某氏へのメッセージ②

11月21日

家の近くに、日系のレストランがあると知って、日本食が食べたいぼくは行ってみた。が、夕食を外でひとりで食べるのはさみしいな、なんて思ってた。

そこは日系会館併設のレストランで、入るか入らないか迷っていると、奥のほうから剣道の音が聞こえてきた。会場のドアがわずかに開いていたので、覗き見する。
すると10人くらいのアルゼンチン人が、コテ!とかメン!と元気よく竹刀を振っているので、時間も忘れて眺めたのである。しばらく見ていると、「先生」と呼ばれている師範の木村さんが、椅子を出してくれたので靴を脱ぎ、礼をしてあがりこんだ。

こういうとき、ぼくは急に「日本人」である、という思いに引っ張られ、なんだか自分がこの場所で一番それらしく振舞わないといけない、という気になって、姿勢を良くしその光景を見ていた。
日本文化がどうも好きらしいひとりの参加者が、次から一緒にやってみよう、とぼくに声をかけてきた。「いい運動にもなるし、精神の鍛錬でもあるよ」

剣道はスポーツではなく武道であり、精神鍛錬のものでもある。そういう精神がこの地でも受け継がれていくのだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?