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「一度退会しても、戻ってきてくれればOK」サブスクリプションビジネスに欠かせない柔軟性

「Amazonプライム」「Netflix」といった書籍・動画配信をはじめ、食品、服、生花の定期便など、あらゆる業界やジャンルで広がりを見せるサブスクリプションを用いたサービス。

Kaizen Platformでは、そんなサブスクリプションビジネスにまつわるいくつかのプロジェクトがあります。今回、話を聞いたのは、サブスクリプションサービスの「解約抑止」を担ったことのあるプロジェクトマネジャーとアカウントエグゼクティブ(営業)の3名。

前編に続く後編では、サブスクリプションサービスの現状や、Kaizenの強み、今後の展望まで話してもらいました。

今後、サブスクリプションは必要なときにだけ、求められるようになる

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──解約抑止に携わってきたみなさんから見て、サブスクリプション(継続課金)ビジネスの概況はいかがですか?

多田朋央(以下、多田) サブスクリプションビジネスをやっている企業は、年々すごく増えていますよね。そのうえで、サービスの受け取られ方が多様化していると感じます。

たとえば、さまざまなスポーツが観られる動画配信サービスは、ユーザーの気持ちに寄り添う柔軟性がある。サッカー好きな人はサッカーのシーズンだけ入会して、終われば退会。また次のシーズンで入会、ということがよくあります。つまり、無理に解約を引き止めようとしていません。

そんな風にユーザーの志向によってコミュニケーションを変えていくのが、サブスクビジネスのトレンドだと僕は思っています。何度も解約して、入会してというのも、一つのビジネスモデル。このスポーツが好きだから、このドラマが好きだから、また入ろう。そういったコミュニケーションは、サブスク黎明期から考えるとかなり大きく変わった点ではないでしょうか。

──そういった状況があるなかでユーザーを「引き止める」のはなかなか難しいですよね。

河谷弥代子(以下、河谷) 無理に引き止めると、そのサービス自体が嫌われてしまうかもしれません。なので、なるべく分かりやすく解約ページへの誘導をしてから「あなたへのおすすめは、まだまだたくさんありますよ」と、しっかり提案するほうが今の時代に合っているのかなと思います。

多田 昔は解約をするのに10ページくらいかかるところもあって、あれ、大変でしたからね……(笑)。解約の抑止は第一のミッションですが、ユーザーが戻ってきそうなタイミングで、「また始めませんか?」というコミュニケーションを取ることも、僕たちの役割です。サッカーをよく観ているユーザーがいたとしたら、解約後でも、シーズンが始まる時期に「入会すればこのリーグが無料で見放題です!」とメールを打つこともできますしね。

河谷 これからは、必要なときに必要なものに入って、それが終われば離れて、また必要になれば入会する、そうなっていくんだと思います。

Kaizen解約抑止プロジェクトの強みは“一気通貫”

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──案件として、増えてきている実感はありますか? 

多田 ものすごくあります。どの会社さんも(解約抑止の)必要性は感じているけどどうすればいいかわからないっていう悩みを抱えているので、話をすると刺さるんですよね。

西田有希(以下、西田) 新規獲得にお金をたくさんかけるよりも、解約を防いだほうが利益幅が大きいクライアントさまって、多いんですよ。解約を1%改善するだけでも全然違うので。

多田 まずは、入ってくれる会員の母数をどう増やせるかが大事なんです。でも新規が増えると、解約者も増えますよね。1000人いるときの解約率が10%だとしたら、100人辞めることになりますが、100万人だったら10万人。だから会員の母数が増えれば増えるほど、解約する人を減らす重要性は高まってくるんですね。

ある程度、ビジネスが成熟したクライアントさまほど、解約抑止はすごく重要になります。

──そうしたなかで、Kaizenの強みってどんなものがあるのでしょう?

河谷 「分析、課題抽出からサイトの改善まで一気通貫でやる」というところが強みだと思います。ここからここまではA社、次はB社……と役割が分かれていると、時間も費用もかかってしまいますよね。一連でお願いできたほうが楽ですし、予算的にもメリットがあります。そういった意味で、弊社は川上の新規獲得から、川下の解約抑止までサポートできるので、そこを強みと感じてもらえるのではないでしょうか。

業界向けの施策の話をすると、最近、分析にAIを使うクライアントさまを担当したんです。AIに(解約には)どのような予兆があるかを分析させ、「おおよそ、解約しそうな傾向にある」人たちの ID を抜き出してアプローチをするという、新しい取り組みをさせてもらって。

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「ダウングレードも選択肢に入れて解約されない長い付き合い」(出典:「【警告】日本企業が陥る、サブスクリプション「5つの落とし穴」

多田 こういう資料があるんですけど。簡単にいうと、解約を止めるのではなく、「今、2000円のプランに入っているのを1000円のプランに変更しませんか?」というお話や、アクティブなユーザーさんだったら「1000円じゃなくて2000円のプランを使いましょう」みたいな形で、機械学習を通してレコメンドを出す。

そうすると、AIでデータが溜まって解約しそうなユーザーをあらかじめ割り出せるようになり、事業の改善にもつながっていきます。そういった提案は今後もっとやりたいよねってよく話していますね。

今後取り組みたい「Webとリアルを結びつけた解約抑止」

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──AI を取り入れた分析以外にも、これから取り組んでいきたいことはありますか?

西田 リアルと Web を結びつけた分析をした一方で、実際に「リアルに結びつけた施策で、解約が減ったか」という検証までは行えなかったので、そこはやっていきたいです。

──そこでの「リアル」というのは?

西田 分かりやすく言うと、電話での解約ですね。あとは、実店舗での申し込みや解約なども。

今、マーケティング活動って WebはじまりのWeb完結がすごく増えているんです。ユーザーがWeb広告を見たり、サイトで検索したりして、入・退会をするからなのですが。そこに対して、Webで接触したあと、リアルでの入会や解約が増えた・減ったというところはまだ見られていないんです。つまりネットとリアルとをつなげたアプローチが、きちんとできていないんですね。

多田 動画配信サービスだと入会も解約もWebですよね。コーヒーの定期便のようなサービスだと、入会はWebだけど、 消費行動はリアル。そこを分断せず、つなげていきたいなと思います。


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