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「カミナシ」ローンチ。残り資金10ヶ月からの反撃開始

前編では、起業してからの約3年間の軌跡と失敗を書いた。3年間分の恥と失敗を全部このnoteに込めた。

後編であるこの記事では、失敗から何を学び、どんなプロダクト(SaaS)を作ろうと思ったか?サービスを通して、どんな世界を作りたいのか?など、昨日公開した記事の、その後について書いた。

※このnoteから読まれる方もいると思うので、簡単に自己紹介をしておきます。既に前編を読まれている方は、読み飛ばしていただければと思います。

はじめまして、カミナシの諸岡です。ノンデスクワーカー(ブルーカラー)向けの業務効率化アプリを開発しています。

2016年に起業して3年半。今日、ゼロから作り直したこのサービスを正式にローンチししました。

【リリース】
PRTimes「ノンデスクワーカーの業務を効率化する現場管理アプリ「カミナシ」正式に提供開始」

日経新聞「カミナシ、作業現場の効率化アプリ」

日経XTECH「工場業務だって働き方改革、現場作業向けペーパーレスアプリ「カミナシ」が正式開始」

Tech Crunch「現場作業員の業務をiPadで効率化する「カミナシ」が正式ローンチ、入力内容を自動でExcel転記」 

良い機会なので、これまで辿ってきた道や、失敗を綴ってみます。

9割は失敗ばかりで、相変わらず不確実性も高いけど、読んでみて「すごく共感した」と思ってくれたら、ぜひ連絡ください。まだ10名ほどの小さなチームで、皆さんの力を必要としています。カミナシで一緒に働きましょう!


そして、「分からない」と思ってもらっても問題ありません。心のどこかで、そっと応援してくれたら嬉しいです。

ここからは、2019年末から、ローンチまでの約半年間について書いていきたいと思います。前編で書いたとおり、サービスの可能性が潰えて、役員が退任し、追い込まれていました。

1.残資金10ヶ月で取り組んだこと

まずやったことは、全ての情報をメンバーと共有したこと。特にキャッシュの部分だ。残高を見せて10ヶ月後には資金が尽きると伝えた。それまでに、サービスをローンチして、確かな成長の証を示さなければならない。

契約していたサービスで、無いと死ぬもの以外はどんどん解約して節約した。これ以上削れないというところまで削った。

出張も原則禁止にしたし、会社負担の飲み会もやめた。どんな小さな消耗品でも買うときは必ず承認を必要とした。ハンガーが必要になったときなど、「家から持ってくるから買わないで」とメンバーの1人が言って、止めたほどだ。皆の意識が変わり、会社は戦時体制になっていった。少ない可能性の光を拾い集め、形にしていく日々が始まった。

こんな状況では、皆で議論している余裕もない。営業して、顧客のフィードバックを直に聞きながら、UIも自分で書いた。権限を集中させて、全部自分で決めていった。現PdMの後藤からはしょっちゅう、「諸岡さん、そのUIはありえません」と叱咤されながらFigmaと格闘して、画面を作っていった。

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2.学びを生かした最後のサービスづくり

次はどうしたら成功するか?0からプロダクトを作ることになった時点で、2つ決めていたことがある。

1つ目は、次の挑戦ではホリゾンタルSaaS(業界を絞らずに水平展開出来るサービス)で戦うこと。前回の反動があり、マーケットサイズなんて気にする必要ないくらい大きな池で戦おうと考えてい。

サービスの対象は3,100万人のノンデスクーワーカー。TAMは大きいことに越したことはない。

『手広くやらずに1つの業界にフォーカスするべき』とか、『サービスの価値がブレる』とか、色々反対意見はあったが、「そうだよね」と言いながらも、絶対に領域を絞ることは考えてなかった。自分が信じたことをやる。この辺りは、前CPO三宅の言葉が支えになった(※)。
※前回記事参照

2つ目に強く決めていたのが、「課題の質は下げる」ということ。

スタートアップのサービスづくりでは聞かない言葉かもしれない。課題は深ければ深いほどいい風潮がある。でも逆だ。とにかく、易しい問題を安い値段で解くことを決めていた。その代わり、ホリゾンタルに領域を広げることで掛け算を増やす。

この考えで作ったプロダクトで得られるのものが、再現性だ。
大きな市場で、確実に解決できる課題を、買いやすい価格で提供する。結果として再現性が高くなる。一言で言えば、易しい。

