見出し画像

旅がなくとも

世界一周から帰国して、ちょうど1年が経った。
その間に世界は随分と変わってしまった。
「パスポートと飛行機のチケットさえあれば、いつだって世界一周を始められるよ」なんてたくさんの旅人が言っていたのが嘘みたいに、旅をすることが難しくなった。

旅に出られない時だからこそ、世界一周で見聞きしたものを発信しておうちから楽しんでもらえたら…。
という気持ちになれたら良かったのだけど、旅をしていた日々はちょっと眩しすぎて、当時の写真をじっくり振り返ることができなかった。


そんな2020年4月以降わたしは何をしていたかというと、岡山県と鳥取県の県境にある村に引っ越して、草木染めのブランドのお手伝いをしていた。

草木染めの流れを一通り教わったり、
渋柿を砕いて柿渋を仕込んでみたり。

画像1


村の桑の葉で染めてみたり、藍の生葉染めをしたり。

画像2

画像3

画像4

画像5


村のヒノキの皮からこんなに美しい色が染まることを知ったり。

画像6


ひたすら布を切ったり、アイロンがけしたり、畳んだり、箱に詰めたり。

画像7

画像8


布の端切れで紙を作る実験をさせてもらったり。

画像9

画像10


インターンに来て、自分でパターンをひくところから縫製、染色までして服を作った女の子の撮影をさせてもらったり。

画像11


そうして知ったのは、自然の色彩は豊かでやわらかくて、何度眺めても美しいと感じること。その端切れさえ美して、捨てるのが忍びないこと。

画像12

画像13


一箇所に留まるからこそ分かる季節の移り変わりや、植物を素材とするからこそ感じる草木の旬があること。
あと、写真を撮るのが楽しいこと。

画像14


2020年、kami/としての紙の活動の傍らにはこんな日々があった。旅に出られない代わりに。
1年前には想像もつかなかったことだけど、思いもよらぬ形で訪れた草木染めに携わる日々は彩やかで美しかった。

紙から少し離れ、ひとつのブランドを続け動かしていくのを間近で見て、やっぱりわたしもひとつ築き上げたいと思った。場所やブランドや製品を作り上げていきたいと思った。

紙に関してあまり前に進めなかったように感じた1年だったけど、意外と大切な立ち止まる期間、整え直す時間だったのかもしれない。


旅をするのは楽しいし、旅ができなくても楽しい。
世界一周から帰国して1年が経ち、振り返ってみてようやくそう思えるようになった。
とはいえ旅が恋しい気持ちもあるので、早くコロナよ落ち着いてくれ。


画像15

△ 1年前、15か国目の韓国から日本に向かう飛行機

お手伝いさせてもらっている草木染めブランドはこちら

#世界一周 #草木染め

こんにちは、kami/(かみひとえ)です。いただいたサポートは、「世界の紙を巡る旅」をまとめた本の出版費用に充てさせていただきます。今年の12月に発売できる…はず…!