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もうすぐ100人のスタートアップが、それでも組織の透明性にこだわる理由

KAKEHASHIという会社の特徴の一つに、「組織の透明性」というポイントがあります。たとえば、社内のコミュニケーションに活用しているSlackでは90%以上がオープンチャンネルでのやり取り。プライバシーに関わることでない限りは、あらゆる社員がアクセス可能な状態になっています。しかもセンシティブな経営情報をはじめ、何からなにまで、新たにジョインしたメンバーが「ここまで見せちゃっていいの?」と思わず不安になってしまうほどの丸裸状態。なぜそこまで徹底し、こだわっているのか。その意図を、COOの中川に語ってもらいました。

・KAKEHASHIを透明性にかきたてる、2つのビジョン。
・フルオープン&フルフラットを徹底してみて、初めて分かったこと。
・フルオープン&フルフラットの“第2フェーズ”へ。
・フルオープン&フルフラットな組織における、意思決定のあり方。

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KAKEHASHIを透明性にかきたてる、2つのビジョン。

透明な組織、私たちはよく「フルフラットな組織」と表現していますが、ピラミッド型のように階層化された構造をとらず、あらゆる情報が等しく全員にシェアされる会社でありたいというのは、KAKEHASHIを創業した当時から変わらないコンセプトです。

その根本には、2つのビジョンがあります。

一つは、“自律”を楽しめる人が集まる会社であり続けたいということ。一人ひとりが大きな権限と裁量を持ち、オーナーシップをもって物事を考え、決めていく。「自分で考え、自分で動く」という楽しさとワクワクがある組織です。

もう一つは、時間と場所に縛られない、働き方の自由を担保したいということ。この2つを実現するための大前提となるのが、組織の透明性だと考えています。

まず自律型の組織において、なぜ透明性が不可欠なのか。メンバー間での情報の非対称性が、自律の敵である「決定権の一極集中」を生むからです。フラットかつ裁量の大きな組織における意思決定権は、より分権的に拡散していくべきものだと思います。

さらに、部署間・個人間での情報格差は、セクショナリズムの源泉でもあります。お互いの状況を等しく共有できていれば、相手の立場で考えたり、助け合おうという発想が自ずと生まれてくるもの。少なくとも、不毛な社内政治や軋轢が生まれることはないはずです。

ですからKAKEHASHIでは、たとえば投資家ミーティングの内容は議事録に残して即時展開。同じく、資料も全社展開。キャッシュの状況、今後の見立ても、経営に関する情報は全員が等しくキャッチできるようにしています。

オフラインでミーティングした際も、その内容を必ずオンラインに残す。よくある「喫煙室政治」のように、アンオフィシャルな場の立ち話で何かが決まるということが起こりえないようにする。

これは、働き方の自由を成立させるための大前提でもあります。KAKEHASHIでは、リモートワークを当たり前に選択できる環境整備を進めており、実際に子育てと仕事を両立させているパパ・ママもいますし、フルリモートで活躍しているエンジニアもいます。日々の会議やミーティングへの遠隔参加ももちろん可能です。

あらゆる情報がオンライン化されているので、オフィスにいる・いないの差はほぼなく、むしろSlackの情報量に耐えられるかどうかのほうが重要。オフィスにいる誰かよりも、リモートワークでSlackをすべて読んでいる人のほうが、社内の状況に詳しいということもありえるのではないかなと思います。

フルオープン&フルフラットを徹底してみて、初めて分かったこと。

まず、これが一番大きいかもしれませんが、情報過多。いや、過多という言葉では少なすぎて、もはや「情報爆発」ですね。2時間のMTGから戻ると、Slackの未読数が平気で400件とか溜まっているのが当たり前というか……。

そのなかで、どの情報が重要でどれがそうでないかを素早く読み取って反応しなくてはいけないのですが、その情報処理の負荷がすごく高い。さらに、メンバーが一人増えるごとに情報量は指数関数的に増えていくので、そこは大きな課題です。

さらに、メンバーの帰属意識の問題もあります。一般的に人間は、自分に分かりやすいラベルをつけることで安心を保とうとするものです。その最たるものが、所属部署や職種、肩書きといったものになるわけですが、KAKEHASHIでは、そこに帰属意識を向けることを良しとしません。それが、セクショナリズムの温床となり得るからです。

そもそも、一人が複数の役割を兼ねることが当たり前の組織なので、「自分はエンジニアだ」「自分は営業だ」といったアイデンティティを形成するには不向きな環境でもあります。

