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気候危機とは〜今世界で起きていること

「もうそろそろ降り出しそうだね。」

空を見ると濃いグレーの雲。遠くでゴロゴロと雷の音がする。

駐車場まで歩くと距離があるが、5分くらいなら小走りすれば雨に濡れずに間に合うだろう。

と途中まで歩き始めて思ったが先、大粒の滴がポトポト降ってきた。アスファルトが濡れると土臭いような匂いがする。この土臭い匂いは私は嫌いじゃない。

「うわっ降ってきた!!」

2人で全速力で駐車場まで走った。でももう雨は容赦ない。まるで滝行をしているような雨。今日に限って傘を2人とも持っていない。

私は自分が濡れるよりも鞄に入っている書類とiPadと iPhoneが濡れないか、それだけが気がかりで鞄を抱きかかえて走った。

シャワーのような雨。雨が目に入ると目が沁みて、目を開けられない。薄目で駐車場まで走った。道が大きく、こういう時に限って雨宿りできるようなところはない。駐車場までそんなに距離がなかったはず、いや、今までそんなことを気にしたことがなかっただけかな。今日は車まで辿り着くのにこんなに時間が掛かると思わなかった。

「うわー濡れたね〜」2人とも全身シャワーを浴びたくらいずぶ濡れになった。こんなに濡れたのは雨が降るのも気にせずに遊んでいた子どもの時以来かもしれない。

昨今日本では連日大雨の予報が続く。土砂崩れなど被害も大きい。いろいろと人災などとも言われているけれど、被害に遭われた方々の事を思うと心苦しい。

ニュースでは警報が出たので早めに車で避難をしようと準備をしていたら、あっという間に雨がくるぶしまでになり、膝下まで来たので結局家の2階で避難したと取材に答えていた。

世界でもヨーロッパや中国など1,000年に一度と言われるような洪水も起きた。

地球温暖化による気候変動が原因とも言われているが、もはや通り越して気候危機である、とも言われている。

「地球に住めなくなる日」という去年3月に発売されたセンセーショナルな題名の本の中の冒頭に、今まで人類は長い歴史の中でこのような規模の危機、脅威にあってきたとある。

今までの研究で分かっていることは、地球上では過去に大量絶滅が5度起きており、その度に動物の顔ぶれが入れ替わり、進化がリセットされたという。

オルドビス紀末(4億5000万年前)には、すべての種の86パーセントが絶滅、続いてデボン紀末(3億8000万年前)に75パーセント、ペルム紀末(2億5100万年前)には96パーセント、三畳紀末(2億100万年前)に80パーセント、そして白亜紀末(6600万年前)には75パーセントが姿を消した

白亜紀は恐竜がいた時代で原因は違うけれど、それ以外のすべての絶滅には、温室効果ガスが引きおこした気候変動が関わっていたという。

地質学の研究では、二酸化炭素による温暖化がとくにひどかったのは2億5200万年前の三畳紀で、地球の気温は5℃も上昇したそうで、火山などの影響で強力な温室効果ガスであるメタンが放出されて温暖化に拍車がかかったと言われている。

私たちはいま、大量絶滅のときの少なくとも10倍の勢いで二酸化炭素を出している。産業革命以前にくらべると100倍で、すでに大気中の二酸化炭素は、過去80万年で最も高くなっていると言われている。 これらの産業革命の開始から積みあがってきた道徳的・経済的なツケを、何百年もあとで自分たちが払わされている

と、多くの人は地球温暖化をそう捉えているけれど、実際は化石燃料を燃やして大気中に放出された二酸化炭素は、この30年に発生したものが半分以上を占めるそうだ。つまり、私達の時代でほぼ増やしていると言っても過言ではない。
自分達がしてきたこと、文明の発達と共に失われてきたもののツケとして今結果として出ていると思うと、とても他人事にはできない。

今のこの時代はその大量絶滅の時と同じような状況になっていると本書では言っている。

コロナもまだ終息していないけれど、病気やこれらの天災、天変地異と言われるものに共通して言えるのは、どんな人にでも起こり得るということだ。

例えお金持ちだろうと貧乏だろうと株で儲けていようとトップに上り詰めようと躍起になったとしても、関係ない。
物質的なものがなくなれば、一万円札もその世界では通用しなくなる。
男性、女性、若かろうと歳を重ねていようと
その世界で通用するのは助け合い、お互いに力を合わせていかなければもう打破できない世界になるだろう。
これから温暖化が進み、洪水や大熱波、地震、そして水不足などによる飢饉など問題が起きてきたとしたら、その時自分はどうするか、人としてどう生きるか心構えが今試されているのではないだろうか。

そんな風に濡れた髪をタオルで拭きながらふと思った。

つづく

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