タイトル

複雑な社会を読み解くための考える力 / アート思考(著)秋元 雄史

・デザイナーは解決策を生み出し、アーティストは問いかけを生み出す
・アーティストは見えないものをいち早く察知する炭鉱のカナリア
・現代アートを構成する三大要素は「インパクト」「コンセプト」「レイヤー」

こちらは、「アート思考――ビジネスと芸術で人々の幸福を高める方法(著)秋元 雄史」に書いてある内容です。著者は、「ベネッセアートサイト直島」など、多くのアート活動に関わられています。本書では、アートがどういうものか、ビジネスとどうつながるのかを、直島プロジェクトから関わりのある世界的アーティストに共通する見方やアートに対する姿勢からアート思考として紹介されています。

<デザイナーは解決策を生み出し、アーティストは問いかけを生み出す>

「デザイナー」と「アーティスト」は、同じように感じますが、まったく違うものとして本書で説明されています。まずデザイナーの思考プロセスを核としている「デザイン思考」を「顧客ベネフィットのためにはどうすればよいか」を考えるものであり、顧客視点で、論理的に考えられるものと説明しています。

そして、「アート思考」は、「自分にとってはそれがすべてという大義を追求すること」とあり、主観的なものと説明しています。

デザイン思考とアート思考のそれぞれに共通するものは、「手を動かして考えること」「五感を活用すること」ということだと思いますが、その課題に対する起点が異なります。デザイン思考は、顧客視点であり、アート思考は一人称視点(自分のかなり内面のイメージ)です。

著者は、論理的に考える「デザイン思考」では、思考や創造に制限がかかり、イノベイティブな発想は得られないというジレンマに陥る危険性があるといいます。そして、これからは、そもそも何が問題なのかという問題を自ら作り出す「アート思考」がイノベイティブな発想に必要となると感じました

このあたりは、「直感と論理をつなぐ思考法(著)佐宗邦威」や「問い続ける力(著)石川善樹」に書かれている内容に近いです。


<アーティストは見えないものをいち早く察知する炭鉱のカナリア>

著者は、ビジネスパーソンに、現代アートをすすめる理由として、現代アートが「炭鉱のカナリア」のようなものだからとあります。「炭鉱のカナリア」とは、炭鉱等で有毒ガスが発生した際に、人間よりも先にカナリアが察知して鳴き声がやむことに由来する慣用句です。

感受性にすぐれたアーティストは、人々がまだ気づいていない時代の変化を察知して、アートで表現をします。しかし、アーティストは、まだ言語化されてない感覚的なものを作品としているため、見るだけで答えが得られるものではありません。

そのような現代アートに向き合うには、鑑賞者側が想像力を働かせ、「能動的に」理解しようとする姿勢が必要とあります。

<現代アートを構成する三大要素は「インパクト」「コンセプト」「レイヤー」>

著者は、現代アートを構成する三代要素として、インパクト、コンセプト、レイヤーという言葉にしています。「インパクト」は、作品の見た目として、他とは違うオリジナリティがある。「コンセプト」は、作品のメッセージや作品の考えがある。「レイヤー」は、異なった意味の層が存在し、異なった解釈が可能である。とあります。

「レイヤー」については、「芸術起業論(著)村上隆」でもありましたが、「芸術とは、想像力をふくらませる起爆剤が、いくつもしかけられていなければならないのです。」という行がありましたが、まだに共通するものだと思いました。良い作品というのは、何かのシンプルなメッセージを伝えるだけではなく、まだ答えのでていないものに、色んな考えさせられる視点を提供するものであるということです。


<まとめ>

現代アートは、正直、わかりにくいため、今まで鑑賞したいと思ったこともありませんでした。しかし、アーティストが向き合っている課題については、ビジネスパーソンではなくとも一見の価値があるなと感じさせられました。

また最近のコンテンツでは、わかりやすさが重視されています。それは、ユーザの離脱を低くするために、考える負荷を下げるためです。しかし、実際の社会やビジネスは複雑なことが多くなっています。現代アートとは、楽しむための娯楽だけではなくて、悩む力を身につけるための教養としての側面があると感じました

---
Twitter でも、プロジェクトマネジメント x リモートワークのノウハウと本について、つぶやいていますので、よろしければ繋がってください。

https://twitter.com/kajyou

支援は、コミュニティ研究の取材、サービス開発などに費用にあてさせて頂きます。