総合商社 ③事業撤退について

新規事業が昨今もってはやされているが、この事業撤退については同じくらい重要かつより難易度が高い仕事である。それは事業撤退とは即ち事業会社の清算、人員整理、社内諸手続き、減損、損失発生等々めんどくさそうなことが山積みであるからだ。また、この事業撤退は概して担当の人間のモチベーションを下げるものでもあり、PL、Cashが重要視される総合商社において、そのマイナス要因を生み出していることが多いこともまたその理由である。

では、事業撤退に至る経緯はどのようなものかとなると、まずは数年連続して赤字もしくは会社の要注意リストにリストアップされ、今後数年の戦略及び経営方針について精査される。外部要因、例えば油ガス価格下落に伴う一過性の経済性悪化ならまだしも、油ガス価格上昇局面で赤字を垂れ流していたらこれは社内コーポレート、マネジメントの印象はよろしくない。つまり、事業撤退は通常1~2年ですぐに判断が下されるものではなく、要注意リストに入ってから数年かけて外部要因、内部要因の分析、改善が行われたうえで、本部としての戦略を含めて議論された上で、彼ら事業会社なり部隊に対してこれまでと同じく会社のお金を預けていくことが出来るのかという信用の次元の話である。

つまり、事業会社の主管業務の大きな仕事の一つに、対社内向けの信用を日々積み重ねていく業務がある。例えば、マーケットで起こっているNewsのUpdateや当該国の政治状況のUpdateである。メールを転送したり、直接Face to Faceで立ち話すことが重要である。なぜなら、コーポレートの人間は事業の専門性はなくバックグラウンドが鉱山や製造業といった他の分野であることが一般的であり、その事業の一般性に関しての知識が不足しているから、つまり、自分たちのものさしと彼らのものさしは異なるからである。事業会社管理、つまり主管業務はあまり面白くないという話があるが、これは心持ち一つであり、自分の今いるポジションでよりよい仕事を行うにはどうするべきが日々考える必要があると思う。

以上