見出し画像

お正月の「しめ飾り」を作って販売するために、伝統と商業とSDGsとお客さんと売り場と私のやりがいを考えた話

こんにちは! 紙単衣の水引デザイナー小松です。

いよいよ2021年も残り日数をカウントダウンする時期が近づいてきました。
今年は百貨店様からお声がけをいただいて、私の水引ブランド“紙単衣”から初めてお正月飾りを販売することになりました。

11月末となる現在は、すでに商品をオンラインショップでも販売中です。

この投稿では、日本の風習かつ水引業界の代表商品「しめ飾り」を作って販売するにあたり、私が向き合い気にかけた点、今後もきっと同じように立ち止まって考えるであろう、伝統と商業とSDGs等の落とし所を探るいち備忘録として綴っておきたいと思います。

◎商業的に:売り場があって始められるありがたさ

2021年初夏頃に百貨店様から「年末にお正月用品の出店をお願いしたい」と打診をいただきました。百貨店内で短期間販売スペースを設けさせていただくPOP UP SHOPと呼ばれるイベント出店です。

これまでにも自宅用やワークショップ作品、オーダーに応じたお正月飾りは少量作ってきましたが、商品化してこなかったわけは、水引産業に貢献したいという事業開始時の動機に対して、業界の主力商品を販売すると単なるライバル事業者になってしまい、貢献につながらないのではないか…という思いと、年末ギリギリでも在庫を切らせない量販店のお正月飾り売り場を目の当たりにして、もう飽和市場なのではないだろうか…と思っていたからです。

しかし、直接企業様からオファーをいただけるというのは素直に嬉しいお話で、自分の商品を手にして喜んでくれるお客様が増えるならば、ビジネス的に一度は挑戦してみるべきでしょう。

こうして、まず百貨店に並ぶことが決まった、未だ見ぬお正月飾りについて、売り場のご担当者様からは

赤・白・ゴールド・シルバー等を使ったとにかくお正月らしい飾り

とご要望をいただきました。

◎伝統的に:守るべきデザインルールを決める

お正月の「しめ飾り」について、2019年の年末に書籍を読んでnoteに投稿したことがあります。

この時に学んだ印象的な3点。

●お正月とは:新しい年の福を授けてくれるトシガミ様を家に迎える期間
●年末とは:一年を振り返り清々しく新年を迎えるための心の準備時間
●お飾りの装飾品とは:どの縁起を担ぎたいかによって選ぶ

年末に今年収穫した稲藁で自分の手で作るのが本来の「しめ飾り」ですが、私の専門は「水引」。

フェイクなりに大切にしたい作る上でのルールは、

お客様がどの縁起を担ぎたいかを心に決めて選ベるようにする

に決めました。

◎社会的に:「つくる責任 つかう責任」を考える

作り手として近年考えなくてはならないSDGs。日々の生活の中で気にかかってはいるものの、自ブランドやOEMの商品製造・販売にあたり、プラスチックや労働環境の不明な海外製造資材を使う機会はまだまだあります。

今回作るお正月飾りの装飾品や個包装に何を使うかと、そもそも毎年どんど焼きに出すという消耗品を作るのはどうなんだろうか…悩ましく思います。

初めてお正月飾りを作るにあたり、今回私は心苦しくも下記を優先しています。

今年の縁起で選ぶお飾り(使い捨て) > 毎年繰り返し使えるお飾り
耐久性がある人工製品(一部) > 劣化する自然物

手作業でかかる製造時間、素材の手に入りやすさ、デザイン上のバランス、価格設定、消耗品扱いだからこそ続いている産業のことなども考えました。

最終的には、不穏な世界の今だからこそ、新年を心清めて迎える日本ならではのしめ飾り文化を尊重したお飾りを提案したいと思い、作るものを絞り込んでいきました。

プラスチックが入っているなら購入しないという方や、もしかしたら数年間は同じお飾りを使い続けてくださる方がいるかもしれません。そこはお客様自身の自由な選択です。

◎感覚的に:デザインキーワードを決める

どんなデザインのお飾りにするか、まずはお声がけいただいた百貨店様が期待して下さっている商品を考えてみます。

・水引細工のおめでたさ・華やかさ(紅白金銀のお正月らしさ)
・紙単衣ブランドらしさ

私の代表的な商品は、「あわじ結びコレクション」という淡いカラーが印象的な20〜40代女性向けアクセサリー・雑貨です。

この色味に限定すると、百貨店様が提示した要件とずれてしまいます。
そこで、洋風さを盛り込みつつ、私の感覚による言葉になってしまいますが、日常アイテムと共通する「かわいい・縁起良い・上品」というデザインキーワードは盛り込みます

