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【税金の基本3】最重要! ! 所得税の仕組み

すべての税金の中で、皆さんがどうしても避けて通れないのが、所得税です。まずは、大まかに所得税の仕組みを理解しておきましょう。

所得とは?

所得税は、あなたが1年間に稼いだ「所得」に対してかかる税金です。「所得」とは、税金用語でいわゆる「利益」「もうけ」のことを言います。

「所得」にはいろいろな種類があります。所得税では、所得を10種類に分けて、それぞれ種類ごとに計算します。会社から給料をもらえば「給与所得」、副業でもうかったら「雑所得」、個人事業主としてビジネスをしていたら「事業所得」となります。それぞれの種類ごとに、収入から経費を差し引いて所得を計算するのです。

「所得」とは売上から経費を引いた「利益」「もうけ」のこと

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所得税と確定申告

所得税は国の税金ですから、税務署が窓口となります。個人事業主の方や、会社員で副業でもうかったという方は、毎年3月15日までに確定申告をして、税金を払わないといけません。ちなみに、3月15日が土日の場合は、週明けの月曜日が期限となります。ぎりぎりまで確定申告の準備をする方には(私のような税理士にとっても)、この1、2日がとても貴重なのです。

話を戻して、この確定申告、そもそも何のためにやらないといけないのでしょうか。それは、皆さんが支払うべき所得税の金額を計算して、税務署に自己申告するためです。サラリーマンと違って、フリーランスの方は、自分の収入や経費は、自分にしかわからないですよね。ですので、自分の収入や経費がいくらだったか、納めるべき税金がいくらになるかを計算して国に申告しないといけないのです。

サラリーマンの方は、年末調整という別のやり方で、会社が代わりにやってくれるのですが、皆さんはフリーランスとして自由な道を選んだ以上、仕方がありません。一生自由にクリエイターとして稼いでいくために、がんばって確定申告ができるようになりましょう!

所得税はどうやって計算するの?

さて、確定申告で計算する所得税ですが、細かいことはさておき、ざっくりと言えば以下のような計算になります。

所得(1年間のもうけ) × 税率(5〜4 5% ) = 所得税

このように、1年間の「所得」に「税率」をかけて所得税を計算します。この計算過程を表すものが、確定申告書なのです。

例えば、フリーランスのフォトグラファーAさんが、家族写真の撮影や雑誌の仕事で、1年間で500万円稼いだとしましょう。この500万円は、個人としての収入であり、会計用語で「売上」または「売上高」と言います。なお、所得税では、毎年1月1日から12月31日までの1年間(これを暦年と言います)で集計することになっています。

フォトグラファーAさんは、仕事上いろいろな経費がかかります。業務用のカメラはとても高いです。修理費用もそれなりにかかります。明るいレンズも欲しいです。ライティングの機材も必要ですし、レタッチ作業用のパソコンも相当高いスペックが求められます。他にもプリンタのインク代、交通費、お客さんとの打ち合わせのお茶代など、1年間のいろいろな経費を集計したら300万円だったとしましょう。

そうすると、この1年間の「利益」「もうけ」は、収入500万円から、経費300万円を差し引いた残り200万円になりますね。

所得税の計算の元になる「所得」は、収入の500万円ではなく、利益の200万円のほうを指します。よく勘違いされている方が多いのですが、所得税は、収入500万円に対してではなく、利益の200万円に対してかかるのです。ですので、収入が多くても、経費がもっと多くて赤字だったとすると、所得税はゼロになるのです。収入が多い少ないに関係なく、もうかった人から税金を取ろう、というのが所得税の考え方なのです。

所得に応じて税率は上がっていく

先程の所得税の式を思い出してください。所得に税率を掛けましたよね。次は税率の話です。5〜45%と書いてありました。この幅は一体何なのでしょうか?

所得税は、より多くもうかった人から、より高い税率でたくさん税金を取ろうという考えなのです。これを税金用語で「累進課税」(るいしんかぜい)と言います。所得の金額に応じて、掛ける率、つまりパーセントが上がっていくのです。ただし、税率が5%から10%に上がると、税金も2倍になるわけではなく、計算上は控除額というものがあって、階段式ではなくスムーズな直線になるように工夫されています。

個人で仕事をしている方は、所得の水準から、税率が5%や10%となる方が多いかと思いますが、もし所得(収入ではなく、「もうけ」ですよ)が4000万円を超えたりすると、税率が45%にもなってしまい、住民税10%と合わせると、もうけの半分以上税金で持っていかれてしまうのです。これが公平かどうかは何とも言えませんが、すごくもうかった人はそれなりに負担が大きくなっているのです。

補足ですが、平成25年から令和19年までの間、東日本大震災の復興費用に充てるために、通常の所得税に上乗せして「復興特別所得税」を払うことになっています。所得税の金額に2・1%を上乗せして申告・納付するのです。これも我々の税金ですので、被災地で困っている方に役立つ使い方をしてほしいものです。

所得税の税率表

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▼出典
『令和版 駆け出しクリエイターのためのお金と確定申告Q&A』
(桑原清幸・玄光社)
キャラクターデザイン=山内庸資


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