私と読書

「読んだ本の感想を書きませんか?」

何か書こうかなと思ってnoteを開いたら、そう問われたので書いてみよう。折角なら私の人生に影響を与えてきた本たちについて少しずつ。

大人になるにつれてどんどん本を読まなくなってしまったけれど、幼い頃はまさに“本の虫”だった。保育園に通っていた頃、近所のショッピングモールで母が夕飯の買い出しをしている間、私は本屋の絵本コーナーで待っていた。読んでいる本を友達にとれるのが嫌で、床に座って開いた足の間に本を置き、取られそうになったら足を閉じて隠すなんてことをしていたらしい。
小学生になる頃にはハリーポッターの虜だったし(いずれまた絶対別記事で書く)、中学生になると家と学校の間に大きい本屋さんがあったから、暇さえあれば学校帰りに通ったものだ。私は佐賀県出身で、九州では発売日に本が手に入ることはまずない。早くて2日遅れ、通常3日遅れだったから、なるべく早く手に入れたくて発売日が過ぎるとどきどきしながら新刊コーナーに行った。大学生、社会人となるうちに読む量は減ってしまったけれど、読書は大事な趣味である。

沢山沢山、大好きな作家さんや作品はあるのだけど今回はこの一冊。

西の魔女が死んだ/梨木香歩

映画化もされた名作。初めて読んだのは小学生の時で文庫本じゃなくてハードカバーで読んだ気がする。15年くらいは読み続けているんじゃないかな。

不登校になってしまった中学1年生の“まい”と、タイトルにある西の魔女こと、まいの“おばあちゃん”のお話。山奥で質素だけど心が豊かになるような生活をしているイギリス人のおばあちゃんから、まいは魔女修行を受けることになる。この魔女修行とは、決して魔法を使えるようにするためのものじゃない。大事なのは「自分で決める」ということ。物事に対し、何でも自分で決める。そして決めたらそれをやり抜く。これから成長し、大人になっていくまいにおばあちゃんが教えてくれたことは、読み続けている私が今も立ち返ることでもある。

「自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、
後ろめたく思う必要はありませんよ。
サボテンは水の中に生える必要はないし、
蓮の花は空中では咲かない。
シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、
だれがシロクマを責めますか」
(梨木香歩『西の魔女が死んだ』より)

有名なおばあちゃんのセリフ。環境を変えたいと思ったとき、人間関係に悩んだとき、私はいつもこの言葉を思い出す。そして生きやすい場所を求めることは決して逃げではないことを教えてくれる。

心が軽くなる、ほっとする、優しい気持ちになれる。そんな1冊。
それはおばあちゃんの優しさや温かさがくれるものだけじゃなくて、描かれているおばあちゃんの生活からも感じられるもの。
春になったら野イチゴを摘んでジャムを作る。洗ったシーツはハーブの上で干す。山に咲く季節の花を飾る。自然の中にちょっとお邪魔して、少しだけ豊かな生活を送る。幼い頃から憧れ続けているが、この辺りは映画でも素敵に描かれているから是非観てほしい。

このnoteを書くにあたって、もう一度読み返してみたけど表紙に皺は寄っているし日焼けもしていた。この先もどんどん読み返した歴史が刻まれていくんだろうな。
ありがとう、“おばあちゃん”。私も自分で決めた今を、「大人」を生きているよ。


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