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【KAMEの蹴球三昧#11】20/21UCL GS MD5 マンチェスターU対PSG プレビュー

今季のUEFA CHAMPIONS LEAGUEもグループステージの第5節を迎えた。本稿執筆時点(12/2)で既に8つのクラブがRound of 16への進出を決めている(バイエルン、マンチェスターC、ポルト、リバプール、チェルシー、セビージャ、バルセロナ、ユベントス)。中でもグループBは5節終了時点で全チームに決勝トーナメント進出の権利が残る大混戦だ。それもレアル・マドリーがシャフタールに2敗するような絶不調で3位に甘んじていることや、インテルが未だ1勝しか挙げられず4位に沈んでいることがこのカオスを生み出している。

引き分け以上でGS突破のユナイテッド、GS突破に向けて勝ち点3が是が非でもほしいパリ

さて、今節の個人的な注目カードはGROUP HのマンチェスターUとPSGである。ホームのユナイテッドは引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まる一方で、パリは引き分けもしくは敗れるとなると決勝トーナメント進出はかなり厳しくなるということからかなり重要な一戦になる。

ユナイテッドはホームでのリーグ戦は未だ1勝。しかしCLではライプツィヒに5-0、イスタンブールに4-1と快勝を収めている。直近の公式戦も内容はさておき4連勝と軌道に乗り始めている。相変わらずスールシャール監督に戦術はなくブルーノ・フェルナンデスにおんぶに抱っこ状態だが、サウサンプトン戦では今夏にPSGから加入したエディンソン・カバーニが途中出場から2ゴール1アシストの大活躍。これぞストライカーというゴール前での巧みな動きからゴールを奪い2点ビハインドをひっくり返した。

マンチェスターUの攻撃はブルーノ・フェルナンデス(左)にすべてかかっている。今季もここまで公式戦14試合に出場して10G5Aと大活躍だ。
(写真:Getty Images)

対するパリは今ひとつ波に乗り切れていない。11月のインターナショナルマッチウィーク明けのモナコ戦では前半で2点のリードを奪いながらも、後半からセスク・ファブレガスを投入したニコ・コバチ監督の采配が的中して逆転負けを喫した。ミッドウィークのCLライプツィヒ戦はネイマールのPK1点を守り切って勝ち点3は手にしたものの、PSGらしくない守り固める戦術をとったことで戦い方への批判が起こった。そして週末のボルドー戦もホームで引き分けた。パンベレのオウンゴールは致し方ない部分はあったとしても、アドリに奪われた2点目の取られ方はこのユナイテッドとの試合では絶対にしてはいけない形でもあった。

ミッチェル・バッカーは20歳のオランダ人選手。
今季公式戦16試合に出場しリーグでも2アシスト。
ベルナト負傷で巡ってきたチャンスを掴んでいる。
(写真:PSG クラブ公式サイト)

予想スタメン

マンチェスターU/4-1-3-2
GK/1ダビド・デ・ヘア
RSB/29アーロン・ワン=ビサカ
CB/2ビクトル・リンデロフ
CB/5ハリー・マグワイア(C)
LSB/27アレックス・テレス
DMF/31ネマニャ・マティッチ
CMF/34ドニー・ファン・デ・ベーク
CMF/17フレッジ
OMF/18ブルーノ・フェルナンデス
CF/7エディンソン・カバーニ
CF/10マーカス・ラッシュフォード
出場停止選手
アクセル・トゥアンゼベ(累積警告)
欠場選手
ルーク・ショー(ハムストリング)

PSG/4-2-3-1
GK/1ケイロル・ナバス
RSB/24アレッサンドロ・フロレンツィ
CB/5マルキーニョス(C)
CB/3ブレスネル・キンペンベ
LSB/25ミッチェル・バッカー
CMF/15ダニーロ・ペレイラ
CMF/8レアンドロ・パレデス
RMF/11アンヘル・ディ・マリア
OMF/10ネイマール
LMF/7キリアン・ムバッペ
CF/18モイーズ・キーン
出場停止選手
なし
欠場選手
ファン・ベルナト(左膝前十字靭帯断裂)
パブロ・サラビア(筋損傷)
ユリアン・ドラクスラー(左足ハムストリング)
マウロ・イカルディ(右足内転筋)

