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124お茶会アラカルト29若き後継者

茶道具を商う名古屋駅前の東玊堂さんに、お伺いする。
台風で土砂降りの雨の中、今日を逃すと後がないので、思い切って家を出てきた。
9代高橋道八襲名記念作陶展。
会場は4階の展示場で、講演会の演題は、(焼物のお話)
少し前に行われていた記念茶会には残念ながら参加できなかった。
京焼のきれいなお茶碗で席主と、直接顔を合わせ話を聞きながら一服頂きたいと
切に願っていたが、都合がつかなかった。
満を持しての本日。やはり悪天候で集まった人数は少なめだったが、花子自身も含めて多分熱心な方々のお集まりなのだった。
冬の最中、やはり東玊堂で、蘇山5代目の3女である若い女性のお茶席で新作の青磁の茶碗で頂いた、美味しい茶
の味が思い出される。
その時、千家十職も、最近は、後継者に男性が少なく、女性が継いでいると聞いた。
職人に男女の関係はないと思い、心から若い五代目の、健闘を願ったものだ。今日は始まる時間には少し早かったので、先に展示作品を見て回る。
あちこちで茶道具を見る機会が増えたが、総じて、古いものに価値が置かれたり
渋めのもののほうが高級かとお
もっていたが今日並べられている作品群は茶碗を始め、水指、蓋置、花入れ、菓子器など、何れも艷やかに品位が感じられ、何よりも新しくて綺麗だと、そのほうが全体的に伝わってきた。
恐れ多くて触れないという、物々しい雰囲気ではない新鮮さで、自分のそばに飾りたいと思わせる魅力があった。
時間になり、講演会が始まる。
9代道八で御座います!スラリと涼やかに立ち、若々しい声でのご挨拶。聞く方は年配の婦人がおおいのだが、さっと気分が明るくなって、文句なく、若さはいいと花子は思った。
中国、朝鮮、安南など、古器の模倣や、野村仁清、尾形乾山等を写しながら、道八様式を確立した話を、皮切りに、土の話、実際の焼の話、絵付けの事、金を磨く話など、次々と語りにユーモアを交え、爽やかで滞りなく若いのに見事な講演だった。
窯ではなく、電気で焼き上げるという話は初耳でびっくりもし、しんせんでもあった。
ニクロム線が切れたり、停電になったり温度は目で見る、色とかは勘であるとは魂消た。
普通の家の電気釜とかレンジも使って焼き上げるそうで、余熱はないし、今までの焼物のイメージは、ガラリと変えて、そこをサラリと説明する、9代女史の口元を見つめていたものだ。
作業に使う小道具も、手作りと聞いて感心しつつ、トンボ、団子、ヘラなど、聞き慣れない名があり、実物と用途を熱心に見た。
すべての工程は手を使い、体を使い、なかなか厳しいものがあり、一つの完成を見るまでの苦労はたいしたものだとわかった。なんの道でも、厳しさは付きまとうと改めて思った。
今のところ図柄は代々のものを取り入れているが、独自の新しいものを手探りしているとのこと。
オリンピックのエンブレムのことなど思いながら、音楽の世界でもあることだし、芸術家はすでにある古いもののあらゆる面から、刺激を受けつつ新しい道を探っていくものだと考え巡らしたりした。
自分の手で何かを生み出すのはなかなかの花子だが、なにかにつけ、事の道理を、知るのは楽しい。

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