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新撰組は二つに割れ殺し合い、薩長は一つになるべく手を組んだ。違う者を斬り捨て、異なる者を削ぎ落し、最強を更に極めて残ったのは、ほんの一握り‥最強だけでは、勝利は掴めない2

「‥確かにー俺達は、新撰組は、最強だった。最盛期は、剛の薩摩も、狂の長州も、力で捻じ伏せた。だが、新撰組は二つに割れ殺し合い、薩長は一つになるべく手を組んだ。違う者を斬り捨て、異なる者を削ぎ落とし、最強を更に極めて残ったのは、ほんの一握り‥。」

 「敗けるわな。そりゃあ。」

 …最強だけでは、勝利は掴めない…

 『るろうに剣心-北海道辺-』新撰組三番隊隊長斎藤一と新撰組二番隊隊長永倉新八の言葉です。




 「土方さんは、坂本龍馬のように大きな未来を描けるような人ではなかった。忠義を尽くすことに全霊を注ぎ、それを周囲にも強く求めた。規律に厳しく融通もきかない。それに命を懸けた人だ。でも、そんな土方さんを俺は好きだった。だから俺は、俺の忠義を尽くす。」

 『刀剣乱舞』和泉守兼定の言葉です。



 私は、高校2年生の時、大河ドラマ『新選組』を観ていて、融通の利かない土方が嫌いでした。

 堺雅人演じる山南啓介の自害のシーンには、涙したものです。

 そして、殺した幕府の脅威となる人の数より、粛清を重ねた自分の隊の数の方が多いという事実からも、この集団の存在意義を疑う時期も長くありました。


 しかし、侍ではない彼らが新選組を守っていく為には侍以上に侍らしく振る舞わなくてはならないという歴史背景や、祇園祭の熱狂に紛れて京に火を放ち何万人もの命を犠牲に反乱を起こそうとする長州の過激派を抹殺した池田谷事変等、新選組という組織を掘り下げていくと、理解出来る部分や間接的に何万人もの命を救っている事実に気付きます。

 そして、鉄の掟を作り、それを実行したのも、池田屋事変の陰謀を暴いたのも、鬼の副長・土方でした。



 「日本最後の侍は誰ですか?」と質問をされたら、現代を生きる多くの日本人は「土方歳三」と答えるでしょう。

 侍の生まれではない為に、その逆境に挑み続け、その為に苦楽を共にした仲間を自らの手で裁いてきた土方にとっては、何よりもの誉でしょう。


 しかし、土方にあるのは武士道だけではありません。

 土方は、時代の時流に乗る開放性も兼ね備えていました。

 誰もが知っている土方の写真は西洋の服を着用していますし、砲弾や戦艦等、これまでの戦いにはなかった武器も積極的に取り入れています。


 また、敗戦続きの幕府軍の中で、宇都宮城を落とす等、戦国武将さながらの城攻めも成功させています。

 城攻めを成功させる為には、戦術を駆使しなければなりません。土方はただ刀を振るうだけではなく、戦術を描く事も出来たのです。

 武士道と新しい時代に適応していく開放性、この2つを兼ね備えた土方の世界観は、私達も見習うべきであり、その世界観は現代を生きる私達の中にも生きています。

 また、土方は、負けを重ねる度に、優しくなっていきます。

 函館戦争においては、昼間は戦神のように戦い、夜になると戦った兵士の下に赴き酒を振舞ったと言われています。


 バラガキが、怒りを根源として青年となり、悲しみと悔しさと裏切りを知り、成熟した1人の魅力的な男になっていく。

 この不器用な男の生涯を心に残す事が出来るのは、我々日本人の財産です。



 …すぐに飲み込む。それが、兄さんの強さだ。父の仕えた藩主が改易となった時も、貧乏暮らしで母が病死した時も、父が主君の仇討ちに参加し処刑された時も、野党に襲われた時も、すぐに状況を飲み込み、最終的にはその場を支配するに至る…

 …この世の理は、弱肉強食ではない。適者生存ー適応する者こそ、強いのだ…

 …兄さんの強さは、変化だ。そして、変わるからこそ浮彫りになる、絶対に折れない自我だ…

 『地獄楽』桐馬の脳内言葉です。




  ☆柔軟マインドセット:物事は変化可能

  ☆硬直マインドセット:物事は固定的


 マインドセットとは、個人の行動や態度を決定する、物事の捉え方や信念を言います。

 アメリカの心理学者、キャロル・ドゥエックは、人々には①柔軟マインドセットを持つ人と②硬直マインドセットを持つ人の、2種類が存在すると提唱しています。



 ①柔軟マインドセットを持つ人は、難しい課題が生じた時に、課題を受け入れます。

 ②硬直マインドセットを持つ人は、難しい課題が生じた時に、課題を避けます。

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