僕個人は、SaaSを見る時に大体、こんな見方をしていると思う。

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前回は、難しい課題×高単価×小さな市場規模だった。課題が深ければ深いほど良いという言説は正しくない。その分、作れないリスクが生まれたり、高すぎて買えない顧客が生まれたりする

そもそも、そこまで深い課題感であればすでにIT投資されているはずだ。その場合、「レガシーなシステムがイケてない」という問題にすり替わりやすい。そうすると、基幹システムのリプレイスという世界が待っていて再現性の担保ができなくなる。

「深い課題は全て良い」という訳ではないのだ。これからスタートアップ(B2B SaaS)を起業する方に、自分の失敗から1つだけアドバイスするならこの点だ。課題の質を思い切って下げて、解きやすくしてしまうという視点も持つと戦略の幅も広がると思う。

イメージとしては、下図の1・2象限から始めるイメージだ。3象限には、その後に歩を進める(カミナシもこの戦略を採っている)。もし自分の事業が4にあると気づいたらピボットを考えよう。

自分たちのビジネスが、どこにいるのか?極限までシンプルにした図だが、議論の下地としては使いやすいのでオススメだ。

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もちろん、これは自分が経験した1つのケースに過ぎない。

逆に、最初から3象限(難しい課題・高い収益)に真正面から取り組むShippioや10X、LayerXなどは、大型調達をしたり、課金体系に発明を起こしながら果敢に挑んでいる。実際に経験した分、そうしたサービスを心からリスペクトしている。

最初から右側に行くには、資金・戦略、なにより覚悟が求められる。


3.私たちが戦っているもの、変えたい世界

カミナシが上記の象限でどんな風に戦っていくのか?そうした戦略についても話したいのだが、それは改めて記す。

それより、そもそもカミナシが何のために存在して、何と戦っているのかについて伝えておきたい。

私たちは、ノンデスクワーカー3,100万人のための業務効率化サービスを作っている。日々、PCがない環境で働く現場の人たちが使うサービスだ。

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皆さんがオフィスを出て帰るまでに目にする、エレベーターを点検している人、立ち寄った飲食店の店員さん、工場作業員の方、空港を守る警備員・・・そんな人達が使うサービス。

彼らは仕事する際に、PCを利用することが出来ない。オフィスワーカーの様に常にITが使える環境にはない。そのため、紙中心にオペレーションが組み立てられ、多くの非効率の中で仕事をしている。工場でも、空港でも、飲食店でも、小売でも、どこでも手書きの紙でのオペレーションが存在している。

非効率な写真_png_と_デスクトップ


現場が非効率なだけではない。紙の中に情報があると、管理職や経営陣は現場の実態が見えない。自分たちの業務品質を把握できないし、施策を打ってもリアルタイムでフィードバックを得られない。これは経営的な課題でもあるのだ。以下は、諸岡の友人である警備業経営者の課題感である。

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現場では効率が、経営層では品質が課題になることが多い。

この問題は、業界問わずに起こっているが、もう20年近く解決されていない、普遍的な課題だ。カミナシはこの問題解決に真正面から取り組んでいる。

これは、特殊で込み入った話なんかじゃない。現場では、誰が見てもおかしな光景が広がっていて、働き手を不幸にしている。

僕自身が実際に現場にいたから分かることだが、優秀な若手ほど現場仕事に見切りをつけて早々に転職したり、モチベーションを失っていく。
しかし、それも当然のこと。

彼らのほとんどが、普段スマートフォンを使って便利な生活を享受しているのだ。いや、若者だけじゃない。iPhoneが発売されて早13年、当時の45歳は既に58歳だ。

つまり、現場で働くほとんどの人が、プライベートではITを使いこなし、人生の大部分を過ごす仕事場では20年以上前のスタイルで仕事をしなければならない。こんな不条理なことはないと思う。

制服を着た瞬間、20年前にタイムスリップする。アプリは紙に代わり、デジタルカメラが大活躍。ボールペンがなければ仕事にならない。少なくとも、僕にとって、これは当たり前ではない。

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この“あり得ないズレ”を解消して、新しい現場の働き方を現実のものにしていく。それこそが、自分やメンバーがこの会社で働く理由。カミナシが存在する社会的な意義だと考えている。


