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韓国 社会変革労働者党の党規約から 性差別・性暴力根絶および予防に関する規定 (週刊かけはし 2021年1月18日号)

韓国 社会変革労働者党の党規約から
第3号党規:性差別。性暴力根絶および予防に関する規定


社会変革党党規約掲載にあたって

 キム・テヨン(社会変革労働者党代表)が「かけはし」韓国はいま、11月16日号で、党内での性差別事件について明らかにした。「社会変革労働者党が結党してから5年にしかならないが、党内で決して少なくない性的暴力やセクハラ提訴事件などが発生している。

最近でも党員がセクハラ2次加害で提訴され、対策委員会が構成された。変革党3号党規に制定された『性差別・性暴力根絶および予防に関する規定』に基づいて提訴事件を解決している。この党規は『被害者中心主義』と『2次加害禁止』の概念を適用している」。

この記事を知り、社会変革労働者党の党規約を知ることによって、われわれが抱えている組織内女性差別問題克服の一助になると考えたので社会変革党の規約「性差別・性暴力根絶および予防に関する規定」を紹介する。

 変革党は女性作業チームが組織されていて、毎号の機関紙に性差別問題・フェミニズムについて掲載している。そうした女性たちの党内での闘いの結果として、JRCLの規約と比べても非常に実践的だ。

女性差別だけでなく、性差別、LGBTなどとしてこの問題を捉えている。被害者の治癒と復帰へ党としての援助と補償を明記している。そして、「予防」として、性差別・性暴力予防教育と性平等教育の実施。年1回の実施と履修。党内の講師団の育成。内部プログラムの準備と能力強化に努めること。

われわれもこうした変革党に学び、自己変革と性差別を許さない課題を闘う能力を勝ちとっていかなければならない。

 韓国・社会変革党の規約と比較するために、JRCLの規約の女性差別問題克服のための項目(一部省略)を紹介する。
日本革命的共産主義者同盟(JRCL)規約(96年4月の第17回大会で決定)(週刊「かけはし」HP「わたしたちの主張」欄で公開している)

日本革命的共産主義者同盟(JRCL)規約から

女性差別との闘いの義務
1、「女性差別との闘いの義務」
2、「男性同盟員の女性差別との闘いの義務」
3、「女性から『告発・糾弾』があった場合の取り組み義務」

付帯事項
これらの条項は、同盟が結成以来、男性同盟員による強姦事件、女性差別的あり方を内部に抱え、克服できずにきたことの結果であり、とりわけ1982年以来の「女性差別克服」の取り組み、総括活動の敗北的現実の表現である。今後の実践、今後の討論にもとづき修正され、豊富化されるべきことを確認する。

同盟は、これまで組織と活動を共にしてきた女性たちをはじめ、女性差別との闘い・女性解放の闘いに取り組んでいる女性、そしてすべての女性たちの批判と討論を内実化していくことを義務と考える。また、国内外の様々なフェミニズム運動に学び、教訓化していくことも求められている。

これらの条項は、第四インターナショナル第13世界大会(91年)決議「積極的是正行動」の精神にもとづき、各国支部の積極的取り組みを教訓とし、同盟の「組織内女性差別」克服のための取り組みと討論の現段階と、女性差別を克服し女性差別と闘おうとする決意を表すものである。

以下の項目は、女性との充分な討論ぬきに決定することはできない。従って参考のための付帯事項とする。
「女性同盟員が会議に出席する権利を保証する義務」
「女性同盟員の権利(独自の会議をもつ権利と発議権・拒否権)」

現段階において以下のものを指定文書・文献とする。
「組織内女性差別問題についての同盟の経過と問題点」(JRCL第17回大会採択文書。ただし「総括と課題」項の「[2]今後検討していくべき課題」は第17回大会では採択せず、「今後の討論課題である」と確認した。)「FI女性差別克服のための積極的行動」(理論機関誌FI55号)「三里塚労農合宿所パンフレット」(三里塚労農合宿所発行)「三里塚現闘団員4名の除名処分とわれわれの自己批判 83・9」(世界革命・83・9)など。

社会変革労働者党の党規約から

第3号党規:性差別。性暴力根絶および予防に関する規定

2016年5月29日制定



前文

 性差別と性暴力は家父長的抑圧の表現であり、特に性暴力は性別抑圧に基づく最も極端な暴力である。これらの性差別と性暴力は私たちの社会構造で発生する問題であり、加害者あるいは被害者個人の特性に由来されるものではない。運動社会だからとて、これらの抑圧的な構造から自由ではない 。

これまでに運動社会で発生した性差別・性暴力は、組織保衛という名目で隠蔽、縮小、歪められることが多かった、ささいなことで恥ずべきことだとされた。組織では、性平等と同志的関係を強調しながらも、家庭や恋人関係は私的な領域だとして性差別や性暴力を容認する場合も多かった。

