ローストビーフへの長い道
(2011/12/12記)
本日、東京會舘にてサントリー学芸賞授賞式。
晴れやかなセレモニーが終わり懇親会に移れば、フロアはグラス片手に歓談する人々であふれ、運び込まれた数々の料理のよい匂いが鼻をつくようになる。
しかし、ライバル編集者たちの動向に目を配り、受賞者や選考委員たちの言葉に耳を澄まし、知り合いの執筆陣に挨拶まわりをしていると、一滴も飲んでいる暇がない。むろん、東京會舘の名物として知られるローストビーフも口にしたことがない。何度来てもハードルの高い集まりだ。
今年も優れた著者、作品との出会いあり。でも、展示された授賞作品を手にしつつ、値段を見つめ、造本を探り、ビジネスの組み立てを考えている自分がちょっと嫌い。わざわざ「あとがき」をめくって助成金の有無を調べるなんて、もう、ほとんど病気である(苦笑)。
防衛大学校のお仕事がかぶってしまったとのことで五百旗頭真さんがいらっしゃらないのは残念。神戸大学で直接指導した最後の弟子(井上正也さん)の晴れ舞台だったのに。
先日、献本が帰ってきてしまった鹿島茂さんに引っ越し先を教えてもらい、御厨さんに再校ゲラの戻しをお願い、鷲田清一さんと再会を喜び合う(サントリーの授賞式で会うのはほぼ10年ぶり)。山崎正和さんに過日の毎日新聞書評の感想を述べると、思いがけず深い話になって得した気分。
井上正也さんの二次会に混ぜていただいて、細谷雄一さん、村上友章さん、福田円さん、高原秀介さん、佐橋亮さん、白鳥潤一郎さんといった皆さんとお話できたのもハッピーでした。
私は、ここでローストビーフを食べるのは自分が担当した本がサントリー学芸賞を受賞したときと決めている。早く、その機会が訪れるよう精進しよう。