あくまで全員が「医療をより良く変えていくKAKEHASHIの一員だ」というところに帰属意識のすべてを向ける必要があるのですが、これが実際、口でいうほど簡単ではないんですね。ともすれば、「自分はこの組織で何を担っているだろうか」という、本来なら不要なはずの心理的負荷をメンバーに与えてしまっている部分もあると思います。

もう一つは、認知的な負荷の重さ。組織が透明であるということは、あらゆるセンシティブな経営情報も含め、すべてを全員に共有することが正義だということです。たとえば会社がいつまでにどうなるとか、顧客や投資家からの厳しいフィードバックなど、普通なら知らなくていいような課題や悩みまで共有される。

一般的には、そうした情報から遮断することで「社員を守る」という発想になるのでしょうが、私たちの場合は、「あえて共有し、背負ってもらう」という重みを課しているのです。

知ることは、責任を伴うもの。メンバーには難しいことを要求していると思います。ただ、その難しさがあるからこそ、誰もが大きな裁量を持ち、自律的な働き方ができるというのもまた事実。

自由と自律を愛するKAKEHASHIのメンバーだからこそ、このトレードオフをポジティブに受け止めてほしいし、受け止められるはずだという思いを、私自身も強く持っています。

最近、ボードメンバーによる経営会議を、議事録ベースでの共有ではなく、メンバー全員の目の前で実施するようにしたのですが、その背景にあるのもこの意図です。

フルオープン&フルフラットの“第2フェーズ”へ。

とはいえKAKEHASHIも社員数70人を越え、仕組みを再考する必要性も強く感じています。

KAKEHASHIがいま実現できているのは、あらゆる情報をオープンにするということ。ただし、それは本質的なオープンネスではないんですね。雑多な情報があらゆるところに転がっていて、「あとは自由に受け取ってね」と、受け手に依存しているに過ぎないんです。

このままでは、受け取り方の巧拙による情報格差がどうしても発生してしまいます。透明性というのは、発信者として“上手に”発信するところまで含めて、初めて担保されるもの。透明性の概念を、そこまで昇華させて考えるべきだと思っています。

まだ明確には見えていないのですが、実現したいのは、情報量を減らしたり、特定の個人が情報の重みづけやフィルタリングをするのではなく、発信のやり方を工夫することで受け取りやすさを担保する形。

たとえばこれまでも売上・利益の状況などリアルタイムで公開してきましたが、その情報は体系化されておらず、受け手の財務知識の多寡に依存した発信になってしまっていました。

そこに「現状はどうなっていて」「どの数字からどんな意味合いが読み取れて」といったファイナンス観点でのガイドがあるかないかで、受け取ることのできる情報の質・濃度は変わってきます。

このように情報の流量を減らすのではなく、情報の一つひとつを、みんながより簡単に、分かりやすく受け取れる状態にするというイメージです。

フルオープン&フルフラットな組織における、意思決定のあり方。

自由・自律型の組織だと、メンバーそれぞれの見ている方向にズレが生じてくるのでは? という疑問を投げかけられることもありますが、それに対しても本質的な透明性を実現できるかどうかで決まると思っています。

というのも、人間の意思決定は、その人の能力以上に「インプット」に左右されるものだからです。

あらゆる情報格差がなくなり、同じ情報量のインプットを等しい粒度で共有できていれば、みんなの目線は自ずと一つになるはず。もちろん過去の経験等によって多少の差はあれど、自律的な思考のできる人が同じ情報を受け取ると、そこからの仮説や結論が、少なくとも真逆になることはないでしょう。

全員のベクトルを無理に集約するよりも、透明性によって、メンバーそれぞれの内にある課題認識が自ずと擦り合っている状態が理想だと思っています。押し付けるのではなく、自律的な思考の結果、同じ方向を目指せる状態です。

そしてその認識した課題を解いていくうえでは、固定化されたチームではなく、課題ごとに職種横断的なプロジェクトチームが組成され、動いていく。さまざまなプロジェクトが同時並行に立ち上がっては終わり、また新たなプロジェクトが立ち上がって……というのを常に繰り返している状態こそが、KAKEHASHIらしいあり方だと思っています。

あらゆる情報が等しく共有されていれば、メンバー一人ひとりが複数の役割を担い、さまざまな意思決定に主体者として広く関わっていくような組織構造も実現できるはず。

……とはいえ、まだまだ道半ば。組織規模が拡大するにつれ、また新たな課題も生まれてくると思いますが、「自律を楽しめる人が集まる会社」「時間と場所に縛られない、働き方の自由」という2つのビジョンを妥協せず、KAKEHASHIらしい組織のあり方を模索しつづけていきたいです。

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