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【独立する前の基礎知識12】独立後、仕事が無ければ失業保険はもらえる?

Question
勤めていた会社を退職して、イラストレーターとして独立したのですが、今のところ仕事がなく、ほとんど収入がありません。こうしたときに失業保険はもらえないのでしょうか?


Answer
フリーランスとして開業した方は、既に仕事を始めているとみなされるため、失業保険はもらえません。ただし、まだ独立準備が整っておらず、もっとスキルを磨きたい、もっと貯金をしてから独立したいという方は、次の会社への転職も視野に入れて、近くのハローワークに相談してみましょう。

失業保険は、「退職後の社会保険はどうなるの?」で説明した雇用保険という制度から支給されます。雇用保険では、会社の労働者をサポートするために、さまざまな手当や給付金が用意されています。
その中でも代表的なものが、失業中の生活費を補うための「失業保険」(失業手当)であり、正式には「基本手当」ともいわれます。

失業保険は、失業したら全員がもらえるわけではなくて、さまざまな条件を満たす必要があります。詳しい内容は下の表を参照いただきたいのですが、おおまかにいえば、「失業中」であり、かつ「再就職したいので求職活動をしている」状態でないと支給されません。

雇用保険で活用できる制度と主な条件(2018年9月時点)

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フリーランスとして開業した方は、既に仕事を始めていて、「失業状態ではない」とみなされるため、支給条件を満たさず、失業保険は支給されません。

ただし、まだ独立する自信がなく、スキルが足りない、貯金が足りない、別の会社に転職してもっとコネクション作りをしたい、という方もいると思います。準備不足のまま独立してしまうと、失敗するリスクが高くなってしまいます。
独立するまでに2、3社転職して、5〜10年間くらい会社で修業をしながら、準備をしっかり整えるという戦略もあります。

このように、再就職が前提であれば、さまざまな形で雇用保険を活用することができます。雇用保険には、失業手当だけでなく、「再就職手当」や「教育訓練給付制度」といった再就職やスキルアップを支援する制度もあるので、将来の独立に向けて有効に活用しましょう。

まず最初に、あなたがいま勤めている(もしくは前の)会社で雇用保険に入っているかどうか確認しましょう。パート・アルバイトの方でも、週20時間以上働いている等の条件に当てはまれば、雇用保険への加入が義務とされています。

会社の人事に確認するのが早いですが、最近の給与明細で雇用保険料(または労働保険料と記載)が控除されているかどうかでも確認ができます。
また、手当をもらうには、1年以上雇用保険に加入していることが条件となるものもあるため、加入期間を確認することも必要です。

「再就職手当」は、ハローワークを通じて求職活動をした結果、早めに再就職ができたときにもらえる手当です。長く失業手当をもらう代わりに、早く就職できたら一括で手当がもらえるという制度です。

この再就職手当は、条件次第ですが、会社に再就職した場合に限らず、結果として独立開業した場合ももらえる可能性があります。
さまざまな条件を満たす必要があり、前職の給料にもよりますが、10万円以上まとめてもらえる可能性もあるので、退職したら早めにハローワークに行って相談しましょう。

また、「教育訓練給付制度」も、ぜひ活用したい制度の1つです。これは、国が指定した教育機関が提供する研修プログラムを受講した場合、受講修了後に、研修費用の20%(最高10万円まで。一般教育訓練給付金の場合)を補助(キャッシュバック)してくれるという制度です。

WebデザインやCGクリエイター向けの研修や、ソフトウェア(イラストレーター・フォトショップ)の使い方といったクリエイター向けの講座も対象となっていますので、スキルアップのために活用しましょう。

この制度は、会社に勤めている間や退職後1年以内であれば利用できる可能性があります。やはり、この制度も、利用するための条件がいろいろとあり、受講する講座によっては補助割合が高いものもあるので、まずはハローワークに行ってみることをお勧めします。

雇用保険でとにかく気を付けたいのは、「不正受給」です。受給の条件に当てはまるように嘘をついて手当をもらってしまうと、もらった額の3倍を返金するといったペナルティが待ち受けています。雇用保険は、知っていれば得する制度が多いので、ハローワークの窓口とよく相談しながら、正しく活用しましょう。

▼出典
『駆け出しクリエイターのためのお金と独立準備Q&A』
(桑原清幸・玄光社)
キャラクターデザイン=山内庸資


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