さらに、老若男女が訪れ、類似商品も並ぶであろう百貨店の売り場を想像して、個人的にはシンプルが好きだけれども、売り場で見劣りしない豪華さを保ち、若い女性以外のお客様にも目を留めてもらえる種類を用意することにしました。

◎完成商品:7種類のお正月しめ飾り

こうして、お客様が2022年に込める思い(担ぎたい縁起)に適したお飾りを選べるように、それぞれの装飾品の意味や水引細工の色・形をあれやこれやと調整しながら、7種類のお飾りが完成し、ひとりでえっさほいさと作っています。

◎さいごに:販売場所と私のやりがい

作ったお正月飾りは、紙単衣オンラインショップのほか、現在以下の販売場所が決まっています。

■11/26(金)〜29(月)23:59 オンラインショップ10%OFF!
1,000円以上のお買い物で【クーポンコード:black2021】をお買い物画面で入力すると10%引きになります。
紙単衣オンラインショップ:https://kamihitoe.theshop.jp/

【お正月飾り 販売場所】
◾️12/5(日)9:30-17:00 かぞくの〜結び〜撮影会 (小金井市)
場所:マミンカの家(中島様宅) 東京都小金井市緑町3-14-13
アクセス:小金井公園正面口より徒歩2分

■12/8(水)〜1/4(火)グランデュオ立川 1階
場所:〒190-8554東京都立川市柴崎町3-2-1
アクセス:JR中央線立川駅直結 / 多摩都市モノレール立川南駅 徒歩1分
デザイナー在店日時:26(日)11〜18時、29(水)・30(木)11〜19時

◾️12/26(日)〜31(金)東武百貨店 池袋店 1階 
場所:〒171-8512 東京都豊島区西池袋1-1-25
アクセス:池袋駅西口 直結
〈JR〉中央1・2改札 徒歩1分〈東武東上線〉中央改札1・2 徒歩1分〈西武池袋線〉B1改札口 徒歩7分

もし「今から扱いたい!」というお店がございましたら、可能な限り頑張って作りますので、お問い合わせくださいませ。

今年、お正月飾りを作ってみて、私が水引商品を開発するにあたり気がかりな点にいつも以上に意識的になれて、その気がかりが取れるほど作った甲斐があったと思えることがわかったので、チャート図にしてみました。この図が正五角形に近づくほど働き甲斐を感じます。

チャート

今回は売り場ありきで普段のお客様よりも広いターゲット向けに作っているので、既存顧客向けの満足度としてはブランディングは低め、SDGsと業界貢献度は、仕入れ・製造工程・販路等を調整すれば「もっとできる!やりようがある!」と思えるのでさらに低めになっています。

ひとり自由に作っている私のような作り手も、「伝統」や「SDGs」という広義かつ正しさを求める人がいる場に遭遇すると、緊張感にぶつかりますが、上記のチャート図のように一つずつ要素を分解していけたら、少し気が楽になりそうです。

あと商品を作ったら気にしなければならないのはもちろん売上で、来年以降も同じようにお正月飾りを製造・販売するか決める判断に関わってきます。そこはこれからが本番なので、12月中頑張って、年末にひっそりと振り返りたいと思います。

【この記事に関するお問い合わせ先】
kamihitoe.shop@gmail.com

↓↓↓♡やフォローもよろしくお願いいたします!↓↓↓

紙単衣Instagram:@kamihitoe_mizuhiki
紙単衣Twitter:@kamihitoe_shop

サポートいただいた際には、新たな水引製品を開発するための材料や小道具を充実させたいと思います!オーダーメイドのご依頼もお待ちしています。