東海道徒歩旅[17日目]
明日で最後になると考えると感慨深いものがあるが、まだ達成はしていないということで、もう一度気を引き締めてやっていこうではないか。ここで事故したら色々終わりだ。主に私の人生が終わる。
今日は特に書くこともないような気がする。もうすっかり都会の街並み風当たりになってきて、東京に近づいているんだなと思う。
東京まであと45キロ!今日は川崎まで行く予定。
道を間違えてしまったようで、車道を歩く。
ひえぇ。ガードレールの外側を歩かなければならない。少し早足で歩道があるところまで進む。
車なんて一歩間違えれば鉄の塊でしかない。そのことを忘れてはいけない。車道を歩く歩行者としては、ぶつからないでくれと祈ることしかできないのだが。
歩道にたどり着いたので、一度休憩。大体2時間くらい歩いたら休憩したくなってくるな。良いペースだ。
少し1号線を離れれば、途端に静かになった。旧東海道の、落ち着いた街並みだ。
今日も暑い。春が来たというよりは、夏を思い出すような、そんな暑さだった。
20キロを越えたあたりで急にやる気が無くなってきた。商店街を通り抜けた後、私は力尽きたように公園のベンチに腰掛けて、1時間ほどそのままぼーっとしていた。
商店街にはたくさんの人がいた。たくさんの店があって、たくさんの客がいた。私はそれを見ながら、頭が痛くなるのを感じた。
公園には、少女とその母親がいた。
少女はブランコに乗っていた。しばらくして、少女の隣にその人のお母さんが座った。そして一緒にブランコを漕ぎはじめた。それから、「ブランコなんてあんまり乗らないから目眩がするね」なんて母親は呟いていて、私は思わず泣きそうになった。
二人がいなくなった後の公園で、ブランコが揺れていた。キシキシと音が鳴る。
私はブランコに乗った。少しだけ漕いでみると、目眩がしたからすぐに降りた。
仕切り直して歩き出す。
地図を見ながら歩くのが億劫になってしまったから、何も気にせずに歩いた。時々見かける東京という文字で方向だけを確認して歩いた。
一昨日からずっと肩が痛い。リュックを背負うのがしんどくて、自分の前に抱くような形で持ってみたり、片手で持ってみたりしている。特に右肩が痛くて、肩を上げるたびに鋭い痛みが走る。痛みとともに重みみたいなものも感じていて、肩が物凄くだるい。早く宿に着いて寝転びたい。
宿に着いた。今日はスーパー銭湯の中にあるカプセルホテルに泊まる。
スーパー銭湯に泊まるの初めてだったので、知らないことが沢山あって刺激的だった。
あの公園で落ち込んでいたのは何だったのだろう。私はあの時確かに落ち込んでいて、喪失感を覚えていた。自分でもよく分からない感情だ。それを覚えておきたくて、こうして文章を書いているけれど、自分でもよく分からなかった。
明日はいよいよ東京だ。あと20キロ程度歩けば着いてしまうから、そのあとはどこかに行って時間を潰そうかな。何も決まっていない。
藤沢→川崎
歩いた距離ー34キロ
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