「ちょっといい毎日」をつくる誠実な人。／ nicca 西岡 政人さん【後編】
【前編】はこちら
今年は山に登ってテント泊したい
―――お休みの日って何してます？
今は休みがあれば山ですね。僕、日光出身なんだけど、登山始めたら実家の裏手に見えてる山ってこんなだったんだって気付かされましたね。最近だと1月にチェーンスパイクつけて高原山登りました。（※インタビューは2024/4/1に実施）
東京にいる頃はライブハウスもクラブも美術館もすぐ行ける距離にあって娯楽がいっぱいあったけど、こっちにはそういうのはないから、笑。キャンプ好きな友だちに一度ついて行ったら自然の中で過ごすっていいなぁと思ってそれから。最初はキャンプにハマったんだけど、キャンプは「なにもしない」をしに行く感じだから、1人だととてつもなく寂しい時間帯とかある、笑。で、キャンプより後に登山を始めたんですけど、あれ、自分はこっちのが合ってるかもな、と。もともと体動かすの好きだから、やることあって動いてる方が楽しい。
ちょっと恥ずかしいんですけど、登山って人生だなって思います。例えば山頂へ行くっていう目標があって、苦しいこともあるし、登ったと思ったら下ったりもして。目標を達成するっていうのもいいんですよね。
だから今年は山に登ってテント泊っていうのをやってみたい。そうすると1泊2日とかでより長い距離の山とか行けるようになるだろうし。あとは山道具集めたりウェア揃えたりとかも好きですね。もともとスニーカーとか服とかも好きだったから、そっちも楽しいのかもしれないですね。
至福ですねぇ
お客さんの日課になるわけだから、無責任なことはできない
―――ちょっと意地悪な質問ですけど、美容師さんって無理なオーダーを受けたときってどうするんですか？
ただ要望を否定するだけじゃなくて、プロなので理由を説明できないといけないですよね。仮に難しいなと思ったとしたらそこに理由があるわけじゃないですか、骨格とか頭の形とか、髪質とか。きちんと理由を説明した上で「こういう方が似合いますよ」みたいな別の提案をすることはある。デメリットもかかる手間もちゃんと全部話します。こういうスタイリングが毎朝必要になりますよ、頑張ってアイロンしないとこうは収まりませんよ、みたいなことも。理由を説明した後に「それでもやってくださいって言うんだったら、やります」って言いますけど、笑。結局はお客さんの髪の毛でお客さんの毎日の日課になるわけだから、無責任なことはできないもん。
これがいいのかどうかわかんないですけど…僕、結構はっきり言っちゃう方なので「うちじゃない方がいいかもしれないですね」とお伝えする場合もあります。ちゃんと関係性ができてるお客さんにしか言わないですけどね！かっこつけてるわけじゃないんですけど、本当にその人に合う美容室が見つかった方がいいと思うので、ってお伝えした上で。もちろん来てほしくないわけじゃないですよ、笑！でも僕はやっぱり本意ではやってないから、だったら快くやってくれる美容師さんの方がいいんじゃないかな、とか。毎回ダメな理由を説明しながらやるって互いに悲しいですから。僕にとっては一旦お客さんを失うわけだし、印象も良くないかもしれない。でも長い目で見たらお客さんにとってもっとぴったりな美容師さんが見つかるといいなって思ってます。
髪をきっかけに気づきを与えることができたら
―――これからやりたいこととかなんかありますか、野望。
野望なんてそんな大きなものはないです、笑。あ、お金はもっと稼ぎたいなって気持ちはありますよ！人を雇ったりして美容室を大きくしたいとかいう気持ちは今はないですけど、やりたいことを実現していくためにお金は必要。髪にまつわる別の切り口でちょっと考えてることはあります、実は。ふふふ。
すべての施術を西岡さんが担当します
あとはお客さん1人1人とちゃんと向き合って生活に馴染む髪型をご提案して、日々小さな反省をしながら積み重ねるだけ。ここに来たときよりも帰るときの方が気分がちょっと良くなってるようにお客さんを送り出したいな、と思ってます。ちょっとおこがましいかもしれないんですけど「わたしってこういう感じも似合うんだ」って気づかせてあげたいというのはありますね。自分を表現するっていう意味では、髪もメイクもファッションも全部繋がってる。だから僕は髪をきっかけに何か気付きを与えることができたらいいなと思ってます。自分に似合うものを知ってるとか、パーソナルな部分も含めて表現できるとか、そういう人が街に増えるといいな、って。
nicca 西岡政人さんは
「ちょっといい毎日」をつくる誠実な人。
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