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[映]アムリタ 新装版|感想

ストーリー


『バビロン』『HELLO WORLD』の鬼才・野崎まどデビュー作再臨!

芸大の映画サークルに所属する二見遭一は、天才とうわさ名高い新入生・最原最早がメガホンを取る自主制作映画に参加する。
だが「それ」は“ただの映画”では、なかった――。
TVアニメ『正解するカド』、『バビロン』、劇場アニメ『HELLO WORLD』で脚本を手掛ける鬼才・野崎まどの作家デビュー作にして、電撃小説大賞にて《メディアワークス文庫賞》を初受賞した伝説の作品が新装版で登場!

✨感想✨

著者のデビュー作であり、シリーズ第6作目「2」までと続く野崎ワールドの出発点。難解な要素を抑えたライトな読み味でありながら、作中の議論では鋭い考察が披露され思わず引き込まれました。内容は大学生が自主製作映画を立ち上げ完成させるというもので、本作の肝は天才と噂される新入生・最原最早の非凡な監督としての能力にあります。映画という創作物が視聴者の心の領域にどこまで影響を与えることができるのか、そして観た者を変えてしまう映画とはどのような映像なのか、そんな物があるのなら是非観てみたいが同時に怖ろしくも感じます。


読む前までは大学の映画サークルを舞台にしたライトな恋愛小説というイメージだったのだが…怖い、滅茶苦茶怖い。最初こそ大学生活の楽しさを描いているのだが、頁が進むにつれて、映画の撮影が進むにつれて、どんどん不穏さが増していくのはもう最高。映画の中に潜む魔を描く作品は数多く、天才、マッドサイエンティストを描く作品もまた多いけど、本書は間違いなくその系譜に連なる一冊。さらには某名作ホラー映画と某名作SFを連想させるような内容でもあり…。ラストも含めてSF・ミステリ・青春小説のこの上ないハイブリッドでありました。

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