【B級戦法】端攻め右四間飛車
概要
個人的おすすめ度
分類:居飛車(右四間飛車)
攻め:★★★★☆
守り:★★☆☆☆
右四間飛車というとどんなイメージがあるだろうか?
・攻撃力はあるが攻めが単調
・強い人には通じない
・アマチュアの戦法
なんて言われることが多い。
攻め筋が▲4五歩や▲2五桂しかないのだし、それだけ対策すれば振り飛車も楽な展開になることが多くそう思われても仕方ないところである。
そこでそんな右四間飛車に端攻めという幅を加えたのがこの戦法である。
メリット
右四間飛車の攻撃力を活かしたまま攻め筋を広げている。
端攻め+地下鉄飛車の組み合わせは右四間飛車以上に破壊力のある攻めが可能だ。
右四間飛車相手に振り飛車から仕掛ける手は考えづらく、想定した局面に誘導しやすい。
デメリット
左右の銀を攻めに使うため囲いは薄い。
上部を制圧されると攻めが頓挫しやすいので注意が必要。
駒組み
初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△4二飛▲4六歩△6二玉▲4七銀△3二銀▲5六銀△4三銀▲6八玉△7二玉▲7八玉△8二玉▲9六歩(1図)
後手の四間飛車に対して、先手は腰掛け銀から右四間飛車に組んでいく。
後手の対策も色々あるが全てを網羅するのは難しいので、先手がどういう形を狙っているのかというのを見ていってもらいたい。
駒組みも途中だが1図の▲9六歩がひとつポイントで、後手にどう囲いますかと聞いている手だ。
美濃囲いか穴熊かで攻め方を変えることになる。
穴熊へ
まずは後手が穴熊を目指した場合について見ていく。
1図以下、△9二香▲5八金右△9一玉▲9五歩△8二銀▲4八飛(2図)
後手は端歩を受けずに穴熊に組む。先手は船囲いから右四間飛車を確定させる。
2図で△7一金とするといきなり▲4五歩が成立する。以下、△5二金▲4四歩△同銀▲4五歩△3三銀と角銀が捌きにくい格好だ(変化1図)。
2図以下、△3三角▲6六角△7一金▲7七桂△5四銀▲8八銀△5一金▲6八金△6一金左(3図)
3図までで穴熊はほぼ完成したが、先手もどこかで見覚えのある形に組み上げている。
▲4九飛~▲9八香~▲9九飛となればいよいよ地下鉄飛車となるが、▲4九飛には角打ちのスキが生じてしまうので注意が必要だ。
3図以下、▲8五桂△7二金左(4図)
何もないところだが▲8五桂と跳ねることができる。
後手は穴熊を完成させたが、端攻めを狙っている先手からしたら逃げ道が塞がったと思っておけばいい。
4図以下、▲4九飛△4五歩▲3三角成△同桂▲6六角△4三飛(5図)
4図から▲8六歩や▲9三桂成もあるが、▲4九飛と力を溜めるのがわかりやすいだろう。後手もたまらず△4五歩とすでに端攻めの準備が整っているので自陣に角を打たれても構わないのだ。
5図以下、▲9三桂成△同銀▲同角成△同桂▲9四歩(6図)
▲9三桂成に△同香は▲9四歩から香を入手して▲4四香がある。
△9三同銀しかないが、▲同角成から端攻めが炸裂し先手が優勢だ。
後に▲9九飛もあり受けきれないだろう。
穴熊側も△6四歩~△6三金と組むなど工夫があるが、端攻めを含みに戦えば先手も指せる展開が多いだろう。
美濃囲いへ
次に1図から後手が美濃囲いを目指した場合を見ていく。
美濃囲い相手には悠長に地下鉄飛車には組めない(仮想図)ので、素早い攻めが求められる。
仮想図は角が狭く、そもそも▲8五桂の攻めがないので先手が失敗だ。
1図以下、△9四歩▲5八金右△7二銀▲4八飛△5二金左▲6八銀△3三角(7図)
美濃囲いに組んだ後手に対して先手も船囲いにする。
7図から▲7九金としてElmo囲いに組んで攻めるのも面白い。
7図以下、▲7七銀△3五歩▲8六銀△6四歩(8図)
▲8六銀と出て棒銀の要領で攻めるのが工夫で、あくまでも端を狙っていく。
8図以下、▲6八金上△5四歩▲6六角△7四歩▲9五歩(9図)
すぐ端攻めをしてもうまくいかないので▲6八金上とタイミングを計る。
△5四歩と△5四銀が消えると6六の角が追えなくなるので端攻めを敢行する。
以下は△9五同歩▲同銀△6三金▲9四歩△9二歩▲8六銀として、これからの将棋だが先手が一本取った形だ。
銀冠を目指す
振り飛車として早めに銀冠に組んで端攻めに備える手も考えられるところだ。
8図の△6四歩を△8四歩に変えて10図。
おとなしく△8三銀~△7二金~△7四歩とできれば端攻めはもうできない。しかし浮いている歩をいきなり狙いにいく手順がある。
10図以下、▲7五銀△8三銀▲6六角△5四銀▲7七桂△7二金▲8四銀△同銀▲同角(11図)
先手が突き出した△8四歩をしつこく狙って1歩得でポイントを上げた。
以下は▲6六角~▲8六歩からじわじわ攻める手を見せて後手から動いたところを反撃するような指し方がいいだろう。
さらに早く銀冠を目指す手順も考えられるが、△8三銀の瞬間は離れ駒ができてしまうので▲4五歩から仕掛けてしまえばいい。手順やタイミングが重要だ。
早めの△5四銀
最後に後手が積極的に動こうと早め△5四銀と出てくる手を見ていく。
7図から▲7七銀△5四銀として12図。
これにもしつこく端攻めを狙う手順も考えられるが、それならばElmo囲いから普通に仕掛けたほうがいいだろう。
ここでは今までなかった筋を紹介する。
12図以下、▲6六銀△6四歩▲5五銀左(13図)
角換わり腰掛け銀のように銀をぶつけていく手がある。
この銀がいなくなっては後手からの動きは難しくなるが引くわけにもいかない。
13図以下、△5五同銀▲同角△6三金▲8八角△7四歩▲3六歩△5四歩(14図)
互いに銀を手持ちにしたがすぐに動く手はないので駒組み合戦となる。
先手は機を見て▲3五歩△同歩▲3四銀と大駒をいじめていく展開がよさそうだ。
まとめ
右四間飛車はやや単調な攻めになるきらいがあるので、アマチュア三段くらいになるとほとんど見なくなる戦法であるが、このように端攻めを絡めることで盤面全体で戦いを起こせる戦法となった。
後手も迂闊な駒組みをしていると通常の右四間飛車の攻めを受けるし、右四間飛車を警戒しすぎると端攻めで一気に潰されてしまう可能性もあって神経を使う序盤戦になるだろう。
今回は△4三銀型や△5四銀型で右四間飛車に対抗したが、△4一金型・△2二角型・△3一銀型などもあり組み合わせによっては後手も有望な変化が多いのでぜひ指してもらいたい。
居飛車党の方で対振り飛車に困っている方はぜひ採用してもらいたい戦法だ。今回は四間飛車に限定したが三間飛車相手にも通用する、というか三間飛車相手のほうが有望な変化が多い戦法になっている。
おまけ。
指してみた感じ、穴熊にはかなり勝ちやすいが、美濃囲い相手には難解な将棋となるので、Elmo囲いから普通の右四間飛車にしたほうがいいかもしれない。
これからのモチベーションを保つため、参考になった方はサポートお願いいたします。