両チームともスタメンの予想は難しいが、ユナイテッドは古巣対戦のカバーニをスタメンで起用すると予想した。サウサンプトン戦やイスタンブール戦でも見えたようにブルーノ・フェルナンデスやファン・デ・ベークとの関係性は非常に良い。ストライカー的働き以外にも献身的な守備でプレスバックも怠らないところはこれまでCFを務めていた気分屋のアントニー・マルシャルにはない点だ。古巣対戦とあって燃えるものもあるに違いなく、エル・マタドール(スペイン語で"闘牛士"の意)がPSGの脅威になるだろう。なお、サウサンプトン戦で膝を負傷し途中交代したデ・ヘア、後半途中で足を引きずりながら交代となったアレックス・テレスは両者とも起用可能とレポートされている。また体調不良でベンチ外となったマルシャルも今回は起用可能のようだ。

サウサンプトン戦では途中出場から2G1Aと大活躍。
カバーニが古巣相手にゴールを決められるか注目だ。
(写真:Getty Images)

対するパリは守備の要マルキーニョスが復帰してくると予想される。左サイドバックはアヤックスユースから移籍2年目の新星、バッカーの公式戦3戦連続スタメンに選ばれるだろう。クルザワに比べて格段に良い分、外す理由が見当たらない。中盤の構成は予想がかなり難しくトゥヘル監督が誰を選ぶかは注目だ。直近3試合の起用状況を見てダニーロ・ペレイラとパレデスを予想したが、ボルドー戦で復帰し63分プレーしたマルコ・ヴェラッティのスタメンも十分に考えられる。攻撃陣ではムバッペ、ネイマール、ディ・マリアは順当にスタメンに選ばれるだろう。ただ20歳キーンの起用についてトゥヘル監督はどう考えるだろうか。これまで悪童のイメージが強かったが、ボルドー戦でもプレスバックからインターセプトするシーンも見られたように、守備意識の高さはトゥヘル監督も非常に評価している。勝たなければいけないパリが、前回のライプツィヒ戦のように引いて守りを固める戦い方を選択するとは思えないためキーンのスタメンを予想しているが、前に出てくる相手にはめっぽう強いのが今のユナイテッドだ。戦術家トゥヘルが選ぶ戦い方に注目したい。

PSGの守備の要となっているマルキーニョス。
ボルドー戦は欠場したが今節はスタメン復帰が確実だろう。
(写真:Getty Images)

PICK UP KEY PLAYER

マンチェスターU/マーカス・ラッシュフォード

戦術ブルーノ・フェルナンデスのチームにおいても彼がいるいないでは雲泥の差だ。一瞬で相手を振り切るスプリントと強烈なシュート、決定力の高さは申し分ないが、ここ数試合はその決定力が影を潜めている。ただ現在CLの得点ランキングではドルトムントのホーランに次ぐ5ゴールで2位だ。そしてPSG相手にも2戦連続で値千金のゴールを決めている。特にパルク・デ・フランスでの前回対戦、87分の決勝点はポグバから受けて反転し少し前にボールを持ち出してシュートコースを作り出した後、コンパクトな足の振りからグラウンダーの強烈なシュートを一閃。名手ケイロル・ナバスでも為す術なしといえるゴラッソだった。ブルーノ・フェルナンデス、カバーニの存在感が増しているが、若き背番号10のゴールに期待したい。

ラッシュフォードは今季公式戦15試合出場で8G5A。
第2節ライプツィヒ戦では途中出場から史上最速27分でハットトリックを達成した。
(写真:Getty Images)

