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水引×ジュエリーブランドのコラボ商品「水引お祝いフレーム」ができるまで

こんにちは! 紙単衣の水引デザイナー小松です。

2月3日に新商品「水引お祝いフレーム」シリーズを発売しました。
”家族”をテーマにしたジュエリーブランド「KAZOKU JEWELLERY(カゾクジュエリー)」さんとコラボレーションした記念日を彩るギフト用品です。
商品とサービスに関する詳しい内容は、オンラインショップのブログに掲載しています。

noteでは、2ブランドが試行錯誤しながらコラボ商品を作り出した裏側をご紹介したいと思います。コラボ商品を作りたい方の参考になればと思っています。

コラボのきっかけ - 間口を広げる

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KAZOKU JEWELLERY(カゾクジュエリー)」のデザイナー西口詩織さんと知り合ったのは、1年半以上前の勉強会。コラボのきっかけは、2019年4月に西口さんのアトリエ&ショップがIID世田谷ものづくり学校にオープンを予定していた頃です。

共通のSNSグループで、西口さんからこんなメッセージが投稿されました。

ワークショップを KAZOKU JEWELLERYとコラボして開催してくださる方を募集してます。『笑顔がうまれる』KAZOKU JEWELLERYのアトリエショップなのでコンセプト、テーマに沿って出来たら良いなと思ってます。手探りな部分もあるので、お互いが目的と目標を持って結果どうだったかフィードバックするところまで一緒にできたら良いなと思います。  

その頃の私は、ちょうど大きな展示が終わって、新しい企画をはじめたいと思っていました。西口さんが間口を広げてくれていたおかげで、私から連絡を取り、コラボするきっかけができたのです。

共通のコンセプト・ターゲットを探す

募集していたのはワークショップでしたが、私の他にも希望者は集まっていて、すでに企画が動き始めていたので、ワークショップ以外の可能性も考えてみることにしました。

まずは、それぞれの事業について整理してみます。

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西口さんの事業を拝見して、扱っているものは違うけれども、私もオリジナル水引製品を販売するときは、ミッションに「故郷(家族)への想いを水引で表現する」、目的に「水引を使うことで"故郷(家族)"を感じ、あたたかい気持ちにする」という意味も含んでいて、表現の源はかなり近いことに気がつきました。これまで生きてきた中で支えてくれた人とのつながりを大切にしたいという想いが共通しています。

続いて、それぞれのお客様の利用シーン(市場)について話し合います。

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その結果、お祝い、記念品、贈り物のシーンで利用されるという共通項が見えてきました。利用シーンに現れるそれぞれのお客様像も見えています。大切な人のことを考える「人とのつながりを大切にしたい」という想いが最も表れるシーンでもあるので、この分野の商品をお互い強化していきたいという意気込みもあり、何か相乗効果が得られるようなことができたらいいなと思い始めます。

コラボするメリット、続けられる仕組みを考える

両者とも個人事業主でアトリエショップ(=売り場)を持っているという共通項もあります(2020年当時)。
…なので、それぞれの場を離れずにできることがいい、共同作業はできるだけ少ない方がいいということもあげられます。

コラボに期待すること、続けられなくなりそうなことを考えてみます。

コラボに期待すること
・お客様を紹介し合える
・話題作りになる
・これまでになかった新たな収益をお互いに得られる(理想)

失敗しそうなコラボ
・既存の主業務の邪魔になる
・利益が出ないのに作業量が多い
・作業量と利益配分が不公平

話し合いの結果、お互いのショップで販売できる お祝い、記念品、贈り物のシーンで使う「つながりを大切にしたい」という想いにそった紙単衣オリジナル水引製品を作ることにしました。お金の流れも通常の委託販売と同様に手数料支払いとすればスムーズです。

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さらに、受注生産にすることで、お客様の顔を思い浮かべながら、ひとつひとつ丁寧に作ることができます。また在庫リスクもなくなり、利益の見込めない制作作業はなくなります。  

コラボ商品の企画から試作

コラボ商品ではじめに頭に浮かんだのは、ジュエリーを収納するリングピローやケースですが、既に素敵なオリジナルアイテムがありました。

そこで、KAZOKU JEWELLERY さんの商品の中でも特にユニークな西口さん手書きの似顔絵イラスト刻印シリーズに注目しました。ジュエリーへ刻印されるととても愛着がわきますね。

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似顔絵イラストは、刻印以外では現在ハガキサイズの紙に印刷してシンプルな額に入れて、似顔絵ジュエリーをご購入されたお客様にプレゼントされているそうです。こちらの額を水引で豪華に飾るオプションサービスはどうだろうとアイディアがわきました。当時のメモ↓  

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ジュエリーと一緒に手元にあったらきっとお客様も嬉しいし、2ブランドのコラボでしか実現できない独自性の高いアイテムになりそうと思いました!  

