であり、その内側に神様がお鎮まりになっていらっしゃる」という意味を示しています。

ですから、くぐる前には必ず一礼をして「お邪魔させていただきます」と心の中で申し上げていただくのが、神様に礼節を尽くすということになります。その気持ちはきっと届いていますから、神様も「素敵な人が来ましたね」と、快く迎えてくださることでしょう。

ちなみに、鳥居をはじめとする神社の建物などには、朱色が使われていることが多いですよね。
これも、実は「朱」という色が古来より「魔除け」の意味があると伝えられてきたという由来も存在します。
神社に足を運ぶ際には、鳥居の形や色などにも注目してみると、また新たな発見が生まれるかもしれませんね!


参拝前の手水は忘れずに

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鳥居をくぐったら、どの神社にも「手水舎(てみずしゃ・てみずや・ちょうずや)」という場所があります。
ここには、たいてい流れる水をたたえた「水鉢」がありますので、こちらで手や口などの穢れを清めておきましょう。

これは私たちが生きる中で、知らず知らずのうちに背負ってしまっている、さまざまな「罪穢れ」を祓い清める「禊(みそぎ)」の意味があります。
神様に失礼の無いよう、できるだけ身も心も清らかな状態で祈りを捧げるための、重要な「禊」の作法のひとつであると覚えておいてください。

実は、手水舎でのお清めは、正式な禊の作法を簡略化したもの。
日本の神社の最高位にあたる「伊勢神宮」では、神域に流れる「五十鈴川(いすずがわ)」という川の水で禊をしてから参拝をするのが、古くからの正式な作法でした。
つまり、流れる清らかな川の水が持つ「浄化の力」をお借りして、参拝前に心身を清めていたわけです。

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でも、どの神社でもお詣りの前に正式な禊をするのは大変なことですし、それを簡略化した形として全国各地の神社には「手水舎」が存在しています。
すでに、私たちのためにかなり簡略化された禊(=手水)になっているわけですから、ぜひこちらは忘れることなく行ってから、神様にご挨拶していただければと思います。

余談ですが、神社によっては、ごく稀に水鉢に水が溜まっていなかったり、中の水が汚れてしまっているようなこともあります。
その際には手水舎の前で手を合わせながら、心の中で「神様、禊をお願い申し上げます」とお祈りしてみてくださいね。
きっと神様が、祓い清めの御力を貸してくださることでしょう!


祓戸神社を見つけたら……

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比較的大きな神社に多いのですが、境内の入り口付近に「祓戸(はらえど)神社」というお社を見つける時もあります。
この「祓戸」というのは、まさしく参拝のために祓い清めをしてくださる「祓戸大神(はらえどのおおかみ)」という神様がお祀りされています。

このお社がある場合は、御本殿の主祭神にお詣りをする前に、こちらに参拝をすることをおすすめいたします。
「祓い」を専門とする神様の御力をお借りして、さらに強力なお清めをしていただけることでしょう。


御本殿から摂社末社を巡る

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祓い清めをして心身が整ったら、まずは御本殿へのご挨拶です。
最初に、ご縁をいただけて無事参拝ができたことや、日頃のお導きやご加護に対して、神様に感謝の気持ちをお伝えできるといいですね!

御本殿の神様にご挨拶ができましたら、次に境内に点在する摂社末社にも、お詣りをしていきましょう。
一社一社ごとに、丁寧に祈りを捧げることができれば素晴らしいことですが、あまりにも数が多い場合などは、二拝二拍手一拝をするだけでもよろしいかと存じます。


授与品やおみくじ、御朱印を受ける

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神様への参拝を済ませたら、その「神縁(しんえん=神様とのご縁)」のおしるしとして、授与所で御札や御守りなどの授与品を見たり、おみくじを引いたり、御朱印を受けるのがよろしいですね。

時間の都合やスムーズな参拝のために、先に御朱印帳をお預けしておいてから、お詣りが終わった後に受け取られる方もいらっしゃいますが、それについてはあまり心配いりません。

大切なのは「受け取る」タイミング。
御札・御守り・おみくじ・御朱印――いずれも、神様との信頼関係があってこそ、正しいお導きがいただけるものです。

神様へのご挨拶が済んでから、その参拝のおしるしを受け取る流れであれば、失礼には当たりませんので、どうぞご安心ください。


愛される参拝マナーで神様とお近づきになりましょう

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今回は、神社参拝の一連の流れを意識しながら、その意味などについてもご説明をさせていただきました。

神道・神社の世界は、知れば知るほど深みを増して、その奥深い魅力を感じられるものです。
少しずつでも知識が増えてゆけば、きっとどんどんお詣りが楽しくなりますし、神様のことも身近に感じられるようになってくることでしょう。

それは、八百万の神様たちに自分の存在を覚えていただき、「両想い」に近づいていく……ということでもあるかもしれません。
ぜひ、神様に歓迎していただけるような参拝をして、たくさんの「神縁」を結んでいただければと思います。

どんなにささやかに思えることであっても、もちろん構いません。
何かご質問があれば、お気軽にコメントなどでお寄せくださいね!


文/巫女ライター・紺野うみ


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