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住宅ローン破綻 借金はコワイ

たまたま目に入ったABEMAドキュメンタリー「住宅ローン破綻の現場」が面白かった。

すでに相当の再生回数なので、見た人は多いだろう。


このドキュメンタリーで紹介している住宅ローン破綻のケースは6つ。

最初の2例はコロナ関連だが、あとの4例はコロナと関係ない。

<ケース1 コロナで収入ゼロに>


植村茂樹氏(64歳)大工。
19年前、4LDKの一戸建て、2000万円を、29年ローンで購入。月々8万2000円の支払い。残り900万円。
これまで月40万円の収入があったが、コロナの影響でゼロに。
娘夫婦が同居してローンを引き継いでくれることを期待したが、すでに独立した娘にその気はなし。
家の売値の相場は400万円(担保割れ物件)なので、任意売却(債権者の同意を得て競売前に通常取引で売る)を決断。500万円が残債となる。
植村氏は自己破産を選択。


<ケース2 要介護の母を抱えて>


横山みずき氏(仮名・40歳)。首都圏で60代の母(要介護)と同居。
5年前、介護のしやすさを考え、5LDKの一戸建て700万円を、35年ローンで購入。月々の支払いは1万8000円。
成田空港の飲食店で働いていたが、コロナにより解雇。
一戸建ての任意売却を決断。現在の相場は250万円で、残債480万円。
亡父の遺族年金、2カ月で13万円を頼りに生きているが、「きつい」と途方にくれる。


<ケース3 体力の衰え>


東京近郊の夫(70代)と妻(60代後半)。
18年前、駅5分の3LDKマンション3050万円を35年ローンで購入。
月々の支払いは11万円。
工場勤務の夫は体力の衰えを感じ、ローンが負担に。貯金もなく、マンションの任意売却を決断。
ローン残高は2400万円。このマンションの現相場は1500万円。
残債900万円を、2DK5万円の賃貸アパートに引っ越して、夫婦で返却していくことになる。


<ケース4 会社役員だったのに>


東京近郊の50代夫婦。
12年前に、77平方メートルの3LDKマンション、2200万円を、35年ローンで購入。月々の支払いは8万3000円。子供はいない。
夫は電子機器会社の役員で、月収60万円だった。それまで家賃10万円の団地に住んでいたが、家賃並みのローンで購入できるので「飛びついた」。
ところが、会社の経営不振で役員を解任される。その後の事業失敗で貯金の1000万円強も消え、ローンが返せなくなり、マンションを任意売却。
自分が死ねば生命保険で完済できる、とも考えたが、思いとどまる。
夫婦は51平方メートル、3DKの賃貸アパートに転居。夫は再起を誓うが、生活は困窮している。


<ケース5 娘宅に間借り>


関西に住む60代女性。
20年前、3LDKの戸建て、3300万円を、35年ローンで購入。月々の支払いは14万円。
しかし、メーカー勤務の夫が定年を迎え、収入が月40万円から14万円へ。自信を失った夫から切り出され、離婚した。
女性によれば、「最大の誤算」は子供たちが家を引き継がなかったこと。それぞれ独立し、すでに家を持っている。
このままでは75歳まで月14万円払い続けなければいけない。それは無理なので任意売却を決断。マンションの現相場は1500万円。残債の700万円を元夫と返済し続ける。
マンション売却後は、娘夫婦の家の5.5畳に間借りする。


<ケース6 役職定年を知らなかった>


50代夫と子供4人(妻の年齢不明。登場しない)。
20年前、4LDKの戸建て、3000万円を購入。月々の支払いは12万円。
誤算は「役職定年」。53歳で役職から降ろされ、手取りで33万円から23万円に。そんな制度があるとは知らなかった。その会社は退職したが、転職に失敗。ローンが払えなくなって任意売却を決意。
ローンの残りは2000万円。戸建てを売っても1000万円ほどなので、1000万円の借金が残る。
一家そろって家賃7万8000円の借家へ。家賃を払うため、高校生の息子2人のアルバイト代もあてにしている。


教訓


1 50歳を過ぎると給料もやる気も減っていく

 最近は政府から定年延長を強いられているため、企業は対抗策として賃金カーブのピークを50歳くらいに持って行こうとしている、ように見える。

 役職定年はもちろん、転籍や早期退職勧奨など、あの手この手で中高年の賃金を最低の水準まで下げにくる。そうしないと、企業が持たないからだ。

 だから、定年までは今の給料がもらえると思うのは甘い。そういう前提でローンを組んではいけない。

 そして、定年後の仕事は、仮にあっても、コンビニと同じ時給になると思った方がいい。

 また、ケース3のように、60歳近くなれば働く気力もなくなってくる。

2 遅くローンを組んではいけない

 何人かが反省するように、40代で30年ローンを組むのはリスキー過ぎる。

3 子供はあてにできない

 子供が家とローンを引き継いでくれると期待するのは甘い。

4 資産価値は驚くほど落ちる

 いざ家を売ろうとしても、価値は半分以下になっている。担保割れでローンだけが残ることになる。


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