過去のM1グランプリをあえて振り返ってみよう。2001年度版!

ライブやネタ番組の感想記事なども書いて見たいが、最近ライブが自粛していることや、最近のネタ番組の感想などは、自分よりも上手く書ける方がたくさんいる。
ならば、

**あえて過去のM1グランプリを見返して、結果や優勝者がわかっている状態のものを今観た感想を書いてみたい。 **

直近まででなく、あえて2001年から中断前の2010年までを観て感想を書きたい。(状況次第では2015〜2019あたりも書いてみる)

辿っていくことで、10年のお笑いの歴史の変遷。そして最後の大会ですら今から10年前になるので、今観るとどう感じるのか、ということも併せて書いていきたい。

もう一度AmazonプライムでM1の映像で観返してからの感想。
アマチュアでも成功してないお前が書くのか?というお声もありそうだが、一視聴者としての感想、あるいは戯言として観ていただければと。お付き合い頂ければ幸いだ。

2001年はM1グランプリが始まった年。
実はこの年は個人的に唯一、3回戦と準決勝を生観戦していた。
会場はまだできたてのルミネtheよしもと。
当時のMCはなんとブレイク前の千原兄弟!
まだ売れる前の全国の漫才猛者たちが爆笑漫才で凌ぎを削る合間に、チハラトークが楽しめるという、とんでもない内容で、今だったらプレミアチケット間違いなしの内容だった。
さらに、この年は板尾創路と木村祐一の即席コンビの「イタキム」などが出場し、会場を盛り上げていた。

3回戦、準決勝あたりになると、当時のオンエアバトルの常連メンバーも多く、
面白い漫才がたくさんいたし、アマチュアの強豪も1〜2組勝ち上がっていたように思う。

さて、そして決勝である。
改めて見返して観ると今ほどの華やかさはなく、どこかザ・ベストテンみたいなセットで、無理に華やかにしようとしてる感がある。なんかモヤモヤっとした感じでスタート。

①中川家
初代王者中川家。優勝するとわかっている上で観ると不思議な感じだ。ただ、すでに優勝候補の筆頭であった。この時点での一般の知名度もかなり高かった。
得意の電車における人物描写から水難事故のネタ。電車ネタあたりには緊張が見られたが、電車ネタの後半あたりから水難事故にかけては、テンポアップしていて、2人の掛け合いがどんどん面白くなっていった。今ほどのどっしり感がない分、若手らしい勢いと、テンポ、さらに2人とも笑いが取れるという武器がこの時の中川家の武器だ。兄弟という利点を大きく活かしているのが改めてよくわかる。トップでこれは凄い。

②フットボールアワー
後の3代目王者。この時点でのフットボールアワーは後の面白さの片鱗はありながら、まだ完成してない感じがある。緊張もあり、パワーや勢いも感じない。
さらにたまに映る審査員たちの無表情な顔がそれに拍車をかけていた。
ボケの一つ一つは今見ても決してつまらなくはないが、テクニックや勢いが不足しているのか、会場にハマっていない。
素材は揃っているのに、残念ながら料理人のテクニックが追いついていない、といった感じだ。

③チュートリアル
未来の王者が続く。2006年王者チュートリアル。緊張のせいかツッコミの福田がテカテカでちょっとテンションがおかしい。徳井も後のクレイジーさのあるキャラはなく、比較的素に近いトーンのボケだ。
王者になった時の漫才とは全然違う。
M1が彼らを成長させたという事実がこのときの漫才が物語っている。
よくある桃太郎がテーマの漫才。フットボールアワーと同様にボケの一つ一つはそんなに悪くない。やはりこの時のチュートリアルもテクニック不足。それに、M1はこういうスタイルの漫才が通用しないというのが、改めて浮き彫りにされている。ここから5年ほどの歳月を費やして全く違う型を完成させて優勝に至ると思うと感慨深い。

④アメリカザリガニ
松竹芸能組。オンエアバトルでは常連組であり、人気もあった。華もあり、凄いタレント性も感じる。漫才も盛り上げる力が凄く、面白い。
彼らが2010年くらいまで出場できる結成年数だったら、どれほど漫才が進化しただろう、と思うと悔やまれてならない。
ここで審査員の笑顔も見られた。ツッコミの柳原がとてもいい。さすがオンエアバトルで連戦連勝してるコンビだけある、と感じた。この時点で、フットとチュートを退いて暫定2位なっている。
凄く妥当だと思った。
松竹のため、大阪の一般審査員の点が低いのが目立った。 

⑤おぎやはぎ
レコーディングネタ。どうやら新ネタだったらしい。おぎやはぎの良さが出つつも、消化不良だった。大阪の一般審査員が9点ということで、会場から悲鳴が上がっていた。