私たちは、今性差別と性暴力を個人の道徳的問題を超えて、運動社会が克服しなければならない家父長的で権威的な組織環境の問題として提起しなければならない。

性差別・性暴力根絶および予防に関する規定は、性差別と性暴力を引き起こす家父長的文化をえぐり出す決意であると同時に、これを党活動の過程で、予防し、正常に解決していこうとする最小限の規定である。この規定の旗じるしは、組織構成員自ら立てた「共同体の実践の約束」である。これをはじめとして権威主義的・性差別的文化を変革させて、実質的な性平等を実現するための議論と実践を継続的に行っていこう。

1条(目的)

 この規定は、わが党で発生する性差別、性暴力事件の処理と解決のために必要な諸般事項を規定し、性差別、性暴力の根絶と予防を通じて、人間の尊厳を保証して、性平等な組織文化を作っていくことを目的とする。

2条(定義)

①性差別とは、政治、経済、社会、文化的生活のすべての領域で性別とLGBTなどを理由に行われるすべての差別、排除または制限をいい、性別とLGBTなどに関係のない表現で提示されたとしても、特定の性に不利な結果をもたらす場合(間接差別)も性差別と見る。
②性暴行とは、性的自己決定権を侵害するすべての言語的、精神的、物理的、環境的暴力を意味し、同性間の性暴行についても同様に適用される。また、個人のLGBTなどを本人が望まない対象に暴露(アウティング)する行為やLGBTなどに対する嫌悪を表現する行為も性暴行とみなす。また、現在あるいは過去の恋人、法的・非法的家庭の構成員の間で発生する身体的、言語的、精神的被害を伴う暴力行為も性暴行とみなす。

③ 2次加害とは事件を黙認ほう助したり、事件後、被害者に事件と関連して直接、間接的にまた別の加害をしたり、権利を侵害するあらゆる言動をしたり、被害者と党が事件をきちんと解決することを防いだり害する行為を意味する。

④対策委員会の真相調査の結果、性差別、性暴行事件として規定され、中央執行委員会で報告書を採択した時点から被提訴人は加害者として、提訴人を被害者とみなす。

⑤代理人とは、被害者がその権利を代理するように選任した人をいう。

3条(適用範囲)

 この規定は、わが党の党員に適用され、提訴者、被提訴者、被害者、加害者いずれかの側のみが党員である場合も、この規定が適用される。

4条(事件処理の原則)

①事件の処理は、次のような被害者中心主義を原則とする。
1 事件の成立と処理は、被害者の具体的な陳述に根拠を置く。
2 事件の処理過程で、被害者の意思を尊重する。
3 被害者が第2の被害を受けないように党が各種の措置と努力をする。
4 被害者の治癒と復帰を目的に、可能な限り迅速に解決する。

②事件の処理は、公式的解決を原則とする。公式的解決とは、党の公式的機構を通じて公式的手順に従って解決することをいう。また、必要に応じて、加害者の実名、事件の処理結果、党の立場を内外に公開することができる。

5条(提訴者・被害者の権利および保護)

①提訴者・被害者は事件の調査と処理の過程で、以下のような権利を有し、代表または中央執行委員会や対策委員長は、提訴者・被害者に、次のような権利があることを告知しなければならない。

1 代理人を同伴し選任する権利
2 特定の人の対策委参加を要請したり、拒否する権利
3 必要以上の質問に対する返答を拒否する権利
4 証人や参考人などを申請する権利
5 臨時措置を請求する権利
6 事件解決の全過程と結果について知る権利
7 加害者の処理について意見を述べる権利

②この規定に基づき事件を処理する過程で代表または中央執行委員会、対策委員会は、提訴者・被害者の保護と権利を保証するために必要なその他の措置をとることができる。

③対策委員会と党員は提訴者・被害者とその代理人の保護を最優先に考慮しなければならず、提訴者・被害者またはその代理人の同意なしに身元が明らかにされるおそれがある諸内容を他人に漏らしてはならない。④上記3項に違反して事件を処理する過程や事件が処理された後、提訴者・被害者およびその代理人にこれによる不当な被害が発生した場合も、この規定に従う。

6条(事件の申告と成立)

①代表または中央執行委員会に事件を申告するのと同時に、事件が成立し、事件を受理した代表または中央執行委員会は、事件の調査と解決のための対策委員会の構成を15日以内に完了しなければならない。 ②事件の申告は、被害者、被害者の代理人、被害者の同意を得た事件について知っている者の誰でもすることができる。

7条(適用時)

 提訴は、事件発生日からの期限を設けない。

8条(臨時措置)

