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第41話 怪談『不撓な人々』(バス・お題 『祭り』)

祭りの独特な雰囲気は子どもの頃からすごく好きでした。
縁日では、色々美味しいものがあり、くじ引きで、おもちゃを当てたりと楽しい事がいっぱいでしたね。 
ですが、祭りには楽しい部分だけでなく、激しくぶつかったり、山から大木で滑り落ちたりと危険な祭りも沢山あったりもします。

例えばですが、私の地元にも祇園祭があったりしますが、その祭りの下敷きになって亡くなっても事故になるそうです。
これは以前、四谷怪談の映画をみた話をした叔父から聞いた話になります。

その祭りは、大きな山車を引き、長い距離を走り抜ける祭りでした。
山車が大きい為、引いてる人も多く、転んだりすると大怪我や死亡してしまう事もあるそうです。

叔父の友達の太一さんは、その年の山車を中心的に引っ張る1人に選ばれました。
太一さんは日頃は、林業をしているのですが、常日頃から真っ直ぐで問題が起きても粘り強く解決するという性格でした。

祭りの前日、叔父と太一さんは前祝いという事で飲み屋で飲んでいました。
帰りに駅前を歩いていると、高架下の薄暗い一角で占いをしている女性がいるのがみえました。
酔ってる勢いもあってか、明日の景気づけにとも思い太一さんは、占ってもらう事に。

その占い師が
「ごめんなさいね、祭りの前にこんな事いって、明日の祭り、あなたは出ない方がいいですよ」

「なんでですか」


「あなた、足を少し痛めてますよね」

太一さんはドキッとしました。当たってました。
2日前に太一さん仕事な最中に足を痛めていたからです。

占い師「それで祭りなんですが山車で走っている時に転んでしまい良くて大怪我をする事に、私はあなたに付いている守護霊が見えるんです。その方が祭りに出るのは止めてくれと」

足の事を言い当てられた事もあり、信じることにしました。しかし

「そうですか、でも祭りに出ない訳にはいきません。私もこの祭りの重要な役割なんですよ」

「何を言っても、出るんですね、どうかご無理はなさらずに」

太一さんは次の日、何事もなかったように、凛々しく法被を着て祭りに参加しました。
叔父は何かあったら少しでも助けになるようにと山車から少し離れた所で見守っていたそうです。

祭りも終盤に差し掛かりより激しさを増すときでした。叔父は太一さんをなるべく目で追っていたのです、その時でした、太一さんの体制が崩れて前屈みにそしてそのまま山車の下に。

叔父は悪い方向に占い師が当たってしまったと

「太一!!!」

と叫んで見たものの、祭りの音に消されて声は聞こえない、そして山車が止まり叔父は太一さんを探しました。が後ろを振り返りましたが、誰もいません、
「太一!!」
と半分泣きながら、うずくまっていると

「おいおい、そんな死んだように泣くなよ」

太一さんの声でした。
何と太一さん、あの占いを信じていたそうで山車から離れないようにしていたそうです。
そして体制を崩した時に山車に抱きつき転ばないように最後まで耐えていたそうです。

2人は祭りの無事を祝ったそうです。

困難にも立ち向かうその姿すごいカッコよかったと叔父から聞き、私もそんな太一さんがカッコいいと思いました。



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