社会環境の変化

既に承知の事とは思いますが、私たちが社会人になったころと現在では
企業を取り巻く環境は非常な変化を遂げています。
環境変化に順応しつつ(意識せずに流されつつ)生活してきた結果として、
昔想像していたビジネスマンの終末と
現状との違いに愕然とすることが多いようです。
変化を何となく感じつつも、
昨日の延長に今日があり今日の延長に明日がある、
と思ってきた結果でしょう。
では具体的にどのような変化が生じたのか念のためおさらいしてみます。

○高度成長期から低成長、終身雇用・年功序列から能力主義・成果主義へ。

嘗ての日本経済は年率で二けた近い経済成長を誇った時期もありました。
このころは給与も大幅な伸びを示し
目標となるポストも企業の成長とともに増加し続けていました。
人事制度の根幹は終身雇用・年功序列であり、
定年まで働くことが保証され我慢して働くことで
収入も次第に向上することが約束された(?)時代でした。
この終身雇用・年功序列という制度も
社会人としてのライフステージに照らすと十分に意味のある制度です。
社会人→結婚→子供→マイホーム→教育→子供独立→定年、
という大半の人たちのライフステージに沿って収入も安定的に増加し、
やがて子供の独立の頃に自分も定年に近づき人生の安定期に入る、
ということでした。

しかし企業環境はそのままを許してくれませんでした。
バブル崩壊を契機として失われた10年とも20年ともいわれる
低成長・経済減速の時代となり、
企業の成長も停滞もしくは淘汰の時代となっていきました。
当然ビジネスマンの処遇の有り方も大きく変化し始め、
実力主義・能力主義更には成果主義
という考え方が人事の基本となって来ました。
企業の収益力は低下し、昔のように昇進や昇格そして昇給で
社員のモチベーションを維持することが困難になっていきました。
ほぼ同時期に少子高齢化という社会問題が顕在化し
生じ日本の重要課題として取り上げられることとなりました。
企業側から見ると若く活力のある世代の減少と安定感はあるものの
大きな飛躍やイノベーションは望めない
高齢社員の増加ということになります。
ここから、企業への愛着や忠誠心、
一体感や協働意識といった側面が大きく損なわれていったようです。

振り返ってみると、終身雇用・年功序列という制度は
働く人に安心感や安定感をあたえ、
企業活動を堅実・着実に維持するには実に適切な考え方です。
一方安定志向を生み
チャレンジや大胆な取り組みを促す考え方ではなかったようです。
その結果日本経済の低迷を招いた一因でもあるのでしょう。
一方成果主義という考え方もかなり危うい要素をはらんでいます。
プロセスを無視しても結果を求める風潮がかなり強まっています。
再現性の無い好結果を「フロック」といいます。
優れた成果を生み出すのは「優れたプロセス」によるものです。
プロセスがしっかりしていることで、
その成功に再現性が生まれていくのです。

次回は今我々に求められていることは何か?
ということを考えてみたいと思います。

海雲 龍人

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