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『ただの吹奏楽部員です』

「明日はさ 少し遅れるからという 君は窓辺にひとり居残り」

「私とね 君がおんなじ楽器だし つたわる想いも つたわらず」

君と同じパートだもんだから、部活に遅れてやってくる君を廊下でひとり待ってたって、けなげさも半減なの。

ただ練習を早く一緒にしたい人みたいになってる。君の持つ音楽に対する情熱をほんの少しだけ私に向けてくれたなら、想いも少しは伝わるというもの。察して欲しい。音楽は奏でられても、言葉にするのはすごく苦手。

夏の午後というのに、とても涼しげに遅れて登場した君。それと同時に始まるロングトーン。

「廊下にて 長く響ける一音は 私にとって恋の旋律」

なんて聴くのはきっと私だけなのよね。



〈了〉

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