2020.03.01

季節の変わり目には憂鬱になることが多いけれど、月の跨ぎ目には元気になることがある。それは、ぼくの三日坊主精神がそうさせるのだ。三日坊主とは三日で飽きてしまう、ということだけれど、逆に言えば三日は集中がもつ、ということでもある。大抵、計画をたてて、前途洋洋、光の海、という希望に満ちているのがこの月始めであって、そこからなだらかに滑り落ちていく。

地下アイドルのイベントにいった。

小さい箱で、オタクは少なくて、でもきているオタクはサイリウムを指に挟んで激しく踊っている。今、アニメが放映されている『推しが武道館いってくれたら死ぬ』という漫画が、昔好きだった。実際のところ、地下アイドルというものはメンズ、ウィメンズ限らずにどろどろしている。けれど、そういう実態を括弧でくくって無心になる、つまりこころを預けることができるのがアイドルだと思う。この世界にはアイドルを必要とする人間と、そうでない人間がいる。ぼくは必要な人間である、と自覚している。だからミスiDも、そのどろどろをまきこんだ熱量を愛している。ほんとうによい感情になった。

近くの映画館で『去年マリエンバートで』をやっていたので、時間をつぶしてから見ようとルノアールへ行ったのだけど、疲れてしまったのでそのまま帰宅した。

時間つぶしがてらに見崎鉄の『Jポップの日本語』を読んだ。浜崎あゆみやスピッツ、鬼束ちひろの歌詞についての批評で、そのアプローチ自体は面白いと思う。実際、詞というものについてはもっと語られてもいいと思うし、なぜ、自分がそのアーティストを好きなのかを言語化するのは楽しい。けれど、この本については作者の度を越した介入と、無意識的な女性蔑視、若者蔑視の言葉が耐え難かった。

ずいぶんとねむってしまって、目覚めたら朝の4時だった。それから2度寝もできずに、メラニーの『なぜオスカーはおもしろいのか? 受賞予想で100倍楽しむ「アカデミー賞」』を読んだ。名前の通り軽い新書で、映画自体というよりは、アカデミー賞を楽しんでいる人の、アカデミー賞おすすめポイントまとめのような本だ。最近きている配給会社だとか、逆に衰退した配給会社だとか、あるいは主演女優賞をとるための措置だとか、Netflixの扱いだとか、たぶん映画に詳しい人にとっては周知のことなんだろうけど、ぼくには目新しくて面白かった。2019年のアカデミー賞作品賞ノミネート作品は『若草物語』と『アイリッシュマン』と『1917』以外見ているので、これらも早く見ようと思った。

やはり朔日は気力があって長く日記がかける。こういう日がずっと続けばいいのに、と思う。

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