人生からワクワク感がなくなるとき 古代の「光」への目覚め
眠れない夜は「世界の七不思議」の本を紐解く。
昨夜もそうだった。もう何回読んだかわからない、ジョン・ローマーの本(「世界の七不思議 現代に生きる幻想の起源」)だ。
心が疲れてくると、ドキドキ、ワクワクの感情がなくなる。退屈な日常の繰り返しで、心労だけが積もっていく。
そうすると、なぜ生きているのか、分からなくなってくる。
古代の七不思議の本を読んだり、画像を見たりして、当時の人の気持ちを想像していると、私の場合、世界の中の「ワクワク感」が思い出されてくるのだ。
古代の七不思議で現存するのはエジプトのピラミッドだけだ。そのピラミッドが、アメリカの1ドル札に描かれているのは知っているだろう(写真)。
その意味や象徴性に、様々なことが言われているのもご承知の通り。
とりわけ頂点の三角形の中の「目」が印象的だが、それ以上に重要なのは「光」なのだ。
ローマーは書いている。
「かつてアレクサンドリアの人々は、彼らの神秘的なパロスから神の摂理の光が発するのを見ていた。一ドル紙幣のピラミッドが発しているのも、それと同じ光なのである。」
「パロス」も七不思議の1つで、エジプトのアレクサンドリア埠頭にあった大灯台だ。七不思議の中でも、私が特に好きな建築物である。
七不思議とされた建物は、その大きさや造形の妙で知られるが、それだけではない。その建物が発する「神秘の光」こそが人々を陶酔させたのだ。
いま、同じ建造物を新たに建てても、その「光」が宿るとは限らない。
いくら中国やドバイが馬鹿でかい建造物を競って立てても、それが七不思議のように神話化されるかというと怪しい。
神社仏閣も、そもそもはそういう「光」を発する場所だったはずだが、京都奈良のような観光地で今その「光」を見る人は稀だろう。
逆に言えばーーそうした建物は、本来その「光」の入り口に過ぎない。
そうした建物がなくても、われわれはその「光」を見ることができるかもしれない。
自分の幸福だった思い出、世界にワクワク感を感じていたときの光景を思い返すと、その背景に「光」があふれていたはずだ。
それこそが、ワクワク感の元にちがいない。
その「光」とはーーと考えるうちに、心地よく眠りにつく。
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