本が読めるまで(7)志賀直哉「老人」

 引き続き志賀直哉の短編を読んでいきます。今日で3作品目です。今日は明治四十四年に発表された「老人」です。

 「老人」はこれまで読んだ志賀の作品の中では、知名度的にはあまり高くないように思います。私も初めて読んだのですが、でもとてもいい話だなと思いました。

 「老人」と呼ばれる主人公の男性の晩年の話です。短編なので短いですが、あたたかい作品でした。最後アイロニーで終わるかなと思いましたが、やはりそれをまたひっくり返すような最後の一文になっていて、いいな、と思いました。

 これまでいくつか読んできましたが、志賀の文章は逆説的なものがないなと思います。まっすぐです。芥川龍之介だったら、「老人」の最後の一文は書かずに終わっただろうなと思います。またこれからも志賀直哉を読んでいきます。

(おわり)

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