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【民俗芸能公演】祭りの四季

 2023年1月21日(土)、国立劇場の小劇場に、民俗芸能公演「祭りの四季」を観てきました。
 現在の国立劇場(初代国立劇場)が来年の10月末で閉場となることから、「さよなら公演」と銘打った公演が開催されています。私は、これまで劇場に足を運ぶことはなかったのですが、ひと月に何回か通えば、幅広く古典芸能について知ることが出来るのではないかと思い、ここ半年ほど、足繫く通っているところです。

■全体を通して

(1)今回の公演について

 今回の「祭りの四季」は、日本の四季(春夏秋冬)を背景に、様々な異なる芸能(田楽、傀儡、エイサー、獅子舞、神楽)で構成し、季節ごとの祭礼の雰囲気を感じることが出来る公演でした。(一部、プログラムから抜粋)

(2)用語について

 「民俗芸能」は、これまでテレビで見たことはあったのですが、舞台で実際に観るのは初めてでした。そのため、用語をいくつか調べてみました。

民俗芸能とは、地域社会の中で、住民の信仰や風俗・習慣と結び付きながら伝承してきた郷土色ゆたかな芸能。郷土芸能・民間芸能などともいう。

「国史大辞典」より

田楽(でんがく)とは、平安時代、田植えのときに田の神をまつるために笛、太鼓を鳴らして歌い舞ったもの。鎌倉時代から室町時代にかけで、田楽能という芸能に発展した。

小学館「現代国語例解辞典」より

傀儡(くぐつ)とは、歌などに合わせて舞わせる操り人形。でく。かいらい。

「goo辞書」より

神楽(かぐら)とは神を祀る音楽や舞など神事に伴う芸能です。その語源はカムクラ(神座)に由来するとされています。人々が集まり、斎場に神座を設け、神を招き、そこで行われた神事芸能が、平安時代に「神の遊び」の意味として「神楽」の文字を当てたものとされています。

公演プログラム、間宮朝臣さんの文章より

エイサーは、沖縄県と鹿児島県奄美群島でお盆の時期に踊られる伝統芸能。この時期に現世に戻ってくる祖先の霊を送迎するため、若者たちが歌と囃子に合わせ、踊りながら地区の道を練り歩く。

Wikipediaより

■各演目についてのメモとコメント

(1)冬・八戸のえんぶり/田楽

農民が古より行っていた旧正月の豊作を祈る儀式が芸能化したもの、その年の出来秋を願う田遊び・田楽を起源としているというものが現実的な説ではないかと思われます。

公演プログラム、沼田昌敏さんの文章より

 5人の太夫を中心に、囃子方、舞い手など、30人位で構成されていました。太夫が被る馬の形の烏帽子、えんぶりの由来である手に持って振る柄(柄振り)、など印象的でした。姿勢を低く保っていたので、きつくないかなぁと思いました。
 また、子ども達の恵比寿舞、大黒舞なども見ていると、背景が雪である分、逆に心が温まるような気持ちになりました。

(2)春・天津司舞(てんづしのまい)/傀儡

 天津司舞は、山梨県甲府市小瀬町に伝わる、中世に起源を持つ傀儡田楽です。豊作や地域の安全を祈り、9体の人形を舞わせます。
 円形の幕囲いが設けられ、その囲いの上に人形が突き出され、観客は見上げる形です。幕囲いに入るまでと、舞ったあと幕囲いから出てからの移動中、人形は赤布で目隠しされていました。神聖な感じが伝わって来ます。

 舞は、二曲で構成されています。一曲目はゆったりとした「静かな舞」、二曲目は「御狂い」といって調子が変わり、手拍子が加わります。

公演プログラム、丸尾依子さんの文章より

(3)夏・エイサー・大獅子(うふしし)/太鼓・獅子舞

 沖繩で、エイサーは、夏の風物詩とのことです。とにかく元気が良かったです。若者たちが、太鼓を撥で叩きながら、笑顔で踊る姿に、エネルギーをもらいました。
 また、獅子舞には、3頭の獅子が出て来ました。大きく迫力があるのですが、お互いを噛み合ったり、(毛の)色使いも綺麗で、楽しく見ることが出来ました。
 こうしたエネルギーを反射するようなセットの青い背景が、夏の青空を思い起こさせ、眩しかったです。

(4)秋・江戸の里神楽/神楽

 上演演目は『紅葉狩』でした。台詞はありません。出演者が、手振り身振りで表現します。私は、ストーリーを知っていたこともあり、楽しむことが出来ました。
 更科姫が舞いながら、女面と生成(なまなり)の面(鬼女になる前の女性の恨みを表現した怨霊面)を素早く取り替える場面が、とても印象に残りました。どういうトリックを使っているかは、ここでは伏せます。
 江戸の里神楽は、東京でやっているようなので、また観てみたいと思いました。

■最後に

 民俗芸能は、初めて観て、初めて文章化したこともあって、説明書きが多くなってしまいました。
 しかし、何気なく聞いていた「田楽」や「神楽」などの言葉が、何を目的に、何を指すのか、定義をまとめることが出来て良かったです。今後観るときは、少しは理論的な視点も加わるかもしれません。
 こつこつ理解を深めて行きたいと思います。

以上です。

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