⑥キングコング
この時点で結成わずか2年。スーパーエリートコンビ。漫才ブームの頃のような早いテンポと、梶原の動きは絶頂期のナイナイ岡村のようなキレのある動き、ツッコミの西野はテンポはいいが、まだまだこの時はやはり力がないように思う。
しかし、漫才ブームの頃のような、ボケのみが9割しゃべるスタイルではなく、2人で早いテンポでも、しっかり掛け合いをしているところから、彼の才能が見え隠れする。やはりツッコミというのがいかに難しいかが、よくわかる。
ただ、結成2年でこのレベルは圧巻の一言。
今までの漫才の中でも出来は良かったと思う。暫定4位だが、個人的には中川家、アメリカザリガニの次でいいと思う。

⑦麒麟
ここではダークホースで一般的には全くの無名の麒麟。僕は当時はオンエアバトルのヘビーな視聴者であったが、この時完全な初見で、見たことが無かった。予選も大阪会場で通過したのだろう。川島の顔が今とはびっくりするくらい違う。
漫才を小説風にするネタ。前半の漫才をフリにして、後半にその漫才の流れで小説の解説を入れる。発想や構成はいいが、やはり川島と田村2人ともテクニックの粗さは目立った。暫定3位だが島田紳助、松本人志両名の評価が高い。2人はテクニックよりも発想を重視しているのがわかる。
「僕は今までで一番良かったですね〜」
天下の松本人志に全国ネットでこう言わせた無名の麒麟。順位や優勝よりも何よりも嬉しい神の言葉だっただろう。当時もこれは大きな話題となった。
ここからの麒麟はテクニックをつけてかなり成長していく。後のM1でそれが観れるようになるのだ。

⑧ますだおかだ
松竹芸能組2組目。翌年のチャンピオン。今までの漫才とは違い、非常に安定している漫才。テクニックだけで言えば中川家と対をなす、と言っても過言ではない。アメリカザリガニ同様、オンエアバトルで連戦連勝してるコンビで、ルックスもおしゃれで華がある。
寄席やライブでは間違いなくウケるネタだろう。しかし中川家と違うのが、ネタやテクニックはあるが、この時はやはりパワー不足、といったところか。

⑨DonDokoDon
芸達者のぐっさんと地方芸人平畠のコンビ。かなり前に解散してしまっているため今や激レア映像。無冠の帝王、との紹介だが、オンエアバトルでは初代王者。ぐっさんは既に売れっ子で有名人が漫才をやっている感がある。
ちゃんと面白いが、はじけていない。なんか色物枠的な感じがあり残念。

⑩ハリガネロック
ここも解散してしまったコンビ。ユウキロックのパワーでしっかり会場を掴む。
テンポもよく、声も凄くよく出てる。
お客さんは掴んでいるようだが、審査員は渋い表情。雰囲気作りは上手いが、ボケの一つ一つを取って見ると、他のコンビより弱い気もする。それと結構ブラックなネタも多い。一般審査員票は凄い稼いでいた。
結果、暫定2位のアメリカザリガニを抜いて、中川家と最終決戦に進む。
この時は最終決戦は2組のみだった。

最終決戦。
ここでも一番手の中川家。
序盤から中盤まではかなり厳しかった。
礼二もカミカミで、漫才がノってないのがわかる。しかし、中盤以降の巻き返しが素晴らしかった。
いつもの中川家のテンポに戻り、一本目と同じような流れに持っていった。
中盤までの流れのままいっていたら流石に負けていただろうと思う。

後半、ハリガネロック。
しょっぱなからこっちは掴むのが上手い。凄いテンポがいい。
ただ、ユウキロックと大上のバランスが悪い。ユウキロックはうまくて面白いが、大上がメインでしゃべる部分はダレる。

最終得票が今と違い、1人1人面白いコンビのボタンを押していくという審査。ガチ感が凄い。
結果8対1で中川家の優勝。

総括すると、かなり雰囲気が固すぎる。
初めての大会ということもあり、色々手探りだったのだろうが、審査員の表情もガチで、漫才ごとのコメントもなく、盛り上がりに欠けていた。司会の赤坂さんのミスもなかなかひどい。中川家を石川家といったり、ハリガネロックをアメリカンロックと言うなどコンビ名のミスも目立った。会場が異様な雰囲気だったのがよくわかる。凄く番組自体が機械的に進行されていた。
点数も60点台もある、など今とは全く違う。メンバーもそうだが、凄い歴史を感じる。そしてここからがスタート。これから毎年10年以上も続く長寿番組になっていき、ここからキングオブコントやR1ぐらんぷりなど、様々なコンテスト番組を生むことになる。
#M -1グランプリ
#お笑い
#芸人
#中川家

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