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【独立したときの税金2】個人事業主になると今までと何か変わるの?

Question
私はデザイナーです。個人としての収入が増えてきたので、税務署に開業届を出しました。個人事業主になると、今までと何か変わりますか?
Answer
サラリーマンと違って、個人事業主はいろいろとやることが増えます。そのひとつが確定申告で、毎年行う必要があります。手間は増えますが、税制上のメリットもあるので、一緒にがんばりましょう。

まず、個人事業主は、毎年確定申告しなければなりません。クリエイターとしての「事業所得」を計算して申告します。「事業所得」とは、個人事業主としての1年間の「もうけ」です。
この「事業所得」に税金がかかるのです。

事業所得を計算するためには、きちんと帳簿を付けて、1年間の収入と経費を把握・集計しなければなりません。この集計した表が「決算書」です。

「決算書」はあらかじめ決められた用紙があり、そこに記入していきます。でも、心配しないでください。後で紹介する会計ソフトを使うと、自動的に集計してくれます。昔と違って、今は安くて便利な会計ソフトがあり、簡単に入力できます。

とはいえ、大変なことばかりではありません。個人事業主にはいろいろなメリットがあるのです。

例えば、1年間集計したら赤字だったとしましょう。これまでのように「雑所得」で申告すると、赤字だったとしても、「所得=0円」とされ、何もメリットはありません。

一方で、個人事業主として「事業所得」で申告すると、この赤字は、勤務先の「給与所得」と相殺できて、全体の税金を安くできるのです。

つまり、プラスの所得(=給与所得=黒字)を、マイナスの所得(=事業所得=赤字)で打ち消すことができるのです。
これを税金用語で「損益通算」といいます。個人事業主ならではの節税方法ですので、ぜひ覚えておきましょう。

さらに、私は会社に勤めていないので「給与所得」がない、という方にもメリットがあります。「青色申告」を選択すると、今年の赤字を、翌年から3年間繰り越すことができるのです。これを税金用語で「損失の繰越し」といいます。

赤字(損失)を繰り越す、とは、どういう意味かというと、将来黒字になったら、その年の黒字と、繰り越した赤字を相殺することができるのです。つまり、将来儲かったときまで赤字をキープしておいて、将来の税金を安くすることができるのです。

よく「赤字だから確定申告しない」という方がいますが、実はすごくもったいない。将来税金が安くなるチャンスを捨ててしまっているのです。「食えないときこそ、確定申告」です。将来儲かったときに、「あのとき赤字でも確定申告しておいてよかったなあ」と思うはず。だって、黒字の年でも税金がゼロになる可能性があるのですから。

特にクリエイターの仕事は、収入が不安定で、黒字になったり赤字になったり、波が大きいですよね。この「損失の繰越し」も、節税のための強い武器となりますので、ぜひ覚えておきましょう。

▼出典
『令和版 駆け出しクリエイターのためのお金と確定申告Q&A』
(桑原清幸・玄光社)
キャラクターデザイン=山内庸資


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