映画「万引き家族」を観たら、映画というものに対する向き合い方が変わりそう

ネタバレ注意です!


映画「万引き家族」を観ました。

この作品は僕の映画の見方を変えてくれたような気がしています。

というのも、僕は映画を観るときに、とある知人の影響で、この作品が伝えたかったことはなんだろうと考える癖があるのですが、「万引き家族」のその答えを出すのは難しかったです。

もしも映画が伝えたいことがあるのであれば、最後の展開、ラストシーンというのは重要だと思うのですが、その最後の展開がこの作品の場合、理解するのには少し複雑で考えてしまったのです。

多くの視聴者がこの映画を観て「家族愛」とか「家族というのは血が繋がっているかどうかは大きな問題ではない」ということを感じ取ったと思いますが、この映画が本当にそれを一番伝えたかったのであれば、最後もっと違う展開に、もっと安直な展開になっていたと思います。死んでも家族を守る的な。でも、家族は大事だったはずの「息子」を見捨てて逃げようとして、最後にはあの「家族」は崩壊します。

いろいろ考えた結果、今は次のように考えるようになりました。

「万引き家族」は何かを伝えたかったのではなく、ただ描写したのである。と。

映画の中の万引きで生計を立てるという底辺での暮らし、貧しくても人と人とが支え合う様子、血が繋がっていないのに血縁関係の家族並みの絆が醸成されていく家族、段々と心を開いていく子供、でも人の根底にある弱さ、ご都合主義、一度築いてしまった絆の切ろうとするけど割り切れない深さ、そういった人間社会のいろーんなことをシンプルにただ描写している、そう理解しました。

個人的には、主に劇中の夫婦の上で描かれる、大人は一筋縄ではいかないところがおもしろいなと思いました。

そして、映画、ひいては芸術作品の解釈に「正解」はないのだと再認識しました。映画に限らず、音楽も絵画も。アーティストが観る側に「こう見てほしい」「こう聞いてほしい」とはあまり言わないものです。受け手が素直に感じ取ったものこそ大切にすべきで、それが人によってそれぞれ違うことこそがおもしろいものなのだと思います。また同じ人でも、観る時期によって得るものが違うこともあるでしょう。

それとあまり難しく考えて映画を観る必要もないのかもしれません。物語の中に入り込めるか、楽しいか、おもしろいか、感情が揺れ動いたか、好きか、嫌いか。それくらいのことを自由に感じればいいのかな。

その点、僕はこの「万引き家族」好きです。

いろんな好きなポイントはありますが、特に個人的にリリーフランキー扮するお父さんのバッグを盗難して走り逃げる下品さがとても印象に残っています。リリフランキーさんの演技力に脱帽です。

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いや、僕にサポートだなんて...僕にお金渡されても楽器に使ってしまうので、、、あなたのお金はあなたのために使ってくださいw