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豪快さも、細やかさも、サービスする人。/ Osteria Kido 城戸 和宏さん【後編】

【前編】はこちら


物件は決まったもののひたすらに待つしかなかった…笑!

―――カクイチビルにはどうやって出会ったんですか?

きっかけは娘がタピオカ飲みたいって言ったこと、笑。娘連れてオリオン通りに来たんだけど、タピオカ屋さんが休みで。その時に「パパの知り合いのコーヒー屋さんがこの近くにお店出したから一緒に行こうか」ってカクイチビルのムーンドッグに初めてきた。店の名前がクウチャリズモだったときから普通にコーヒーを飲みに戸祭台のお店によく行ってたんです。それで敏和さんにちょっと覚えてもらってて。初めて来たカクイチのムーンドッグでコーヒーを飲みながら「今、城戸ちゃんどこにいるの?」「今、Osteria Anjoにいるんです」なんて話し始めて。「で、どうすんの?」って聞かれたから「40で自分の店やりたいから物件探し始めてるんです」って言ったら、「上にあるよ、見てく?」って。早速見せてもらったら普通に住居みたいな部屋でびっくり、笑。でも古民家でお店やりたいって思ったりしてたこともあって、不思議としっくりきて。いい感じの梁も見えててこれはありだな、と。それで「ここに入りたいです」って申し込んだんだけど他にも希望している方がいたみたいで。審査を受けて無事に通ったのち「じゃあ、契約を」と進みました。

それが2022年の12月だったかなぁ、そこからしばらく長い待ちの時間が始まる。いやぁ、しんどかった、笑。いろんな手続きがあったんだけど自分じゃどうしようもできないことだから、ひたすらに待つしかなかった。今だからいうけど、違う物件探そうかなと思ったこともありました。でもね、関わっている皆さんが頑張って動いてくれていろんな人が味方になってくれたから、信用して待つことにしようと思って待ってた。自分は大変なことはないんだけど、待つしかできないってストレスですね、苦笑。やっと2023年5月頃に着工して、本当は9月オープン目指してたんだけど10月に入っちゃって、2023年10月5日にオープンしました。
5日は日が良くないってカレンダーの六曜とかにはあったんだけど、敢えてその5日に。もうこれ以上、悪くはならないでしょう?ってことで、笑。でもオープンした途端にコロナとインフルが再度流行り始めて、お客さんみんなキャンセルになったりしてすごい静かで。そこから徐々に感染症も収束に向かって落ち着いたから、年末年始の時期は忘年会とか新年会とかで賑わいも戻ってきてよかったです。

「賑やかな客席をここから眺めるのが好き」
と城戸さんが教えてくれた立ち位置から

「面倒くさいって言うな」が父の教え

うちのメニューは種類が多いし、季節のおすすめとかでよく変わるんです。そうすると「大変じゃない?」なんて言われたりするんですけど、リピーターも多いから 飽きさせたくない。メインのグランドメニューはある程度固定なんですけど、おすすめは常に入れ替えたり増やしてったりしてる。でもそれを大変と思っちゃったら自分で店やってる意味なくなっちゃうし、楽しめる範囲の大変さだと思ってやってます。

カクイチビル最上階
このサインがOsteria Kidoの目印です

「スタッフ雇わないんですか?」と聞かれることもあるけど、当てにしちゃうのが嫌なんですよね。料理って自分の感覚でやってるので、きっとうまく伝えられないし「これやって」って言っても同じものには多分ならない。焼き加減とか、ソースの量とか、シンプルな料理になればなるほど、バランスが崩れちゃったりして難しい。人のせいにするのが嫌だから自分でやる。大変かもしれないけど大変と思わなきゃ、大丈夫、笑。うちの親父に「絶対に面倒くさいって言うな」って言われてるんですよ。それをやるのが俺らの仕事なんだから、って。面倒臭いって思っちゃうことはあるんだけど「めんどくせえな」って口に出しちゃうと疲れがどっと出るし、気持ちも折れちゃうから。これは自分がある程度成長してからずっと親父に言われてて大事にしてます。

余談ですが今思えば団体競技が苦手で、個人競技なら全部自分の責任、負けたら自分が悪いって思えるから好きだった。学生時代までは剣道をずっとやってたし、今はキックボクシングのジムに通ったりしてます。ひとりでやってるのが性に合ってるのかもしれませんね。

いずれはイタリアンでもう1店舗、おじいちゃんになったら街の洋食屋

―――じゃあ最後に、これからやりたいこととか。

ペースを崩さず、細く長く、目立たず、自分のできる範囲でやっていきたいです。まだ先になるでしょうけど、いずれもう1店舗やりたいなっていう想像はしてたりします。本当は炭火とかもやりたいので、もうちょっといろんな料理が作れる路面店なんかをやれたらなと、もちろんイタリアンで。そしたらカクイチの方ではイタリアのバールっていうかカフェっていうか、そうしたらおもしろいかなぁ。ワイン、エスプレッソ、スペイン料理みたいだけどタパス的な軽食。テーブルなんかもどかしてわいわい立ち飲みできるような感じのスタイルにして、軽く飲んで、つまんで、 じゃあまたねって最後にエスプレッソぐっと飲んで「おやすみなさい」って帰るみたいな。そういうの、ここに似合うと思うんですよね。

で、おじいちゃんになったら奥さんと一緒に洋食屋さんをやりたいです。これはもう2人でずっと昔から言ってるんです。オムライスとかエビフライとかデミグラスソースとか、そういう街の洋食屋さん。

―――夢、どちらも実現してほしいなぁ!楽しみにしてます。本日はありがとうございました。

Osteria Kido 城戸 和宏さんは
豪快さも、細やかさも、サービスする人。

本日のまとめ


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