PSG/ネイマール

こちらも背番号10をキープレイヤーとしてピックアップした。調子は徐々に戻りつつあるが、まだ彼本来のレベルには達していない。もちろん負傷やコロナ感染の影響は多少あると思うが、この大事な戦いで彼の活躍は不可欠だ。現在2戦連続ゴール中だが2つともPKで決めた得点とあって、流れからのゴールは10月4日のアンジェ戦まで遡らなければならない。今年はサイドよりも中央からドリブルで仕掛けたり、チャンスメイクしながら最後にボックスへ入るようなシーンが目立つネイマール。鮮やかなヒールプレーや繊細なボールタッチのドリブルが見られると彼が非常に良い証。この試合ではおそらくフレッジやマティッチとマッチアップすることになるが、徹底的なマークを受けてもそれを振り切りチャンスを演出していくことに期待したい。

ネイマールは今季公式戦9試合出場で4G3A。
新型コロナへの感染や内転筋損傷もあったが状態は徐々に上向いてきているように見える。
(写真:Getty Images)

ゲーム展望 キーとなるのは「先制点」

このゲームの展開を予想するのは非常に難しい。だが、この試合のカギはどちらが先にゴールを奪うかになると予想する。通常であれば決勝トーナメント進出のためには絶対に勝たなくてはいけないパリの方が前がかりに出てくることが考えられる。しかしそれはユナイテッドが最も得意としている相手の戦い方である。逆にカウンターを喰らって失点となるのは避けたい展開に違いない。前節のライプツィヒ戦は前半の早い段階で先制に成功したことで、後ろにセットして守りきる戦いを選んだトゥヘル監督。ユナイテッド戦でも早い時間に先制して逃げ切りを図りたいところだろう。ボルドー戦の2失点目のように攻め込んでいる時間に敵陣浅めの位置でボールロストして、中盤が全く戻りきれず最終ラインと中盤にスペースが生まれてフリーでシュートを打たれた場面のようなことは絶対に避けたい。

一方のユナイテッドも早い時間に先制点を奪えば引いて守りつつカウンター狙いのサッカーに持ち込むことが可能だ。足下の技術ではパリの選手に及ばないものの、ディフェンスラインはパリの前線の選手よりもフィジカルでは勝る。一方でスピード勝負では明らかに分が悪いため、中盤でネイマールあるいはヴェラッティを封じることがポイントとなるだろう。中盤で運動量豊富なフレッジがどれだけボール奪取できるかが注目だ。そして言わずもがな、攻撃はブルーノ・フェルナンデスに全てかかっている。彼が封じられた時にはファン・デ・ベークやカバーニがチャンスメイクを担わなくてはいけない。

ただ何がともあれ、先制点がどちらに入るかが勝負の行方を握っている。

今試合中に達成可能な記録

クラブ通算100ゴール(PSG/キリアン・ムバッペ)

ムバッペは現在公式戦134試合に出場し通算99ゴールを挙げている。この試合でゴールを決めるとドミニク・ロシュトーと並びクラブ歴代4位タイになる。ちなみに1位はカバーニの200ゴール(公式戦301試合出場)、2位はズラタン・イブラヒモビッチ(現ACミラン)の156ゴール、3位は2003年から2008年にかけて在籍したペドロ・ミゲル・パウレタ(現PSGアカデミー公式アンバサダー)で109ゴール。

試合情報

20/21 UEFA CHAMPIONS LEAGUE
Group Stage Match Day 5 Group H

Man.United Vs Paris Saint-Germain

開催地/オールド・トラッフォード(マンチェスター)
キックオフ/2020年12月2日 20:00(JST 29:00)

主審/ダニエレ・オルサート(イタリア)
VAR/マルコ・グイダ(イタリア)

対戦成績
3試合 マンU 2勝 PSG 1勝

CLクラブ歴代最多得点者
マンU/ルート・ファンニステルローイ 38ゴール
PSG/エディンソン・カバーニ 30ゴール

昨季のCL決勝でも笛を吹いたイタリア人の44歳、
ダニエレ・オルサートがこの試合を担当する。
(写真:Kicker 日本語版)

注目のゲームはUEFA.tvでもライブ配信が予定されている(英語実況のみ)。また同組のイスタンブールBBSK対ライプツィヒのゲームは現地時間の20:55(JST26:55)にキックオフで、こちらもUEFA.tvでライブ配信予定だ。

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