試作前にデザイン画や類似写真を集めてイメージを固め、しっかり設計していく場合もありますが、現物とイメージが違う…ということにもなりやすいので、本当に似顔絵イラストの額装の商品化で進めるかイメージのすり合わせも兼ねて、早速試作に入りました。  

当初3ヶ月くらいでできるかなと思っていたのですが、蓋を開ければ、半年以上かけて大量に試作を繰り返すことになりました。以下はその頃のデザイン案の一例です。

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<検討したこと>
構成について

・主役は似顔絵イラストなのか、水引細工なのか。
・イラストの柔らかさとジュエリーの高級感、テイストはどうするか。
・水引細工の形状や色味に意味を持たせるか。
・何種類作るか。
・額の形・サイズ・色はどうするか。
仕入れについて
・より安価な仕入れ先の選定
・供給、品質は安定しているか
製造について
・どのくらいの工数をかけるか。
・作り手が変わった場合に再現性のある技術か。
価格について
・原価計算。利益率
・市場調査。価格との比較。類似品はあるか。
顧客視点
・「素敵!」「欲しい!」「贈りたい!」と思えるか
・適正価格か  

正直なところ、途中で私は何度か心折れそうになりましたが、その度に西口さんに支えられ、周りの人にも試作品を見てもらい、アドバイスをもらいながら、10月の打ち合わせでようやく着地点が見えてきました。

さらに、KAZOKU JEWELLERY さんのアトリエ&ショップで定期的に行われている撮影会「かぞくの時間」の家族写真や結婚式の写真など、フレームの中身を自分で入れ替えられると付加価値が出ていいかも!というアイディアが出てきました。

こうして、花言葉の意味、色・種類のバランス、品質の安定性、ボリューム感、お客様満足度などを考慮しながら、水引装飾を最終調整し、11月下旬についに5種類の水引お祝いフレームが完成しました!

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1.松竹梅 金 … 吉祥(松:長寿 / 竹:繁栄 / 梅:開運)30,000円(税別)
2.松竹梅 銀 … 吉祥(松:長寿 / 竹:繁栄 / 梅:開運)30,000円(税別)
3.マーガレット…花言葉:真実の愛 15,000円(税別)
4.いちご…花言葉:しあわせな家庭 15,000円(税別)
5.青いバラ…花言葉:神の祝福 15,000円(税別)

また、紙単衣の直接販売では、同価格で記念日やお名前など文字をプリントして額装するサービスを付与することにしました。

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どちらのショップで購入しても、「大切なひとへの想い」を感じられる世界にひとつだけのお品物を受け取ることができます。

完成したら商品の仕様書を作りますが、今回は特に共有する必要がないので、個人的に控えておきます。

付加サービス、規約作り

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利用シーンはお祝い事や贈り物を想定していて、価格が高めということもあり、どちらのショップで購入されてもギフトラッピングと配送料を一律無料にすることに決めました。熨斗はつきませんが熨斗風です。ラッピングについては、小金井市内のハコマルギフトさんに相談にのっていただきました。水引飾りはジュエリーをイメージしてゴールドの縁起の良い結びにしています。

また、紙単衣とKAZOKU JEWELLERY さん間のトラブル防止のため、簡単な規約を2部作りサインをして、それぞれ保管しています。

規約の内容
・委託販売の掛け率
・支払い条件
・共有データの取り扱いについて
・商品破損時の賠償、対応方法
・半年ごとに契約内容その他話し合いをして見直す
・取引解除の申し出時期  

販売準備

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売り場に合わせて、販売に必要なものを準備します。

店頭販売:値札、POP、什器、注文用紙、袋
オンラインショップ:商品写真、商品名、説明文、段ボール箱、緩衝材

JANコードを取得する場合は、このタイミングで取得します(今回は取得していません)。

その他、SNSやブログ、メルマガ、広告バナー 、プレスリリース配信、チラシ配布など、必要なだけ広報準備を進めます。発売予定のお知らせを先行配信しても良いですね。

また、お客様にお伝えすべき注意点があれば共有します。  

販売開始

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2020年2月3日、とうとうコラボ商品「水引お祝いフレーム」が発売となりました。両者のオンラインショップで絶賛販売中です。

■紙単衣オンラインショップ:https://kamihitoe.theshop.jp/

■KAZOKU JEWELLERY オンラインショップ: https://kazoku-jewellery.com/

さいごに

今回は「こんな商品があったら、お客様に喜んでもらえるかも!?」というアイディアを元にした、いわゆるプロダクトアウト型のコラボ商品開発でした。…もとい、途中から私の新商品開発に、西口さんが販路付きの企画協力をする取り組みへ移行していた気もします。。とにかく大変勉強になりました。  

知っている間柄なこともあり、ゆるい取り決め、ゆるい進行でしたが、お互いが目的と目標を持って結果どうだったかフィードバックするところまで一緒に取り組むという前提から始めているので、規約に記した半年ごとの話し合いで、今後もどのようにしたらもっとお客様に手に取っていただけるのか、長期的に育てていきたい商品です。  

さいごに、コラボ企画の醍醐味は相手との化学反応を楽しむことにあります!違う意見をすり合わせたり、この組み合わせでしか実現できないことを探したり、たとえ挫けそうになっても、なんとしても諦めない精神がとても重要です。
私のブランドのミッションに掲げている「水引の普及と可能性の探究」に取り組む要素がコラボ企画にはたくさん詰まっているので、またいつでも挑戦してみたいです!

【この記事に関するお問い合わせ先】
kamihitoe.shop@gmail.com  

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