4.反撃開始

そんな思考や経緯を経て、2019年末から一丸となってプロダクト開発を続けてきた。メンバーは本当に頑張った。

製品もまだなく、デモも出来ない状態だったが、サービスサイトを先行公開して、問い合わせを募った。すると、結果が少しずつ出始めた。それまで提供していた食品工場向け専用のサービスに比べて、圧倒的に多くの問い合わせをもらうことが出来たのだ。

マーケティングコストは掛けずに、オーガニックでの流入で約600件の問い合わせを獲得。課題感を持つ顧客は多い。市場はあると確信した。

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徐々に、社内の雰囲気も良くなっていった。日本を代表するエンタプライズ企業からの問い合わせ⇢商談⇢最高の評価をもらったときは、社内に歓声が起きた。

「これは勝負できる」

そんな前向きで、明るい空気がオフィスに広がっていった。グローバル企業での最終稟議待ちや、1,000を超えるチェーン店での商談など順調に進んでいた。

ところが・・・だ。

コロナがこの勢いに冷水を浴びせた(リード獲得も4月は一気に落ち込んだ)。空港は閉鎖され、飲食店は休業、ホテルは大打撃。現場が動かないと商談もトライアルも進まない。勢いは止まった。

でも、皆それくらいでは、へこたれなかった。もっと辛い時期を過ごしてきた自分たちには、半年前よりも余程良い状況だったからだ。

3月からβ版のトライアル提供を開始して、プロダクトの改善を重ねてきた。トライアル後に、65%の顧客が有償契約に転換してくれたことで、一定のPSF(プロダクトソリューションフィット)を確認することが出来た。

市場を大きく広げた結果だが、トライアル含め、飲食チェーン、工場、警備業、製薬メーカー、保育園、介護施設、コンビニ、商社、コンサルなど多様な業界での導入が進みつつある。ホリゾンタル(業界横断の市場)に行くという意思決定は間違っていなかったと自信に変わっている。

そして今日、サービスを正式にリリースした。もちろん、まだまだ不確実な要素はあるし、PMF(プロダクトマーケットフィット)したと言い切れない部分も多い。解消できてない課題や、対応できていないユースケースもまだまだある。

しかし、間違いなく、反撃の狼煙は上がった。

5.いっしょに旨い酒を飲みたい

前後編と、約1万字のnote。最後まで読んでくださって、本当にありがとうございます。

これが、自分と仲間たちが過ごした3年半の物語です。そして、今日から第二創業という新しい章が始まります。

カミナシではこれまで採用をほとんどしてきませんでした。
強いプロダクトと有望な市場が見込めるまでは、人を増やしたくなかったからです。しかし、やっと勝負できる手札が揃いました。

カミナシでは全方位のポジションで採用をオープンしています。これまで書いてきた内容や、事業に少しでも興味や関心を持ってもらえたら、是非お話させてください。

今も少しずつ仲間が集ってきています。

5月、この3年間探し続けた待望のデザイナーがジョインしてくれた。新しいサービスサイトのデザインが最初の大仕事だったが、素晴らしい出来栄えになっている。

そして、6月からはビジネス&開発双方の経験を持つメンバーもPMMとして入社してくれた。元パーソルで数十人のSaaS事業を統括⇢カヤックでPdMとして活躍した経験を持つ。


私たちの会社はまだ10名ほどの小さな会社です。

各部門もまだ形になっていないか、存在すらしていません。だからこそ、今ジョインする価値があると思っています。ブルーカラーの業界を変革する、歴史に残るSaaSの創業メンバーとして参画してもらえるタイミングです。

3クリックを1クリックにするのも確かに大きな進歩です。しかし、紙で溢れた世界をデジタルに変えていくことは、それ以上に刺激的です。

ぜひ、僕らが紡ぐ、冒険譚に主役の1人として参加してください。

2つのnoteに書いたとおり、私たちはしつこく、決して諦めません。成功するまで、勝つまで続けます。そして、3年後、5年後、10年後に、今の苦労や成功、失敗を肴に酒を飲みたい。そう、これを読んでいるあなたと。

もし、人生でいつか勝負したいと考えているなら、それは今です。
気軽にご連絡ください!お茶でも飲みながらお話しましょう。

※是非、下記よりご連絡ください。
どちらからご連絡いただいても大丈夫です!お待ちしています😊



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起業家(SaaS)|株式会社カミナシCEO |2020年6月リリースhttps://kaminashi.jp|シリーズA🚀| |IVS Launchpad SaaS優勝|全方位採用中です!宜しくおねがいします!