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【書評】巨乳の誕生

男って単純に大きくて多いものを尊いと思う生き物じゃないですか。
1メガより2メガ、16ビットより32ビット、『マッドマックス』は1より2じゃないですか。
大は小を兼ねるって言葉もありますし。僕はこう見えて合理主義者じゃないですか。
まあ、「大きいことはいいことだ」と坂上田村麻呂も言ってますし、異論はないですよ僕は。

それにしても「巨乳」という名がつくと全ての言葉がビッグでバンです。
そんな本書に目を移すと
何気ないセンテンスに“巨乳”をプラスする事によって超新星な言葉が生まれることに気付かされます。

“巨乳AV”
“史上最も売れた巨乳”
“21世紀の巨乳たち”
“そして「巨乳」は成長した”
“毎月1日は巨乳の日”
“巨乳年表”
どうですか。
ビッグバンな爆発力ある言葉になりますよね。

あ、爆発といえば“爆乳”という言葉が定着したのはAV女優の森川まりこのデビュー作『ザ・爆乳』かららしいです。その後には“TOEIC990点の爆乳女優”として澁谷果歩というAV女優がデビュー、

“「胸の大きい女性は頭が悪い」という俗説は、澁谷果歩の前では完全に打ち崩される”

と、先生が授業でテストに出すところを生徒に言って聞かせるように本書では力説しています。

 あと1975年に席巻したアグネス・ラム。
三年後の1978年来日の際は船橋ヘルスセンターでアマチュアカメラマンの水着撮影会のモデルをやるくらい人気が無くなっていたという事例は、巨乳だけじゃ生き残れないという教訓を現代社会は重く受け止めなければならないと強く思いました。

 僕は図書館で古新聞を閲覧する趣味があるんですが、昭和56年の某新聞は芸能欄「今年のホープ」で河合奈保子について

“ボインの胸がまぶしい”

と最大の賛辞を贈ってはいるのですが、僕はこの記事を目にするまで“ボイン”はある一定の基準値を満たした胸の名詞だと思っていたのですが、“ボインの胸が〜”という見出しを見てボインが形容詞だと初めて気付いたのですよ。

現場からは以上です。

巨乳の誕生 大きなおっぱいはどう呼ばれてきたのか
安田理央/著

いつの時代でも大きなおっぱいが好まれていたわけではない。70年代にはユニセックスで華奢な体つきこそがファッショナブルであり、80年代のAV業界でさえも胸の大きなAV女優は人気を得ることができなかった。ようやく「巨乳」という言葉が誕生し、一般的に普及したのは1990年頃になってから。それまでは「ボイン」「デカパイ」「Dカップ」などと呼ばれていた。江戸時代から開国、敗戦、経済成長を経て現在、社会の「大きなおっぱい」の受け止められ方は、時代を反映して変わっていく。なぜ変わっていったのか。その理由と全貌をあきれるほどの調査で明らかにした革命的論考。

太田出版 1,760円 ISBN:978-4-7783-1605-1

#読書 #書評 #巨乳

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書店員。たまにライターとかイラストレーター。読書は外文、映画は洋画、釣りは洋式毛鉤の海外かぶれ。ウェブマガジン『あさひてらす』にて小説《16の書店主たちのはなし》連載中。『偉人たちの温泉通信簿』挿画、『下戸の夜』(本の雑誌社)『夢の本屋ガイド』(朝日出版)などに寄稿。 栃木県出身
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