①代表または中央執行委員会は、申告後、真相調査前であっても提訴者側と協議して提訴者の権利が損なわれないように被提訴者を提訴者から隔離するための一時的な措置をとることができる。

②代表または中央執行委は、上記1項のような提訴者の請求があった時、内容と期限などを含めて48時間以内に臨時措置の可否を決定しなければならない。

1 代表または中央執行委は臨時措置を決定したら、すぐにこれを提訴者、提訴者の代理人、対策委員長に通知しなければならない。
2 被提訴者が党の臨時措置の決定を履行しない場合、被提訴者は、これを理由として、本規定により規制を受ける。

9条(対策委員会)

①対策委員会の構成は、次のようにする。

1 代表または中央執行委は事件が申告された直後、女性委員会と協議して対策委員長を選任する必要があり、代表と対策委員長は15日以内に対策委員会を構成する。

2 対策委員会は、3?7人以内の奇数で構成する。

3 対策委員会には、性暴力の専門のカウンセラーの教育またはこれに準ずる教育と活動をした者が必ず含まれなければならない。

4 事件の円滑な解決のために、外部の専門委員を対策委員に置くことができる。提訴者あるいは被提訴者がLGBTなどである場合も、外部LGBTなどの専門委員を対策委員に置くことができる。

②位相と役割

1 対策委員会は、事件処理のための一時的な機構である。事件の処理とは、加害者の懲戒及び被害者の治療のための一定の措置を完了することを意味する。

2 対策委員会解消後も、必要に応じて再招集することができる。

3 対策委員会は、申告された事件の処理のために諸活動を行う。

4 対策委員会は、対策委員会が構成された日から50日以内に真相調査報告書を完了しなければならず、必要な場合1回に限り、中央執行委員に報告し、被害者側と議論して15日まで延長することができる。

5 対策委員会は、真相調査報告書(案)が用意された後に、被害者および加害者に釈明の機会を与えなければならない。

6 対策委員会は、真相調査の活動結果(懲戒に付するかどうか、勧告事項など)、事件の処理結果を被害者と被害者の代理人、党に報告する。

7 対策委員長は、職権または被害者や被害者の代理人の要請がある場合、本規定による加害者に対する懲戒手続き終結まで、加害者と被害者の空間的分離および、電話やオンラインアクセスなどを含む一切のアクセスの禁止、加害者の活動停止等に該当する措置を代表に要請することができる。

8 対策委員会は、加害者と2次加害への処理方法を党に要請することができる。

③権限:対策委員会は、事件の処理のために、党とすべての党員に必要な資料の提出と関連人の召喚を要請することができ、党とすべての党員は、これを忠実に履行しなければならない。

10条(加害者に対する措置)

①全国委員会は、調査結果に従って、次のような措置をとることができる。

1 加害者の教育など性平等のための教育プログラムの履修
2 加害者の被害者との空間的分離およびアクセスの禁止
3 被害者の治ゆ、相談、休息利用等にかかる費用の負担
4 党規約に基づく懲戒
5 その他

②加害者が被害者やその代理人に報復を加えたり、再犯する場合は、加重して懲戒する。

③社会的に事件が解決されていない加害者の場合、党員かどうかにかかわらず、党の行事に参加させない。被害者側と協議して事件を解決したり、それに準ずる処理をした場合、党に加入したり、行事に参加することができる。

④全国委員会は、対策委の調査結果によって、2次加害事実が確定された場合、この規定に基づいて処理することができる。

11条(被害者の治癒と復帰)

①わが党は、被害者の癒しと復帰のために努力しなければならない。

②被害者の要請がある場合の相談、治療、休息利用等に必要な費用の全部または一部を支援することができ、後に加害者に賠償を要求することができる。

12条(共同解決)

①提訴者や被提訴者、被害者や加害者の中のどちらかが党員ではない場合、または事件の社会的解決のために、共同解決の原則に基づいて、当事者の所属集団などと共同対策委員会を構成することができる。

②加害者が党員ではない場合、加害者の所属集団に加害者に対する処理や懲戒を要請することができる。

13条(予防)

①性平等な文化を確立するために性差別・性暴力予防教育と性平等教育などを新入党員および党員教育に含めている。

②各市道党は年1回以上所属党員を対象に性平等教育を実施しなければならない。

③党員は年1回以上の性平等教育を履修しなければならない。

④党内の講師団養成のために会員が性暴力関連の専門教育を履修する時、党が費用の一部(最大50%)を支援することができる。⑤差別と暴力の根絶と予防、平等な組織文化を確立するために、内部プログラムの準備と能力強化に努める。

附則
1条(不備点)が規定の不備点は、全国委員会で定めるところによる。
2条(実施)この規定は、確定された日から施行する。
3条この規定で、女性委員会の役割は、女性委員会が建設されるまで女性事業チームが行う。

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