某氏へのメッセージ⑦

12月27日

ある町にて。
年末のにぎやかな人混み、強い日差し。果物や雑貨、乾電池などが積み上げられ、並べられているセントロを歩いて、かつてそこにやってきた異邦人のことを思う。
観光地ではないその町の、すぐ近くに国境はある。
人間には移動するということが遺伝子に組み込まれているのだろう。人の行き来がその町の活気を支えているように感じた。そして街角や店の前には、マシンガンを持った警官やガードマンが立っている。
バスに乗って海岸沿いへ行き、楽しい魚を食べた。そして夜、またバスに乗り、年末の喧騒をかきわけてホテルに帰った。

夜中、ホテルの外にタバコを吸いに出ると、犬が激しく吠えている。交差点の警察と、ホテルのガードマンが手で合図をしてから、近づき、暗闇を見つめている。
ぼくもその暗闇を見つめ、ひそんでいるかもしれない誰か、移動する誰か、そして移動するものを狙う誰かのことを思った。

部屋に戻り、耳をすましていると、しばらくして、銃声のような音が聞こえたので、恐る恐る部屋の外を見ると、フロントで、従業員が紙に穴を開けていた。

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