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馬鹿みたいな金髪

さようならを、しました。暦の上では春、まだまだ肌寒い3月、あなたとさようならをしました。私はちゃんとバイバイって言えてた?じゃあねとか、生ぬるい言葉を使っていませんでしたか?最後の瞬間君の顔は見えなかったけど、どんな顔してたのかな、好きじゃなかった、とか言ってたけど、本当に付き合う気はなかったけど、やっぱり私は好きだって認めたくなかっただけなのかもしれない。ごめんね。

もう会えないんじゃないかな、といきなり言われましても、、、、とか思ってたけど、それはいつか私のところに戻ってくる自信があったが故の喪失感だとしばらく経ってやっとわかりました。本当に馬鹿だなと、今やっと思う。だけど私は常に最善の選択をしてきたつもりだよ。私たちが長く一緒にいる方法、好きを言わない以外思いつかんかった。一回も、言わなかった。言ってたら、清楚系の可愛い子じゃなくて、あなたによく似た馬鹿みたいな金髪のあたしと一緒にいた?私たちもっとちゃんと周りに言える関係で、一緒にいられたの?

私はどう考えてもそう思えないから、言わなかったの。だけどどうしょうもなく、今日が最後の夜だって思うと悲しくてなんか辛くて、いっぱい酒飲んで誤魔化した。「用事だけ済ませて、帰ろうかな。」って良心がちょっとだけ残った君が言った時、私は最大の悪意を込めてそれを拒否した。その時の私が今まで君と一緒にいた時間全ての中で一番わがままだったと思う。最大のわがままを受け入れてくれた君と私はもうその時点で地獄行き確定だったのだよ、私はその覚悟で引き留めたよ、君がどういうつもりだったかは知らないけど。

そんな顔、しないで
無理
無理じゃない、
無理
いいことあるよ、きっと

いいことって、なに。わたしはあんたと離れたら、いいことが一個減るんだよ。なんで、あんたがいいことになってはくれないの。泣きたかったけど、もうわがまま使っちゃったから、一応困らせたくなくて、泣かなかった。
小さい子供をあやすみたいに慰めてくれた君、最後まで私は大人気なかったし、君はどこか年下っぽくなかった。

そういえばさ、あんたが遊びこなくなってからUber使わなくなったんだよ。
そっか。
そう、マックもしばらく食べてないよ。
まじか。
ねー、彼女どんな子?
んー、可愛いよ、めっちゃいい子だし、馬鹿みたいな金髪じゃないし、写真見る?
うん、見してよ

コギャルの私とは違って、地下アイドルみたいな可愛い彼女。よかったね、としかいえなかった。そりゃこんな可愛い子に女全員切ってって言われたらどんな男でもきるよなあ、と思った。むかついた、私に似て馬鹿みたいな金髪のあんただけが幸せなのが。めっちゃ嫌、今もめっちゃ嫌。

私だけが、過去に囚われてるのが、めっちゃ嫌やった。初デートの公園も、初めて酔っ払った君を迎えに行った真夜中のコンビニの駐車場も、ライブ終わりの居酒屋も、酔っ払った君がかけた暇電も私がかけた暇電も、買ってあげた香水に買ってもらったカートン、あんたが被ってったままでまだ返してもらってない帽子。最後の夜、淡白な朝。

私もあなたもきっとお互いを忘れる、私たちがくだらない時間を過ごしたこともいつかなくなってしまう。全部私が忘れたら、全部なかったことになってしまう、のだろうね。一度ね、私が死にたがりだったよる、泥酔した君からの電話で泣きやめた日があったの。君が一緒にいてくれたから、泣いて朝を迎えずに済んだの。言えなかったけど、ありがとね。もう届かないけど、ありがとうね。

歯ブラシは捨てられても、思い出も記憶も、吸い殻も捨てられない。早く引っ越して、この街を離れて、君と本当にさようなら、しないとね。

さようなら、本当はね、きっとずっと好きだったんだと思います。意地張っててごめんね、大人気なくてごめんね、私ばかり楽しくて、悪かったわね。お幸せに、私の知らないところで。私はあなたの知らないところで、幸せになるからね。また地獄で会いましょう、それまでさようなら。


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